世界の奔流の一幕に聖闘士の影

「カノン・・・何故お前がアッシュの事を・・・!?」
「きっかけは些細な物でしたが、その事実は確かな形で我らは知ることが出来ました。ですが貴方がアッシュについて一番失敗したのはアッシュを神託の盾として表に出した事です。存在を隠さなければならないはずの人物なのに、その存在を表に出してしまったが故に露見してしまった」
「っ・・・痛い所を突くな、カノン・・・確かに私はバレないだろうと思ってアッシュをアッシュとして神託の盾に配置していた。だがそれが裏目に出るとはな・・・これも油断と言うことか・・・」
その事で動揺して声を漏らすが原因はそもそもそちらだと返され、ヴァンは自身の過信に息を呑みそっと目を伏せる。
「・・・すみませんが一体何の事を話されているのでしょうか?こちらは何の話をしているのかイマイチよく分からないのですが・・・」
ジェイドがそこに疑問の声を向けてきたのだが、その目には疑問などなくカノン達にただ事実を求めているよう鋭かった。
「いいでしょう、お答えします・・・と言いたい所ですが流石にこのように人々が周りにいる中で話すべき中身ではありません。ですので我々のみで話し合える場所に移りますが、よろしいですか?」
「成程、いいでしょう・・・ちなみにティアは連れていくのですか?」
「この際です。兄達の犯した行動が如何なものであったか・・・それを見知っていただくためにも付いてきてもらいます。例え現実を認めたくなかろうとも、どのように嫌がろうとも」
「!」
その視線に了承と共に場所替えを切り出すカノンにティアはどうすると問えば、否応なしに連れていくと言い切る答えにビクッと体を揺らし青い顔でプルプルと首を横に何度も振る。
「って訳だ、一緒に付いてってもらうぜお嬢様」
「い、いや・・・」
「では謡将、我々に付いてきていただこう・・・すまないが、後は頼む」
「あぁ、お前達には助けられたからな。協力は惜しまないぜ」
デスマスクはそんなティアの腰を抱き荷物を抱えるように持ち上げ、力ない拒否の声しかない抗議を受けながら場を離れていく。カノンは場をそこにいた兵士に任せる旨を伝え、恩義があるからと快い了承の声に見送られながら一同は場を後にしていく・・・









・・・それで住民の姿も遠くになり、話し声も届かなくなる平野部に辿り着きカノン達にジェイドとティアの二人とヴァンと言った三角形の形で対峙する。
「・・・さて、まずは何から話していただけるのでしょうか?」
「・・・色々考えましたが、とりあえずこの事は先に言っておきましょう。このアクゼリュスの派遣がどのような目的であったか・・・それは私達四人にルーク様の側にいる二人、そしてこの場にいない二人も始めから知っていました。そして今の状況もそれを踏まえた上での行動です」
「何・・・?」
ジェイドが早速話せとばかりに声を向けてきたので、カノンも早速本題だとあっさり今の状態が予定調和の上でのものだと告げる。ヴァンが軽く驚きに目を見開く中、ジェイドは軽く肩をすくめる。
「そう言うことは是非とも私に言っていただきたかったですねぇ・・・」
「言ったろ?これは俺達の考えあってのもの、つまりはキムラスカの意向でも公爵様の意向でもないんだ。そんなものに信用出来るわけもねぇあんたを巻き込むなんて俺らが考えると思うか?・・・大方正直に言ってもあんたは俺らの言葉を鵜呑みにはしなかっただろうし、俺らが考える最悪のシチュエーションに謡将に直接確かめようってカマをかけでもしてたってのが浮かんだんだよ。警戒する俺らからの途方もない話を信じられない、だから謡将を揺さぶろう・・・なんてな」
「・・・っ!」
そして仕方なさげに批難の声を向ける訳だが、デスマスクが即座に互いに信用してなかったからこそだと自身の行動パターンを推測も交えて返された言葉にジェイドはハッとした・・・決して信用しないからこそそうすると、自分の行動はデスマスクの言う通りだと思った為に。
「こちらとしてはマルクトの協力は欲しかったのだが、そうなってしまえば謡将の行動次第でこちらの考えが水泡に帰す事になりかねんのでな。だから黙っていたのだ」
「しかしここまで来れば最早沈黙は無用・・・我々がどのように物を知り行動してきたか、その事について話をしよう・・・!」
畳み掛けるようカミュがだからだと告げ、アイオロスが黙る意味はないから話すと三人に強い意思を見せ告げる。こうなるに至った経緯を話すと・・・












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