明るみに出る聖闘士の力

・・・いかに自分達は動き、何を見てきたのか。カノン達は聖闘士としての力を発揮したことに関して、それとアニスの今のジェイドに対する印象などあまり言うと面倒な事を除き洗いざらい話した。

その事に三人は程度の違いはあれ、驚きに満ちたリアクションを浮かべた。今まで全てを包み隠して動いてきたヴァンも同様にだ。






「・・・というわけです」
「・・・ただ事ではないとは思っていましたが、そこまでの事だったとは・・・」
「・・・まさかそこまで看破されたとはな・・・」
「に、兄さん・・・そんなことまでしてたなんて・・・」
それで話を終えたカノン達に二人は似たように静かにまさかと漏らすが、ティアは一人ヴァンに対する驚きで愕然としていた。余程兄がやっていたことが衝撃過ぎ、自分の範疇外過ぎたのだろう。
「さて、謡将・・・これから貴方に色々と聞きたい所なのですが、現状で貴方がすんなりと全てを明かしてくれるとは我々も思ってはいません。自らの指揮する神託の盾が乗ってくるタルタロスがこちらに来れば形勢は逆転すると、貴方はそう思っていられるのでしょう」
「・・・フッ、その通りだが随分と余裕を浮かべている物だなカノン。いかにお前とは言え六神将に多勢の神託の盾を相手にしては太刀打ち出来まい。そしてその時がお前達の終わりだ」
「兄さん・・・!」
カノンはまだ驚きを見せるヴァンに神託の盾の存在の事を言うと、落ち着き自信を見せた笑みを浮かべるその姿にティアがキッと睨み付ける。
「・・・では謡将。その神託の盾を残さず撃退出来れば、全てを話していただけますか?我々の望むことを全部」
「・・・フッ。いいだろう、お前達にそれが出来るならな」
「・・・言質は取らせてもらいました。その言葉をお忘れなきよう」
そのティアに触れることなく真顔で淡々と話を続けるカノンにヴァンは余裕の態度を崩さず了解を返すと、目を細めその言葉に念を押す。忘れるなと力を込めて。
「・・・しかしどうされるおつもりなのですか?言ってはなんですが、現状の戦力で神託の盾に対抗出来るとは思えないのですが・・・」
「問題ねぇよ大佐殿・・・ま、見てなって。神託の盾くらい俺らが軽く捻ってやるからよ。それよっかあんたにはやってもらわなきゃなんねぇことがあんだが、協力してくれるよな?」
「何故私が・・・」
「あ?あんた今の話から理解してねぇのか?元々こうやってアクゼリュスに来たのだって障気に包まれてる街の現状を助けようとしつつ動いてんだろ。なのに今の現状で何も行動しねぇって有り得るか、おい?普通こんだけの事が起きたんならマルクトの本国に報告くらいする必要はあるんじゃねぇのか?」
「・・・それは・・・確かに、そうですね・・・」
ジェイドがそんな見通しの甘さを突くような批難めいた声を向けるが、反対にデスマスクからの指摘の言葉を受けてたまらず口ごもりながら肯定する。まさかこんな状況で自分にもお鉢が回ってくるとは思っていなかったのだろう・・・そういった態度が鋭いと言われているのに、見通しが甘い考えを持っている事も肯定してるかのようだとは考えもつかず。
「ま、そういうわけだ・・・事情を知ってもらった以上あんたにも付き合ってもらうぜ。マルクトにも動いてもらわにゃうまくならねぇんだからな」
「後はこの娘にも話をしてもらいたいと思っていた所だったが・・・どうする、カノン?」
「そうだな」
「・・・ちょっと待って・・・話をしてもらいたいと思っていたってどういうことなの・・・?」
デスマスクの気楽な言葉にカミュとカノンも乗った上で話を進めるが、話の流れに出てきたティアは不審げな視線を向ける。何故自分は必要ないのかと。






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