世界の奔流の一幕に聖闘士の影

「今言った通り謡将の行為は世界規模での戦争に繋がりかねん行動だ。そうするに至るだけの理由という物は知り得る事が出来るならこちらも知りたいのだが、流石にこの期に及んで唯一事情を知るお前が沈黙をする事は許されない事に黙れば余計に事態がこじれる可能性が高い事も流れで分かるはずだ・・・話してもらうぞ。お前が何を見知っているのかを」
「っ・・・そ、それは・・・」
そして沈黙は許さないと静かだが強く告げるカノンにティアはたまらずオロオロと辺りを見渡すが、誰も擁護しようとする動きはなくただ冷ややかな目を浮かべている。ジェイドに関してもだ。
「・・・・・・わ、分かったわ・・・でもせめて兄さんに確認をさせて・・・本当にそうなのかどうかをちゃんと私に・・・」
「・・・そう言うことならいいだろう」
味方は本当に誰もいないとようやくそう理解出来たティアも話すと葛藤の末決意した・・・と思いきやまだ信じたいと逃げ道をヴァンの話次第で紡ごうと苦し紛れに切り出す様に、カノンは眉間にシワを寄せ目を閉じながら了承を返す。
「だが今は縄目を受けているとはいえ流石に危険人物の前にルーク様の身を晒すわけには・・・ですので申し訳ありませんがルーク様はアフロディーテにアルデバランの二人と共にこちらでお待ちください。身の安全の為に。ただ初めて会った二人に不安だとおっしゃるなら三人の中の誰かも一緒にいていただきますが・・・」
「いや、カノンの信用出来る知り合いなんだろこの二人?だったら二人と一緒にいるからどうなのかちゃんと聞いて後で俺に話してくれればいいから」
「・・・ありがとうございます、ルーク様」
それですぐにと言わずルークに向き直り安全の為に二人と離れているようカノンが拒否した場合の保険と共に願えば、快い了承を微笑と共に返してきたことに神妙に頭を下げる。
「・・・では二人はルーク様を頼む」
「心得た」
「では行くぞ」
「・・・分かったわ」
それで頭を上げアルデバランに一声かけ続いてティアに声をかけつつ、不安げな声を背に受けながらカノンは先に進み一同は三人を残してその後に付いていく・・・






「・・・来たか、カノン・・・」
「えぇ、この通りこちらに来ました。まさかこのような形での対面になるとは思っていませんでしたが」
「フッ、随分と白々しい事を・・・」
・・・それでヴァンの前に来たカノン達だが、その当人が笑みを浮かべ余裕といった様子でいるのに対しカノンは真顔で返す。そんな表情に笑みを深めるヴァンに、カノンは表情を一切変えることなく後ろに振り返る。
「さぁ話せ、ティア=グランツ。色々とこちらも言いたいことはあるが、まずはお前からだ」
「っ・・・兄さん・・・兄さんはその、嘘をついてたの?私に・・・」
「・・・フッ、この状況だ。今更嘘をつく気など私にはない・・・そうだ、私は無実の証明などするつもりなどハナからなかった。私は最初からこのアクゼリュスのセフィロトを壊し魔界にこの地を落とす気でいたのだ、ティアよ」
「っ!・・・そんな・・・なんで・・・」
それで話をしろと言えば恐る恐ると確認の声を青い顔でティアが問うと、一切隠す気はないと今までに出てこなかった単語を用い目的を明かすヴァンにフラフラと衝撃を受けたようによろめく。
「・・・色々と気になる所はあったが、まだ何かティア=グランツにおっしゃりたいことがおありのようですね?謡将」
「あぁ・・・先にティアに質問をさせてくれカノン。それからならお前の質問にも答えよう」
「・・・いいでしょう、質問の中身は予想はついてます。ですが手短にお願いします、この後にまだ色々とやるべき事がありますので」
「感謝する」
カノンはその会話を気にしつつもヴァンの様子に何かティアにあると察し、その声に質問の時間をと言い出したヴァンに了承を返す。その返答に礼を述べつつ、ヴァンはティアに視線を向ける。











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