影を動く聖闘士の躍進
「デスマスク、その件に関してはそこまでにしておけ」
「あいよ」
「・・・まぁ予想外の事を言われて動揺しているのは見ていて分かるが、最後に導師の事については答えろ。その後になればタルタロスに戻してやるから、その時に好きなだけ落ち着け」
「・・・っ・・・」
そんな空気を打ち切るようにカノンが声を上げればデスマスクは素直に頷き、それで再度問いを向けるがさっさと答えるようにと言い捨てるような声にたまらず苦い顔をアッシュは浮かべる。
「・・・・・・それについてはセフィロトに繋がる扉を開くためだ。その扉はダアト式譜術でしか開かねぇから、導師の身柄が必要なんだろうよ」
「セフィロトに繋がる扉を、か・・・予想だがシンクがいるのに今の導師を求めるということはシンクにはダアト式譜術を完全に扱える素養がなく、導師にはそれがあると言うことになるのではないか?」
「そうだと思いますよ、アイオロス・・・ただそうとなれば薄々感じてはいましたがおそらく被験者の導師はもう亡くなっているか、もしくは公の場に出ることが出来ない程の状態にいることはまず間違いないでしょうね・・・最もそのような事をするのですから、前者の方が可能性は高いでしょうが」
「・・・となれば、ダアトは今の導師を影武者として立てているということになるか・・・モースを始めとする一部のみという形とは言え、レプリカ技術に関して黙認して事実を騙す形で・・・」
「そういうことになるでしょう、公爵様。理由はどうあれダアトがそのようなことをしてまで他国に教団の大多数の信者を騙していることには変わりはないかと」
「うむ・・・」
沈黙は許されないという空気にアッシュは少しの間を空け早口に訳を言うとアイオロスとムウが『イオン』という存在についての見解を述べ、公爵はカノンの言葉に事態を受け止めながら重く頷く。
「・・・カノン、公爵様。まだ積もる話はあるでしょうが話を聞いた以上は一先ずアッシュをタルタロスに戻したいと思います。下手をすればアッシュがいないと神託の盾が騒ぎだしているかもしれませんので」
「・・・うむ、そうか・・・分かった、後は頼むぞムウ」
「かしこまりました・・・では立ってください、アッシュ」
「くっ・・・!」
ムウはその空気に話が済んだのだからもう行くと言うと、複雑そうだが名残惜しげにしつつ公爵は頷きアッシュを立ち上がらせる。力なくも不本意だと声を上げるアッシュに、カノンがそっとその耳元に近付く。
「分かっているとは思うが下手に逃げようなどとも、神託の盾に情報を漏らそうなどとも思うな。逃げ出せば即座にムウはお前を捕らえにかかり、神託の盾としての立場を選ぶというならそれ相応の報いを受けてもらう・・・それを忘れるな。お前にはまたこのキムラスカに戻って来てもらわねばならないのだからな」
「っ・・・くっ・・・!」
そして単なる脅しではなく現実に確実になり得る予告を冷たい声と目でカノンが向けると、アッシュは圧されたのを誤魔化すように悔しげに声を漏らした後にムウに押されながら道場を後にしていった。
「・・・カノンよ。アッシュはファブレに戻ると思うか?」
「それはまだどうなるかはなんとも・・・ですが言葉を選ばずに言わせていただくなら戻るにしても、あの我をどのように舵を取るかが問題かと。見たところキムラスカとファブレには未練があることは理解出来ますが、カイツールの軍港を襲わせた事から分かるよう後先考えず目先の感情を優先させようとしている節もございます。あの様子ではファブレに戻ったとしても暴走してしまう可能性が高いでしょう。可能性は様々ありますが、特にルーク様に対して」
「・・・ルーク、か・・・どうしたものか・・・」
その姿を見届け公爵が恐る恐ると問いかけをカノンに向けるが、私情を外した冷静な予測に難しい顔に変わる。
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「あいよ」
「・・・まぁ予想外の事を言われて動揺しているのは見ていて分かるが、最後に導師の事については答えろ。その後になればタルタロスに戻してやるから、その時に好きなだけ落ち着け」
「・・・っ・・・」
そんな空気を打ち切るようにカノンが声を上げればデスマスクは素直に頷き、それで再度問いを向けるがさっさと答えるようにと言い捨てるような声にたまらず苦い顔をアッシュは浮かべる。
「・・・・・・それについてはセフィロトに繋がる扉を開くためだ。その扉はダアト式譜術でしか開かねぇから、導師の身柄が必要なんだろうよ」
「セフィロトに繋がる扉を、か・・・予想だがシンクがいるのに今の導師を求めるということはシンクにはダアト式譜術を完全に扱える素養がなく、導師にはそれがあると言うことになるのではないか?」
「そうだと思いますよ、アイオロス・・・ただそうとなれば薄々感じてはいましたがおそらく被験者の導師はもう亡くなっているか、もしくは公の場に出ることが出来ない程の状態にいることはまず間違いないでしょうね・・・最もそのような事をするのですから、前者の方が可能性は高いでしょうが」
「・・・となれば、ダアトは今の導師を影武者として立てているということになるか・・・モースを始めとする一部のみという形とは言え、レプリカ技術に関して黙認して事実を騙す形で・・・」
「そういうことになるでしょう、公爵様。理由はどうあれダアトがそのようなことをしてまで他国に教団の大多数の信者を騙していることには変わりはないかと」
「うむ・・・」
沈黙は許されないという空気にアッシュは少しの間を空け早口に訳を言うとアイオロスとムウが『イオン』という存在についての見解を述べ、公爵はカノンの言葉に事態を受け止めながら重く頷く。
「・・・カノン、公爵様。まだ積もる話はあるでしょうが話を聞いた以上は一先ずアッシュをタルタロスに戻したいと思います。下手をすればアッシュがいないと神託の盾が騒ぎだしているかもしれませんので」
「・・・うむ、そうか・・・分かった、後は頼むぞムウ」
「かしこまりました・・・では立ってください、アッシュ」
「くっ・・・!」
ムウはその空気に話が済んだのだからもう行くと言うと、複雑そうだが名残惜しげにしつつ公爵は頷きアッシュを立ち上がらせる。力なくも不本意だと声を上げるアッシュに、カノンがそっとその耳元に近付く。
「分かっているとは思うが下手に逃げようなどとも、神託の盾に情報を漏らそうなどとも思うな。逃げ出せば即座にムウはお前を捕らえにかかり、神託の盾としての立場を選ぶというならそれ相応の報いを受けてもらう・・・それを忘れるな。お前にはまたこのキムラスカに戻って来てもらわねばならないのだからな」
「っ・・・くっ・・・!」
そして単なる脅しではなく現実に確実になり得る予告を冷たい声と目でカノンが向けると、アッシュは圧されたのを誤魔化すように悔しげに声を漏らした後にムウに押されながら道場を後にしていった。
「・・・カノンよ。アッシュはファブレに戻ると思うか?」
「それはまだどうなるかはなんとも・・・ですが言葉を選ばずに言わせていただくなら戻るにしても、あの我をどのように舵を取るかが問題かと。見たところキムラスカとファブレには未練があることは理解出来ますが、カイツールの軍港を襲わせた事から分かるよう後先考えず目先の感情を優先させようとしている節もございます。あの様子ではファブレに戻ったとしても暴走してしまう可能性が高いでしょう。可能性は様々ありますが、特にルーク様に対して」
「・・・ルーク、か・・・どうしたものか・・・」
その姿を見届け公爵が恐る恐ると問いかけをカノンに向けるが、私情を外した冷静な予測に難しい顔に変わる。
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