明るみに出る聖闘士の力

「っ・・・これは・・・!」
それでカノンに続き部屋を出たアッシュは通路にいた神託の盾がことごとく地に伏した姿を見て絶句する、音も何一つ聞こえることなくこれだけの数が部屋の外で倒されていたことに。だがカノンは全くアッシュを一瞥することもなく、先を歩いていく・・・









・・・そして場は変わり、タルタロスの甲板。アイオロスとデスマスクの二人は周りに大勢の神託の盾が倒れこむ中、アッシュを除く六神将と対峙していた。
「はあぁぁぁっ!」
「甘いんだよ!」
‘ゴッ、ドムッ!’
「がっ・・・!」
シンクが裂帛の叫びと共にデスマスクに上段回しげりを食らわせようとするが、軸足を蹴り体勢を崩した所にがら空きの腹を殴り付け吹っ飛ばす。
‘バシッ’
「大丈夫か、シンク?」
「っ・・・あまり大丈夫とは言えないね・・・一撃の威力が桁違いだ。正直長期戦は無理だと思う・・・」
「・・・そうか・・・」
その体を受け止めたラルゴが声をかけるが、地面に足を下ろしながら苦痛に滲んだ返答を返すシンクに表情を歪める。状況はよくないと。
‘ダンダァンッ!’
「くっ・・・!」
「ネガティブゲイト!」
「っ・・・何故です!?何故こうまで簡単に我々の攻撃が避けられるのですか!?私にアリエッタの攻撃を受けながら、リグレットの正確な射撃までも!?」
そしてデスマスクと対照的にアイオロスはリグレットにアリエッタにディストの三人に攻撃を返すことなく、ただ嵐のように思い思いに放たれる攻撃を避けるだけに留めていた。
「よぉ、アイオロス・・・そっちはどうだ?」
「俺としては満足だ。実力の高い者の譜術がどのような物かと観察してみたが、中々に強力な物だ・・・だがもういいだろう」
「そうか・・・んじゃそろそろ片付けるか。長く時間をかけたってあんま意味はねぇしな」
「そうしよう」
「っ・・・おい、何をそんな余裕で話している!私達を侮辱しているのか!」
そんな中でデスマスクからかかった声にアイオロスは三人から一足飛びでそちらへと移動し、会話を交わすがその中身にリグレットは激昂しながら双銃を二人に向ける。自分達を全く敵として見ていない、そうとしか見れない態度に。
「・・・悪いな、お前達の誇りを害してしまったようだ。その詫びという訳ではないが、俺の実力の一端を見せよう・・・一瞬になるだろうがな・・・!」
「「「「・・・っ!」」」」
アイオロスはその声に済まなそうに詫びを向けるが、一転して鋭く表情を変え小宇宙を燃やし出したその姿に五人はハッキリと圧されたように息を呑んだ・・・今までとは明らかに段違いの迫力、実力の差があらあらと分かる圧迫感に。
‘ゴギャッ!’
「なっ・・・!?」
「ヒッ・・・ヒイィィィッ!?な、何が起きたのですか!?い、いきなりカイザーディストのドリルが弾けとんで・・・!?」
「見たか?これが俺の力だ」
「「「「・・・っ!?」」」」
・・・そして次にアイオロスの右手が光った事、その数瞬後の音を認識した瞬間六神将はたまらず目を疑った。ディストの乗っていたカイザーディストのドリルのパーツが一瞬にして鈍い音を立て、壊れ弾けとんだのだから。
そのあまりにも現実離れした光景に驚きの声が上がりディストが恐怖に理解出来ないと錯乱する中、アイオロスが右手を握りながら拳を顔付近に上げたことに一斉に集中する。まさかといった表情になりながら。
‘バギャッ!ゴギィンッ!’
「ヒイィィィッ!?ま、またカイザーディストが!?ど、どんどんと壊れて・・・!」
「「「「・・・っ!」」」」
だがまさかといった気持ちを確信に変えるよう、アイオロスは何度も右手を光らせていきカイザーディストの外装を更にぶち壊していく。そしてその攻撃をカイザーディスト越しとは言え直に受けているディストの恐怖に満ちた悲鳴が辺りに満ちている事に、リグレット達は唖然とした表情を浮かべていた・・・あまりに浮世離れた光景に。








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