影を動く聖闘士の躍進

「・・・おはようございます、父上。どのような御用でしょうか?」
「うむ。本来なら城にて話を聞いてもらおうと思っていたが、少し話をしておかねばならぬことがあるのでな」
「話、ですか?」
・・・それで起きてきたルークが二人の元に現れたのだが、呼ばれた理由がわからぬ為に言葉を選びながら眉を寄せる。
「うむ・・・これより後にお前には城にまで来てもらうのだが、そこでお前は預言に詠まれた未来によりマルクト領のアクゼリュスという地に向かうことを言い渡される」
「・・・屋敷から、出れるんですか?」
「うむ、大詠師が持ち寄ってきた預言に詠まれている事からな。それでなのだがお前には了承してもらわねばならぬことがある。グランツ兄妹に死霊使いと共に向かわねばならぬと言うことをな」
「あの、二人ともですか・・・?」
「そうだ。これは大詠師よりのたっての願いになり断ることは出来ぬ。城でもこの事は言われるだろうが素直に頷くのだ。でなければ話が進まないからな」
それで預言の事にグランツ兄妹の事を切り出すとルークは何とも言えぬ顔になるが、公爵は有無を言わせぬよう話を進める。
「言いたいことは分かるぞ、ルーク。ただ私としてもグランツ兄妹、特にヴァンの事を無条件に信じられる訳はない・・・故に私の独断と言う形でではあるが、カノンにアイオロス達をお前の供につけることにした」
「カノンに、アイオロス達も・・・ですか?」
「あぁ・・・ただ独断と言った通り陛下とモースにはその事は伝えず、お前が城を出る頃には屋敷の前にカノン達を待機させておく事にした。以後はカノン達を頼れ」
「はい、わかりました。そう言うことなら」
だが不信感の残る表情のルークに今度はカノン達の同行について言い渡すと、今度は表情を多少明るくして頷く。
「先に言っておくことはこのくらいで、後は私と城に行くのだが・・・カノン、お前はアイオロス達を迎えに行け。そろそろいい頃合いだろう」
「はっ、かしこまりました。では私は先に失礼致します」
それで公爵はカノンに向き直りアイオロス達を迎えに行くように命じ、頭を下げた後にカノンは屋敷を後にしていく。
『そろそろ迎えに行くが準備はいいか、三人は?』
『あぁ、こちらは大丈夫。だがただ待つと言うのもなんだから俺達もそちらに向かおう』
『あぁそれと、ミロからの報告だがムウから言伝てを預かったらしい。中身はアフロディーテの補佐はアルデバランに決まったとの事だそうだ。おそらく救助活動とのことで黄金随一の剛を誇るアルデバランが選ばれたのだろう』
『んで、導師を説得し終えてダアトに戻るような流れになったそうだが大詠師サマに報告してから行くことになったらしい。それで時間的にバチカルを出ることになるだろう俺らと鉢合わせるかもしれないから、適当に合わせてくれだってよ』
『分かった・・・ではそちらに向かおう』
それで歩を進める中でカノンは通信を用い会話を交わし、一通りの報告を受けて会話を止めて無言で先に進む。









・・・そして時間は過ぎアイオロス達と合流した後に屋敷に戻ったカノンはルークの帰還を門の前で待つ。そして城から出てきて門の前まで来た所でカノンはアイオロス達と共に頭を下げる。
「昨日ぶりだな、アイオロス達も。またしばらくよろしく頼む」
「はい、よろしくお願いしますルーク様」
「ではルーク様、しばらくこちらで謡将達が来るのを待ちましょう」
「あ~・・・それだけどちょっと屋敷に入って準備するって事にするから、お前はナタリアを追っ払ってくれないか?さっき謁見の間で見たんだけど、なんか私も行きたいみたいなこと言い出そうとしてたから多分俺の所に来るかもしれないんだよ」
「ナタリア様が?」
ルークはアイオロス達に穏やかに挨拶を交わすがカノンの声に少し苦い顔を浮かべナタリアと切り出し、カノンも眉を寄せる。







15/27ページ
スキ