明るみに出る聖闘士の力

「くそっ!」
「はあぁぁぁっ!」
しかし下がるわけにはいかないと考えたのか、ラルゴとシンクの二人は気合いの叫びと共にアイオロスへと突進する。
‘カッ’
「「がっ・・・!」」
だが破れかぶれの行動が通じるはずもなく、アイオロスが拳を光らせた瞬間二人の体は一気に後ろへと吹っ飛んでいった。
「ラルゴ!シンク!・・・っ!」
「悪いがこの銃は壊させてもらおう」
‘グシャッ!’
「っ・・・!」
リグレットはその姿に二人に向かい叫んだ後に銃を構えようとするが、瞬時に目の前に現れたアイオロスが手の中から銃を奪い取って固い素材で出来たその身をまるで豆腐でも潰すかのよう握り潰したことに息を呑む。が、それでも諦める気を見せないリグレットは敵意を込めた目でアイオロスに殴りかかるが・・・
‘トンッ’
「あっ・・・」
また瞬時に後ろに回り手刀で首筋を叩いた攻撃により、小さく声を上げた後にあえなく地面に倒れこみ気絶する事になった。
「終わったな」
「あぁ・・・では二人は俺達と共に来てもらおう。一応言っておくが逃げ出そうとしたならこちらも然るべき対応をとらせてもらうぞ」
「えっ、えぇ・・・分かりました・・・」
「はい、です・・・」
リグレットも先に飛ばされた二人同様動かなくなった事でデスマスクが終わったことを確認するよう声を上げるとアイオロスが頷きつつ向けた注意に、ディストとアリエッタの二人は恐る恐ると頷く。特にディストは泣いた跡が残っていた事や壊れたカイザーディストから離れるその姿はあまりにも情けなかった。
「・・・終わったようだな」
「お、連れてきたかカノン」
「っ、貴方はアッシュ・・・ここに来ないと思っていたら、もう捕まっていたのですか・・・!?」
「・・・うるせぇ。てめぇらも似たようなもんだろうが」
そこにカノンとアッシュが現れたのだが、いつもと違い気味が悪いほど大人しい姿にディストが信じられないと声を向けるが反論が出来ないのかただ不満げに反論を静かに漏らす。
「ではブリッジに向かうが二人は三人を連れて来てくれ。流石に野晒しにしたまま置いておく訳にもいかんだろう」
「まぁしばらくは目を覚ますこともねぇだろうが神託の盾の兵士が起きてきたら厄介事を起こしそうだからな・・・っし、んじゃ行こうぜ」
「そうだな」
「っ・・・!」
カノン達はそんな会話を気にすることなく話を進めていくが、デスマスクが何気なくシンクとラルゴの所に行った姿にアッシュは目を丸くした。目にも映らない程の速さで動いた事に。だがカノン達は全く気にすることなくブリッジへと向かう・・・









「っ、これは・・・!」
「師団長・・・申し訳ありません、この通り我らは動けません・・・この黄金の鎧を着た者によりかけられた、妙な氷の輪のせいで・・・」
・・・それでカノン達がブリッジに入ったのだが、そこで見た光景にディスト達は目を見張った。そこにいた神託の盾が全員カリツォーにかけられ、氷の輪に囲まれている状態に。
神託の盾はカミュの方に何とか視線を向けてディストに謝るが、アリエッタ達も唖然とする以外には出来なかった。
「安心していい。タルタロスがこちらの思う位置につけばカリツォーは解く。それにタルタロスの運転に支障のない程度には手加減している、気にするな」
「・・・こちらの思う位置とは?」
「ここまで来たから言うが、この少し先にこちらで捕らえた謡将がいる。そこまでだ」
「「「・・・っ!」」」
カミュは気にしないようにと言うが、ディストの不安げな声にまた平然と答える。だがあっさりと告げられたヴァン捕縛の事実に起きている六神将の三人は信じられないと表情を固まらせた・・・まさかという形で。










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