影を動く聖闘士の躍進
「気を取り直せカノン。そろそろ行かねば面倒になるぞ」
「・・・分かっている、行くぞ」
カミュがそろそろと言ったことにカノンも頷き、覚悟を決めて先へ歩き出す。そこでようやくカノンを見つけたナタリアは驚いた顔を浮かべるが、二人は意に介さず近付く。
「・・・やはり来られましたか」
「カ、カノン・・・ル、ルークはどうしたのですか・・・?」
「貴女が来られている可能性を考え少し距離を置かせていただきましたが、まさか本当にこのケセドニアまで来られるとは・・・」
「と、当然ですわ!私がアクゼ「そこまで!・・・貴女もまだアクゼリュスの件を公にするわけにはいかないということはお聞きになっているはず。流石にそれらを声高に公言されるような事態になればいかな貴女でも、国交の問題を簡単に人前に晒したということになり、流石に陛下も罰を与えない訳にはいかなくなります」・・・!」
そして半ば呆れ気味にカノンが声をかければナタリアは動揺するものの、反論しようとしてきた・・・が、すかさずアクゼリュスと言い切られる前にカノンに通る声で言葉を遮られ、更に近付かれて耳元で囁かれた言葉に流石のナタリアも絶句した。いかに自分の気持ちを優先しがちなナタリアでも他国との約束までもを無視してしまうのは王女として許される事ではないと、そう思ったのだろう・・・だが今の状態ですらもが間違っていることに気付けないナタリアに、カノンはすかさず顔を耳元から離して畳み掛ける。
「・・・少々場を替えましょう。このような往来で話をすればまた口が滑って妙な事になるかもしれませんので」
「わ・・・分かりましたわ・・・」
「ではこちらに・・・」
その畳み掛けとは場所替えの提案で、失言寸前だったナタリアは青くなった顔で受け入れざるを得ずカノンの案内に従い二人の後に付いていく・・・
・・・そしてカノンが案内したのはキムラスカの領事館。そこで受付を済ませ何かカミュに耳打ちした後、カノンはナタリアと二人になる形で用意された部屋へと通された。
「・・・カノン、何故ここに・・・?」
「この領事館はキムラスカの所有地ですので外で話をするよりは安全と思ったが故です。その上ナタリア様があのような往来で立ち尽くしていたという事により少なからず人の目という物が集まっていたので、念には念をいれさせていただきました」
「・・・私が人の目を集めていた?」
(・・・道の真ん中で貴族を思わせるような質のいい服を来た女性が、誰か来るのを見張るように立っていれば誰だって注目する・・・その事もずっと視線を注がれていただろうに、分からんのか・・・)
歩いている間に多少気を落ち着けたナタリアがカノンにこの場にした理由を問うが、安全と人の目を避けるためとの返しにキョトンと目を丸くする・・・カノンは内心でその姿に本気で呆れていた。あらゆる意味で鈍く向こう見ずな姿に。
「・・・その件については置いておきましょう。今はナタリア様がアクゼリュスに向かうためにこちらに来られたとの事ですが・・・バチカルに戻られるおつもりはないのですか?何があっても」
「当然ですわ!私もアクゼリュスに向かうと決めてここまで来たのですよ!」
「・・・ふぅ」
だがあえてそこには触れず改めて決意の程を問うと周りを気にしなくていいからと即行の大声でナタリアは返すが、カノンはここであからさまなタメ息を吐いて頭を抱えた後に入口へと視線を向ける。
「いるか、カミュ」
‘ガチャッ’
「あぁ、話は聞かせてもらっていた・・・こちらの方々にもな」
「え・・・貴殿方は?」
そこでカミュと名を告げるカノンにカミュは扉を開けて入室してくるが、カミュの後ろにいた身分の高い者が着るであろう服を着た二人の中年男性の姿にナタリアは首を傾げる。
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「・・・分かっている、行くぞ」
カミュがそろそろと言ったことにカノンも頷き、覚悟を決めて先へ歩き出す。そこでようやくカノンを見つけたナタリアは驚いた顔を浮かべるが、二人は意に介さず近付く。
「・・・やはり来られましたか」
「カ、カノン・・・ル、ルークはどうしたのですか・・・?」
「貴女が来られている可能性を考え少し距離を置かせていただきましたが、まさか本当にこのケセドニアまで来られるとは・・・」
「と、当然ですわ!私がアクゼ「そこまで!・・・貴女もまだアクゼリュスの件を公にするわけにはいかないということはお聞きになっているはず。流石にそれらを声高に公言されるような事態になればいかな貴女でも、国交の問題を簡単に人前に晒したということになり、流石に陛下も罰を与えない訳にはいかなくなります」・・・!」
そして半ば呆れ気味にカノンが声をかければナタリアは動揺するものの、反論しようとしてきた・・・が、すかさずアクゼリュスと言い切られる前にカノンに通る声で言葉を遮られ、更に近付かれて耳元で囁かれた言葉に流石のナタリアも絶句した。いかに自分の気持ちを優先しがちなナタリアでも他国との約束までもを無視してしまうのは王女として許される事ではないと、そう思ったのだろう・・・だが今の状態ですらもが間違っていることに気付けないナタリアに、カノンはすかさず顔を耳元から離して畳み掛ける。
「・・・少々場を替えましょう。このような往来で話をすればまた口が滑って妙な事になるかもしれませんので」
「わ・・・分かりましたわ・・・」
「ではこちらに・・・」
その畳み掛けとは場所替えの提案で、失言寸前だったナタリアは青くなった顔で受け入れざるを得ずカノンの案内に従い二人の後に付いていく・・・
・・・そしてカノンが案内したのはキムラスカの領事館。そこで受付を済ませ何かカミュに耳打ちした後、カノンはナタリアと二人になる形で用意された部屋へと通された。
「・・・カノン、何故ここに・・・?」
「この領事館はキムラスカの所有地ですので外で話をするよりは安全と思ったが故です。その上ナタリア様があのような往来で立ち尽くしていたという事により少なからず人の目という物が集まっていたので、念には念をいれさせていただきました」
「・・・私が人の目を集めていた?」
(・・・道の真ん中で貴族を思わせるような質のいい服を来た女性が、誰か来るのを見張るように立っていれば誰だって注目する・・・その事もずっと視線を注がれていただろうに、分からんのか・・・)
歩いている間に多少気を落ち着けたナタリアがカノンにこの場にした理由を問うが、安全と人の目を避けるためとの返しにキョトンと目を丸くする・・・カノンは内心でその姿に本気で呆れていた。あらゆる意味で鈍く向こう見ずな姿に。
「・・・その件については置いておきましょう。今はナタリア様がアクゼリュスに向かうためにこちらに来られたとの事ですが・・・バチカルに戻られるおつもりはないのですか?何があっても」
「当然ですわ!私もアクゼリュスに向かうと決めてここまで来たのですよ!」
「・・・ふぅ」
だがあえてそこには触れず改めて決意の程を問うと周りを気にしなくていいからと即行の大声でナタリアは返すが、カノンはここであからさまなタメ息を吐いて頭を抱えた後に入口へと視線を向ける。
「いるか、カミュ」
‘ガチャッ’
「あぁ、話は聞かせてもらっていた・・・こちらの方々にもな」
「え・・・貴殿方は?」
そこでカミュと名を告げるカノンにカミュは扉を開けて入室してくるが、カミュの後ろにいた身分の高い者が着るであろう服を着た二人の中年男性の姿にナタリアは首を傾げる。
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