明るみに出る聖闘士の力

「・・・まぁとりあえずはダアトに行くまではその研究書については置いておこう。すぐにダアトに行くわけでもないからな」
「そうだな。ミロに頼もうにも研究書の正確な場所が分からない以上、無闇に探してもらう訳にはいかないだろう」
そんなカミュはさておきとアイオロスが研究書について後回しにしようと言い出せば、カノンも同意して頷く。
「・・・そちらが納得するのはいいのですが、これからどうするのですか?我々に謡将を捕らえて何をしようと・・・」
「あぁ、そういや言ってなかったな・・・まぁこの際だから言っとくが、お前らにはアクゼリュスの住民を助けた後は一緒にバチカルに行ってもらうぜ。色々あるが、まずは戦争を止めるためにな」
「っ・・・戦争を、止める?そんなこと、モースが認めると思っているんですか?」
「ま、すんなり認めるわけはねぇだろうな。つっても首は縦に振ってもらうって言うか、振らせるつもりだからな」
「っ・・・!」
ディストは今までカノン達の目的について詳しく聞かなかった為にうかがうように視線を向けるとデスマスクが素直に答えるが、疑いの視線を向けると悪どく見えた上に迫力の感じられる笑みにたまらず息を呑んだ。明らかに迫力に呑まれる形で。
「つー訳なんでな。お前らには付いてきてもらうけど、逃げようとすんなよ?その瞬間・・・」
‘ドゴッ!’
「・・・脳天に風穴空けるからな?」
「「「「・・・っ!」」」」
更にデスマスクが指を上げ自身の前の地面に向けた瞬間、一気に地面が大穴が空くほど抉れた。そこから脅しの言葉を最高の悪い笑みと共に向けた事にヴァンに六神将三人は意識せず、額に汗を浮かべ顔を青ざめさせていた。アリエッタに至っては涙目でプルプルと震えている。
「デスマスク、そこまでにしておけ・・・こちらとしても大人しくしてもらえばそのような事をするような気はない。まだ気絶しているこの三人には伝えてはいないが、起きたならお前達から伝えておけ。しばらくお前達は今タルタロスで気絶している神託の盾同様に拘束し、部屋に入ってもらう。逃げ出そうとしたなら・・・もう分かっているな?」
「「「「・・・っ!」」」」
カノンはそんなデスマスクをたしなめはするものの自身も盛大にそれを利用して脅しをかけると、ヴァン達はまた何も言うことが出来ずに息を呑むしか出来なかった。
「・・・話は済んだようですね。ではタルタロスの片付けは私に任せて貴方達はルーク様と話をしに行ってください。あまり遅ければ心配されるでしょうからね」
「あぁ、後は頼むムウ・・・とはいえ説明を円滑にするためにもアッシュに謡将の存在はいるだろうから二人は連れていく。アイオロス達は俺が呼んだら来てくれ」
「分かった」
「そういうことなら分かりました。ですが流石に聖衣を着た状態で会うのはよした方がいいでしょう。ここで脱いでいった方がいいですよ」
「そうだな・・・そうするか」
‘パーンッ!カシャッカシャカシャッ’
それでムウが場の空気を感じルークの方に移行するように言いつつ聖衣を脱ぐことを勧めると、カノン達は一斉に聖衣を外すように聖衣に命じ体から外させる。それで聖衣のパーツが元々の星座を模した形に組み直された姿になって宙に浮いた形になるが、各々が眼力を込めて自身の聖衣を見ると異空間が開きその中に聖衣が入り消えていく。その光景に今度はジェイドも含めた全員が改めて目を丸くしていた・・・あまりにも普通とはかけ離れた光景に。
「・・・では大佐はムウと共にいてください。我々は少し場を離れます」
「・・・貴方は話すと言うのですか?彼がそのレプリカだという事実を」
「そうしようと思っています」
一通り聖衣を異空間に戻った所でジェイドにカノンは丁寧に話し掛けるが、本気かと確かめるような声を向けられ迷いなく即答で返す。ルークと向き合うと。










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