影を動く聖闘士の躍進

「・・・さて、色々あったがこれで終わりか?諸々の対策については」
「いえ、最後に引っ掛かっていた事を一つ・・・アッシュ、何故お前達は導師をさらおうとしている?今一つそうしなければならない理由というものが分からぬのだが、こちらには」
「む・・・確かにそうだな。モースの言うことに表向き従っていると見せるにしても、やけに執拗だった気がするが・・・っ、それにカイツールの軍港を・・・襲わせたと言うことも・・・」
「っ!あ、あれはアリエッタには船を壊し船を直せる整備士を連れてこいと命じただけです!俺は港を襲えなどという命令は出していません!」
「おいおい、それ本気で言ってんのか?・・・だったら色々おかしいってことを自白してんぞ、お前」
「なにっ・・・!」
ミロがいなくなり公爵が終わりかと聞くとカノンのイオンに対する行動への疑問が出てきたことに、納得しつつも嫌なことを途端に思い出したと苦く言葉を紡ぐ公爵にアッシュは慌てて弁解する。だがデスマスクから呆れ気味にかかってきた声に敵意をぎらつかせた目でアッシュは睨み付ける・・・自分はおかしくないと。
「だってそうだろ。まず第一にカイツールのあの港ってのは軍港って呼ばれるような土地で、軍も滞在してるって普通に考えりゃすぐ分かる。なのにそんな場で船だけ狙えっつって馬鹿正直に船だけ狙って、兵士がポカンと見ているだけなんて有り得ると思うか?それも魔物の群れが襲ってきてるのに」
「!」
「その点で港の兵士を襲わせたアリエッタの判断は襲撃者としては正しく、撃退しようと命をかけた兵士の判断は正しいもんだと思うぜ?何せアリエッタは破壊活動を行う為に邪魔な敵を排除にかかり、その襲ってきた外敵を倒そうとした兵士って両者にとって与えられた任務を実行するためにな・・・けどお前は全くそう言った考えを持っちゃいなかった。アリエッタだけが悪いって責任を押し付けてな。これは言ってみりゃ完全にお前の認識不足が原因だろうな。カイツールの件は」
「・・・っ・・・!」
だがすかさずデスマスクが告げた言葉の数々に一気にアッシュは押し黙ってしまった。認識不足と、そうとしか言えない事が否応なしに突きつけられたために。
「それと第二に今お前はキムラスカの領地を襲わせたっていうのに、神託の盾としてもでもなくキムラスカの人間としてでもない立場でやったことみたいに言ったのもおかしいと言わざるを得ない・・・普通ここまでくりゃ自分がどんな立場にいるのか理解して腹をくくった行動を取るもんだが、お前には一切そう言った考えが見えなかった。そいつは言ってみりゃお前がカイツールを襲わせたのは大した考えを持ったもんじゃないって言ってるのと同義・・・キムラスカの民である兵士に資源である港を殺して壊すような事をしまでしたのにだ」
「っ!」
「正直よ・・・お前何がしたいんだ?お前の事を聞いてから今こうやって話を聞いてみて、何をどうしたいのかさっぱりわかんねぇんだ。謡将とまだ繋がりが強くあるとも言えないのにそこまでの事をして、結局やったことを突かれたら動揺して・・・それともなんだ?カイツールの件もただ今神託の盾に所属していて導師の身柄が必要だからって指標があるから、そうすることの意味を何も考えずアリエッタに命令してやったのか?・・・だったらお前、どうしようもねぇよ。お前がルーク様の被験者だからとか関係ないどころか、むしろルーク様に全然劣ってるよ。自分が被験者なんだって自覚しながらそうしてんだからな」
「っ!・・・お、俺は・・・俺、は・・・!」
「アッシュ・・・」
更に続けて第二の理由と語っていったデスマスクが、次第に悪意に満ちた笑みを浮かべ指を指しながら告げた言葉の数々にアッシュは悔しさに赤く顔を染め反論をしようとしているが中々言葉が出てこない。その様子を公爵は寂しく悲しげな表情を浮かべて見つめていた。






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