明るみに出る聖闘士の力

「この世界全てをレプリカの地にするだと!?てめぇ、本気で言ってやがるのか!?」
「無論本気だ。そしてそれがお前を含めた預言に満ちた世界の変革など出来ぬと信じたからこそ私は行動を起こしたのだよ」
「てめぇ・・・!」
‘パシッ’
「っ、離しやがれ!」
「今のこの状態で謡将を殴った所で話が長引くだけだ。今は黙って話を聞け・・・それが聞けんというならもう一度カミュにカリツォーをかけてもらうぞ」
「っ・・・ちぃっ・・・!」
そのまま怒鳴りこむアッシュにヴァンが冷静な口調で返したことに、拳を握り殴りかかる・・・が、カノンが途中で手を掴みカリツォーも辞さないと告げたことに苛立ちを浮かべながらも仕方ないと手を引く。
「預言に満ちた世界の変革、ですか・・・成程。そう言うことならアッシュの身柄と言うものは確かに重要と言えるでしょう。第七譜石に連なる預言に詠まれた中身を変えると言うのなら、アッシュの生存は。ですが一つここで疑問が出てきます・・・何故貴方はそこでアッシュの代わりであるルーク様を造るとの選択に出たのでしょうか?預言から外すためとするならアッシュの身を隠しきればそれで済むと思います。ただ大詠師などの預言保守派は無理にでも『聖なる焔の光』の名を冠する者の身代わりを立てはするでしょうが・・・」
「・・・その件に関して言うのならどうやってでもアッシュの身柄を探しだそうとする預言保守派の目を欺く為が半分で、もう半分は研究が進んできたフォミクリー技術により完全同位体が出来るのかを試す為だ。これに関してはディストからの打診もあったからなのだが、完全同位体が出来るのならレプリカもまた使いようがあると思って許可したのだ・・・アクゼリュスと共にアッシュの代わりに超振動を使い死んでもらうことが出来るとな」
「っ・・・!」
大人しくなったアッシュにカノンは何故ルークを造ったのかと問うが、余裕を見せる薄ら笑いからの返答に眦を一気に上げ握り拳を作った。あまりにもルークを人間扱いしておらず、使い捨ての道具としてしか見てないその態度への怒りを浮かべ。
「・・・成程、人道的ではないというのはともかくとしてもそれでアッシュの命を守るというのは達成は出来るでしょう。ですがその後に訪れるという戦争はどのように貴殿方は対処するというのでしょうか?アクゼリュスがルーク様に住民と共に滅びたなら最初から戦争を仕掛けようとしていたキムラスカと、戦争を仕掛けられ迎撃をしなければ滅ぼされる以外にないマルクトを止めるのはまず不可能・・・どうするというのですか、そこからは?」
「・・・おそらくカノンも含めて予想がついているのではないか?そこから先は?」
「予想はついています。ですが事実確認は確実にしなければいけないのもありますし、こちらの二人・・・特にアッシュに聞いてもらわねばなりません」
「・・・成程」
そんな姿を見てか今度はカミュが冷静にその後について聞いてきたことに、ヴァンも未だ睨み付けるような視線を向けるアッシュの事を言われた事で納得して頷く。
「・・・とはいってもそう大したことではない。その戦争を私達は止める事はしないし、戦争自体否応なしに止まることは容易に想像がつく。その裏で我々はレプリカ大地計画の実現の為に淡々と動く予定だったのだ」
「戦争が止まる?おいおい、戦争を望んでるキムラスカに預言達成が目的の大詠師サマがそんなことを許すのか?」
「確かセフィロトにパッセージリングの事は聞いたのだったな?だがモースからその性質についてロクに聞いてはいまい・・・まぁ奴がパッセージリングについて詳しく語る事など出来るはずもないだろうから当然だろうな」
「随分と大詠師サマに対して辛辣なんだな・・・まぁいいが、その性質って奴を説明してくれよ」
「いいだろう。と言っても簡略的に説明するが、パッセージリングは各地のセフィロトを繋ぎ外殻大地を浮かばせている。しかしリングという形の性質と下から大地を押し上げるセフィロト・・・この二つが相当な衝撃で消滅してしまえばどうなると思う?」
「・・・成程な。下からの力が無くなってリングに衝撃が加わるってなりゃ、当然ダメージがリングに加わるわな。リングがリングとしての役割を果たせなくなりかねない程のダメージが。んでかつてのホドに加えてアクゼリュスまでもが消滅ってなりゃ他のリングは相当なダメージを負って、遠くない内に何もしない内に崩壊。だからそうなっちまえば戦争なんてやってられるはずがねぇってことか」
「・・・随分と物分かりがいいのだな、そこまで推測出来るとは。だがその通りだ」
それでヴァンの説明の言葉に反応したのはデスマスクだが、続々と説明した言葉を独自に推測した姿に軽く笑みつつ頷く。それは合っていると。







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