影を動く聖闘士の躍進

・・・それで兵士に事情を説明して了承をもらったカノンはルーク達の元に戻り、廃工場からバチカルを出ることになった。

それで廃工場から出るのに多少時間がかかりこそしたし、廃工場から出ての砂漠での道中でティア達と少し険悪になりこそしたがそれ以外は特に問題なくオアシスにまで辿り着いた。






「・・・あ~・・・暑かった・・・」
「しばらくはオアシスに留まりますので出発までゆっくりとされてください」
「そうする・・・」
・・・そこでティアにジェイドの二人と分かれてオアシスに建っている店の中に入ったルークは店に設置された椅子に座って背を預けだるそうに顔を上に向け、カノンの休憩の勧めに目を閉じながら答える。
「んじゃカノン、俺はちょっと外に行っとくぜ。出発までには戻るからよ」
「あぁ、わかった」
そこでデスマスクがヒラヒラと手を振り外に出る姿にカノンは快く声をかける・・・が、その目的が単なる休憩の為でないのはカノンも承知の事だ。















・・・それで少しだけ時間は進んで場所は変わり、アクゼリュス。
「・・・ん?この小宇宙は・・・」
「デスマスクだな」
街の入口にて救助活動の指揮を取りつつ、自身らも活動していたアフロディーテとアルデバラン。二人は唐突に近付いてきた小宇宙を感じ取り、空を見上げてデスマスクだとアルデバランが呟く。
‘トッ’
「・・・よっ、アフロディーテにアルデバラン」
「どうした、デスマスク。一人でここに来るとは・・・」
「それは今から説明するよ」
数秒後空から降り立って普通に挨拶を交わしてきたデスマスクの挨拶にアルデバランが眉を寄せるが、気にした様子も見せずデスマスクは話をと切り出す。






「・・・って訳だよ。アクゼリュスには先に謡将が来ることになった。だから用心はしといてくれ。何か起きちまったら面倒になりかねないからな」
「そう言うことか・・・分かった、そう言うことなら警戒しておこう」
「済まねぇなアルデバラン・・・んで、そっちの調子はどうだ?」
「問題ない。救助と治療は順調に進んでいる」
それで話をしてアルデバランが納得したことにデスマスクは救助の件について話を振ると、アフロディーテは自信の見える微笑を見せながら懐からピンクのバラを取り出す。
「今何人かの青銅達に住民をこのバラを周りに敷き詰めた場に連れていってもらっている。体の中に入った毒素を抜くのに最適なこのバラの中にな。無論この世界は魔物がいることも承知しているからそこを更に囲むようピラニアンローズを敷き詰め、魔物の侵入を阻んでもいる。対応は十分だ」
「解毒効果のあるバラ、ね・・・お前と長いこと付き合ってるけど、そんなバラを見たのは初めてだな。話には聞いちゃいたが・・・」
「フッ、確かに私もこのバラを使うことはそうはない。しかし初めから私とてデモンローズの香気に耐性があったわけではない。勿論普通の者より耐性があることは事実ではあるがな。それに時と場合によってはデモンローズで弱った相手を急いで解毒をしなければならない時もある・・・だからこそそう言った用心の為に作られたバラなのだ、これはな」
「成程ねぇ・・・」
・・・アフロディーテの技は基本的にバラを用いた技だけで構成されている。その中でピラニアンローズにブラッディローズは直接攻撃であるからともかくとしても、ロイヤルデモンローズに関しては直接攻撃であると同時に間接的な攻撃でもあるのだ。その香気を相手に吸わせて衰弱させるための。とは言ってもデモンローズを武器として使い、その香気に慣れてるアフロディーテと言えども人の命を奪うことすら出来る威力を最初から扱いきれるはずもないし平気で受け止めれるはずはない。



だからこそのデモンローズと対となるバラはもしもの時は必要になると、自身の経緯も交えて語るアフロディーテにデスマスクは頷く。その存在の必要性に納得し。











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