影を動く聖闘士の躍進

「しかし随分とまぁ毒々しい所だな、見た目ですぐ分かるくらいに・・・アフロディーテ、お前が毒に対して抵抗力があるのは知ってるけど大丈夫なのか?」
「あぁ問題ない。この障気という物には即効性はそこまでない事とデモンローズ程の力はないのは住民の状態を見て把握している。そんな程度の毒に私が参るはずもない・・・まぁ避難場と交互に動く青銅達には作業が終了したら、念のためにこのバラの治療をさせるつもりだ」
「青銅ねぇ・・・つーか一輝も来てるはずだが、どこにいるんだあいつ?」
「一輝なら住民の警護をしている。一応魔物が寄り付かないようにしてはいるとはいったものの流石に住民のいる場全てをピラニアンローズで囲む訳にはいかないから、その入口を見張ると言う形でな・・・ただ私達が来るまで一人で人々を助けようとしていた姿を見た時には似合わぬ事をしていると思ったよ」
「言ってやるなアフロディーテ。それだけ一輝も真剣だと言うことだ」
「そうか・・・」
それでバラについての講釈から話題を変え障気に一輝の事とデスマスクは話を聞いていき、アフロディーテとアルデバランの穏やかな笑みに自身も面白そうだとニヤニヤする。
「・・・ま、一輝に関しちゃこれくらいにしておいてそろそろ俺は戻るわ。もうちょいしたら謡将達が来ると思うからよろしくな」
「あぁ、警戒しておく。アイオロス達によろしく伝えておいてくれ」
「おぉ、んじゃな」
だがそこで一輝に会いに行くかと思いきや戻ると背を向け手をヒラヒラさせながら言うデスマスクはアルデバランの声を受けた後、一言残して来た時と同じように空に飛んで場を後にしていった。















・・・それでアクゼリュスからオアシスの方まで戻ってきたデスマスクは何事もなくルーク達の元に戻り、事の次第を説明した。

その話にこれで大丈夫とそうカノン達も思った所で、休憩を程々に取ったと判断した一同はルークに呼び掛けをして出発をする事となり、ティア達を引き連れ次の目的地であるケセドニアへと向かった。






『・・・む、この気配は・・・』
『おいおい、まさかわざわざこのケセドニアまで来たってのかよ・・・?』
『・・・自分本意極まりない方だとは思っていたが、まさかここまでするとは・・・こうなっては流石に少し灸を据えねばならんか・・・』
・・・それで辿り着いたケセドニアなのだが、アイオロスにデスマスクがある気配を感じ呆れたように小宇宙の通信で漏らすとカノンは脱力感を多大に覚えた声を上げる。
『なら適当に場を離れる口実を作りこちらが見つかる前に先に会いに行け。でなければ事態は面倒になるのは目に見えている』
『・・・そうさせてもらう』
続いてカミュからの急ぐようにとの言葉に重くカノンは声を上げる、気乗りはしないと言うように。






・・・そんな会話を通信でしてからルークに手続きがあるから別行動をしたいとカノンが言えば、カミュも行けと言われたことで二人でカノンは街中を先に進んだ。そしてカノンは見た・・・往来の中心で堂々と腕を組み、立っているナタリアの姿を。
「・・・やはりいたが、あそこまで分かりやすい場所にいるとは・・・」
「・・・あの方は分かっているのか?自分の行動の意味を・・・」
「・・・自分がアクゼリュスに行けば事態はより良く動くことになると、それ以外はまず頭にないだろう。だからその為の行動ならなんでも許されるとでも思っているからこそ、あぁやって俺達・・・正確にはルークの事を見逃さないようにあの位置に立っているのだろうな」
「付き合いが浅くないが故にそこまで分かる、か・・・皮肉な物だな。それが悪い意味でしか活かされないとは・・・」
「言うなカミュ、言っている俺が一番妙な気持ちを抱いてるんだ・・・王女としてあるまじき行動を取っているというのに、全くそれを理解してないあの方に・・・」
そのナタリアの姿に対して二人は脱力感しか出ない会話に推測を交わす、あまりにも王女としての自覚のない行動に。特にカノンはうなだれ下を向きそうなくらいに声に力がなかったが、精一杯にそれだけはないようにと努めていた。








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