明るみに出る聖闘士の力

・・・そして数秒後、場にいたディストを除く六神将は戦慄していた。鈍い音と右拳から放たれる光と共にカイザーディストのその身が吹き飛ばされていき、既にディストの顔に体すらもが見える程に削られるまでなっていた。そして当のディストは涙に鼻水を盛大に垂れ流し、恐怖によりグチャグチャに表情が歪んでいた。
「・・・さて、それでその譜業ももう戦闘不能だろう。ただ俺としてはこれ以上無為にお前達を傷付けるような真似はしたくない・・・だから出来るならここで降伏してくれ。そうすればここで終わらせる」
「っ、わ、分かりました!降伏、降伏します!ですから助けてください!」
「ディスト貴様!裏切るつもりか!?」
「だったらその二人と戦って勝てるとでも言うのですかリグレット!?私は嫌ですしもう無理ですよ!この状況で戦うのは!」
「くっ・・・!」
それでカイザーディストへの攻撃を止めて真剣に降伏を勧めるアイオロスに、ディストは一も二もなくすぐさま降伏すると叫びリグレットが怒りを向ける。だが既に戦意も戦力も根こそぎへし折られたディストの叫びの反論にリグレットも口ごもる・・・勝てないと言葉にせずとも感じていたのもあるだろうが、ディストは本当に戦力外だと認めざるを得なかった為に。
「さて、ディストは降伏のようだが・・・お前達はどうする?」
「くっ・・・決まっている!私達は戦うぞ!」
「っ、アリエッタは嫌です!」
「なっ!?い、いきなり何を言うアリエッタ!?」
引き続きアイオロスがディスト以外の意思を確認するとリグレットは戦うと意志を示し叫ぶが、アリエッタが泣きそうな顔で拒否を示した事に驚き困惑した表情を浮かべた。まさかの人物からの言葉に。
「・・・アリエッタ、どうやってもこの二人に勝てると思えない、です・・・そっちの人にはカイツールでも会った、ですけど、その時も何も出来ず負けました・・・でも今のその人はあの時と比べ物にならないくらい、強いのすぐにわかった、です・・・多分こっちの人と同じくらいに・・・そんな人達と戦うなんてアリエッタ、嫌です・・・」
「「「・・・っ!」」」
アリエッタはリグレットの声に人形を抱きしめ震えながらもデスマスクとアイオロスに視線を向けながら嫌だと思う理由を述べ、三人が驚愕に目を見開く。
「へぇ、随分と賢いっていうか勘のいい嬢ちゃんじゃねぇか・・・ま、同じじゃないにしてもある程度近いってのは間違ってねぇよ。そしてお前らが束になってかかったって俺達二人どころか、一人にすら勝てないってのも確かだ」
「「「・・・っ!」」」
そんなアリエッタの野生の勘と言える感じかたをデスマスクは誉めつつも楽し気に指を向けながら告げ三人に挑発・・・いや、確固たる自信を告げる。自分だけでも負ける訳がないと。三人はたまらず息を呑むが、キッと敵意を込めた表情で二人を見据える。
「だったらどうだと言うのだ・・・我々を倒せるというのなら倒してもらおうか!話はそれからだ!」
「・・・ま、そんなこったろうと思ったよ。つってもそろそろカノンも来る頃でムウ達の所に着く頃だし、さっさと片付けようぜアイオロス」
「あぁ、とはいっても二人でやるまでもない。ここは下がっていてくれ、デスマスク」
「あいよ」
「っ・・・そこまで私達を愚弄するか・・・!」
ラルゴがなら自分達を倒せと強気な言葉を吐くが、当の二人は全く気にした様子もなく会話を交わしたばかりかデスマスクが距離を取り出す姿にリグレットが譜銃を向け引き金を引く。
‘ダンダァンッ!’
「なっ!?」
「「「「!?」」」」
だが次の瞬間、常識では信じられない光景にリグレットを始めとして六神将達は唖然とした・・・先程まではアイオロスは銃の弾をハッキリと目に見える形で右に左にと動いて避けていたのに、今は全く微動だにしていないはずなのにその弾が体をすり抜けるように前から後ろへと抜けていったのだから。
「驚いているようだな・・・だがこの程度の事は我々からすれば容易いこと。光の速さを持って動ける我々からすればな」
「光の速さ、だと・・・!?馬鹿な、そんなこと有り得るはずが・・・!」
「お前達が信じようが信じまいがそれはどうでもいいこと・・・さて、時間もないことだ。一気に片付けさせてもらうぞ」
「「「っ!」」」
そんな人間離れした光景を生み出したアイオロスは光速で動けるからだと言うがやはりそんなことを簡単には信じられないとリグレットが動揺しながら言うが、アイオロスはその動揺を切り捨てながら三人の身を否応なしに緊張させた。もう決着をつけると宣言したことで。







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