明るみに出る聖闘士の力

「言葉通りだ。本来であったならお前から話を聞きたい所だったのだ。謡将をキムラスカのファブレ邸でまで追ってきて襲わんとした理由をな。だがお前はそれを頑なに拒んだ。こちらには関係のないことだと・・・その上で先程の態度からしてお前は謡将のやろうとしていたことを全部とは言わずとも、その危険性が分かるくらいの事くらいは知っていたのは想像がつく。だがことここに来てしまえばもうお前など関係ない・・・本人から話してもらえばそれで済む話だ。つまりもうお前に用はないと言うことだ」
「っ!用はないって、言い過ぎよ!」
「言い過ぎも何もその通りだろ?別にここから先にお前にしてもらうことなんか俺らにはないんだからな。それともなんだ?お前、何か今からやれることでもあるのか?・・・既に大詠師サマからいらない認定されてる存在だってのによ」
「っ!!」
カノンはそんな態度に全く温度を感じさせない口調でその理由を語り、ティアは怒りに身を燃やし反論するがニヤニヤしながら告げたデスマスクの言葉に一瞬で怒りが収まって息を呑んだ。改めて自身に告げられた残酷な事実を思い出したことで。
「それにぶっちゃけ聞くけど、お前何をやれるんだ?お前が精々やれることっつったら譜歌を歌って戦ってってくらいだろ。そんなお前が自分の不手際から大詠師サマに切り捨てられたってのに、それ以外で何か役に立てるってのか?ここを切り抜けたらバチカルに戻んなきゃなんねぇってのに、その事実に心を揺らしまくってるお前が大詠師サマ相手に何が出来るってんだ?」
「そっ・・・れは・・・それ、は・・・」
更にデスマスクが追い込むようモースと会ったならと仮定するように言うと、ティアは精一杯言葉を紡ごうとするが何も出てこず動揺に目を揺らし視線を揺らすばかり。
「・・・ダメだなこりゃ。マジで戦う以外に何にも出来ゃしねぇんだな、この嬢ちゃん」
「私としては何故ここまでに至るように放っておいたのかという気持ちが浮かんでくるな・・・今までの行動を思うと彼女にはちゃんとした教育を施していなかったとしか思えん・・・兵士としての本分を口にし強い意志を持っていると自分で言ってはいたが、結局それは正しい意味を理解しておらず自分の価値観と我に満ちた物でしかなかったのだからな」
「・・・耳が痛いな・・・」
デスマスクはそんな姿に呆れた声を上げカミュも同意すると、経緯が経緯なだけにヴァンも妹可愛さに庇い立て出来ずに表情を苦そうに歪める。
「俺もあまりこの娘の事は好意的には思えないが、どうするカノン?このまま放っておいても特に問題ないとは思うが・・・」
「・・・まぁ俺も放っておいていいとは思うが、後で逃げられでもしたら面倒だ。タルタロスの神託の盾を撃退したなら適当な部屋にでも置いておけばいいだろう・・・話を変えるが、そろそろ時間から考えてもタルタロスが来る頃だろう。神託の盾も導師を奪還出来てないとはいえ、アクゼリュスさえ落とせればいいと考えた上で謡将を迎えに来るだろうからな・・・出来ればその準備に取り掛かりたい所だ」
「そうだな・・・」
アイオロスも同意した上でカノンに視線を向け対応を仰ぐと、さっと対応を告げたがその後のタルタロスの事が重要と空気を重くした事にアイオロスも同じように空気を重くして頷く。









3/22ページ
スキ