明るみに出る聖闘士の力

「・・・少し殿下の方に行きすぎたので話を戻させてもらうが、そこまで行ってしまえば確かに戦争が止まるのには十分な理由になるだろう。そしてその後の活動が滞りなく行けば貴殿方の思い通りの展開になるだろう事も・・・だがここで疑問が残る。それはそのように外殻大地がパッセージリングの崩壊により崩れ落ちていくと言うのに、何故戦争が起きてマルクトのみが滅びるとあるのかだ・・・もしアクゼリュスが滅びた後に戦争が起きマルクトが滅びると言うのなら預言によれば数年は少なからずかかるはずで、まず外殻大地が存続していることが前提条件のはず・・・その上で外殻大地を壊さず保つか魔界に降ろしても大丈夫な方法があるのなら、どちらにしてもキムラスカとマルクトにダアトと三国が戦争にこだわらず連携して動かねばならないと思うが・・・その辺りはどうなっているのでしょうか謡将?」
「っ・・・随分と今度はまた、現実味を帯びた質問だな・・・」
そんなナタリアの流れを断ち切るように今度はアイオロスが預言と外殻大地の耐久力の矛盾点を考えた上での問いかけを向けると、初めてヴァンは感心してこそいるが驚きを混ぜたような声を上げた。その姿にカノンは怒りを抑え目を細めつつ、確信を持って口を開く。
「もしや謡将、その辺りについては詳しくお考えになってはいませんでしたね?」
「っ・・・その通りだ。私達の調査の結果としてアクゼリュスが滅びればシュレーの丘のセフィロトから順々に落ちていくと知ったが、私達はそれならとそこから先を気にすることなく動いていた・・・その辺りは別に大したことではないとな・・・」
「・・・随分とずさんな計画だな、カノン」
「・・・正直俺もそう思っていた所だ」
それで出てきたのは考えてなかっただろうとの言葉だが、痛いところを突かれたとばかりに声を上げるヴァンの姿にアイオロスもカノンも呆れた声を上げる。
「ま、そこんとこについちゃ気にしないでおこうぜ。それよっか問題は外殻大地の保全が出来るかどうかってのと、それがダメでも魔界に外殻大地を降ろせるかどうかじゃねぇか?上手く形を保ったままな」
「・・・そうだな。それについても聞きたいところだが、その件で研究はされてはいなかったのでしょうか?」
「・・・それに関してはディストの方が詳しいからディストから聞いてくれ。一応そちらの研究もしてはもらっていたからな」
「・・・どうなのだ?」
「そ、そんなに怖い顔で見ないでくださいよ・・・話しますから・・・」
デスマスクも呆れたようではあったが話を続けんと外殻大地の事についてと聞こうと言えばカノンも同意するものの、ヴァンがディストに話を振った事に一斉に視線を向けると当の本人は慌てて話すと頷く。
「・・・ま、まぁ外殻大地の保全に関してはこちらは不可能に近いと思った方がよろしいと思いますよ。ホドが消滅したことに加えて、元々パッセージリングは何がなくてもこの数十年が崩壊しないでいられるギリギリのラインということが分かりました。まぁ百年も持たなかっただろうことは確定だと思います」
「・・・そこまでの事態だということ、か・・・それでホドが崩壊したことがパッセージリングの耐用年数の限界を早めたということになったと・・・」
「はい。そして外殻大地を空に浮かばせ続けるのは不可能です。現存の技術ではパッセージリングの修理など出来ないですし範囲も全世界と非常に広く、もし何かやれても一時しのぎ程度・・・到底事態の解決には至りません」
「そうか・・・」
ディストはそのまま慌てつつも科学者としての顔を作ってから真剣に会話を交わし、カノンも中身の不穏さに重く頷く。外殻大地はもう形を保てない時期に来てると理解し。










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