影を動く聖闘士の躍進

「しかしそう言うことならルークにアッシュの事は黙れる物なら黙っておけるような流れが好ましいんじゃないか?二人が一緒にいることになれば事情を話すことはやむを得ない事にはなるだろうが、もし片方だけがファブレに残る流れになればややこしいことになりかねないと俺は思うが・・・」
「言いたいことは分かる、アイオロス・・・だが今はその件については何とも言いようがない。これからどうなるかによって決まるだろうからな・・・ただナタリア様には今の時点でバレる事だけは避けたいから、もし来たなら是非ともお帰り願っていただく。勿論ルークの為にもだが、独断専行で王女としての責務を放棄し勝手に付いてこようとするだろうあの方を止めるためにもな」
「そうか・・・」
そんな空気にアイオロスがナタリアに事実を知らせるのはキツいのではと言い出すと、カノンも分かっているからこそ行動すると決意を語る姿に頷く。









・・・それからは程無くしてルークの予想通りにナタリアが屋敷に来訪しようとしたのだが、カノンの拒否により屋敷に入る事なくすごすごと退散していった。後ルークと二人で話したいと言ってきたヴァンもだ。これはルークに何かよからぬ事を吹き込みかねないと思ったが故の事だ。

それらの面会を断ったカノンはナタリアを追い払ったことでルークに屋敷から出るように兵士に密かにサインを送ったのだが、その後に入ってきた情報にカノン達は眉を寄せた。その情報とは・・・



『神託の盾が海上に陣取っていてその対応の為に自分が囮になる、ね。また随分と強引な手段を取ったもんだな、どっちも』
『とは言え神託の盾が謡将に連絡を無条件に取れるとは思わないが、これは導師を逃がさないようにと海上の神託の盾は考え謡将はその考えに乗っかり動いたのだろう。先にアクゼリュスに向かわんとしてな』
・・・神託の盾が洋上に船団を形成していると言う情報だ。
表向きは話をスムーズに済ませていたが、その裏でデスマスクとカミュは通信を用い推測を交わしていた。ヴァン達にとって都合のいい展開だろう今の状況について。
『ただ謡将がアクゼリュスに先に向かうとなれば警戒が必要になるとアフロディーテ達にも伝える必要があるな・・・泳がせると言う意味で反対はせず同意はしたが、そこで何か起これば元も子もない』
『あぁ。それは後に伝えに行けるなら行きたい物だが・・・船とは言え数日では流石にアクゼリュスには着かないだろうから、その間に行ける物なら行くようにしよう』
アイオロスがその行動にアフロディーテ達に警戒を促そうと言えば、カノンも同意をした上で後にしようと言う。









・・・そんなやり取りを内心でしていたカノン達はルークと合流した後に流れを説明してヴァンと別れ、陸路でアクゼリュスに向かうことになった。その道中でミロ達に会いダアトに行くことを聞いた上で別れ、バチカルを出ようと更に下の階層に行った。

だがそこでバチカルの入口に神託の盾のシンクの見張りがあったことが少々予定外だったカノンは、急遽予定を変更して廃工場を使う案を切り出した。



(まさかこのような形でガイの行動の行方を探っていたことが功を奏する事になるかもしれないとはな・・・)
・・・天空客車の前に陣取る兵士に話を通す為に一人距離を取ったカノンは考える。前にガイがどのような行動を取っていたかを調べていた時に何度か廃工場の事を調べていたと言う情報を知った事から、自分もその情報に興味を持ち廃工場の事を調べた事から得た知識に助けられるかもしれないこの奇妙な偶然を。
(・・・まぁいい、ここが本当に外に繋がっているなら兵士に口止めと通行の禁止は固く言っておかねばな・・・神託の盾に知られることもだが、ナタリア様に知られることも避けたいのでな)
そう考えていたカノンだが、すぐに考えを変えこれからの事を考える。自分達の行方を探られては面倒だからと、ナタリアも自然と警戒をする形で・・・










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