世界の奔流の一幕に聖闘士の影

・・・それでデオ峠を抜けてアクゼリュスへと向かった一同だが、程無くしてアクゼリュスへと辿り着いた・・・紫色の空気、障気が辺り一面に渦巻く土地へと・・・






「・・・ここがアクゼリュス・・・何て言うか毒々しい光景だよな、ホント・・・」
「・・・はい、実際に私もアクゼリュスに来て驚いています・・・これだけの光景だとは・・・」
・・・そして鉱山の街らしく大きく掘られた穴沿いに作られた街であるアクゼリュスの入口に来たルーク達だが、そこでルークとカノンは主従共に表情を歪めていた。街の光景のその異様さに。
「・・・それでアフロディーテ、でよろしいんですね?見たところ住民の姿が全く見えないのですが、どちらにいるのですか?」
「住民の方々は体調を考えこのアクゼリュスに障気の影響のない離れた場所に私の仲間と共に連れていきました。住民の避難は済んでいるはずですから、謡将達もそちらにいらっしゃるはずです」
「そうですか・・・」
「兄さんも・・・」
その中でジェイドがアフロディーテに住民の事について聞くと、ヴァンと共に避難済みだと返され納得する中でティアが複雑気味な表情を浮かべる。
「んじゃアクゼリュスの住民はそっちにいるんだな?だったらなんでこっちに来たんだ?」
「この和平に関しての発端はアクゼリュスのこの惨状にあります。ですので多少の不躾は承知の上ですが、この光景を皆様にもご覧になっていただきたいと思い案内させていただきました」
「そうか・・・でも本当に酷いな、これ・・・ずっとこの空気を吸ってたら体調崩すってのも納得出来るな・・・」
と、ルークは街に連れてくる必要はないのではと聞くがアフロディーテに悪びれないどころか自信を覗かせた様子で光景を見せたかったと返され、ルークも反論することなく重く頷く。
「・・・アフロディーテ、この街の現状は分かった。そろそろ住民の元に案内してくれ」
「慌てるなカノン、分かっている。では少し歩きますがここを出ましょう」
その意図を聞いた所でカノンが痺れを切らすような声を上げた所でアフロディーテも頷きその先導の元アクゼリュスを出て、住民の元に一同は向かう・・・












「・・・お、あれが住民の集まる場所か」
「はい、ルーク様」
・・・そして少し歩いて障気の影響のない土地まで来て、ルークは住民の集まるキャンプ場を見付けた。
「えっ・・・あれは・・・!」
「どうしたのですか、ティア・・・っ、あれは・・・」
だがそんな時にティアがそのキャンプの中である光景を見付けて驚愕し、ジェイドもその視線の先を見て多少驚きを浮かべる。



「兄さん・・・縄で縛られてるの・・・それも見張りまでついて・・・?」



・・・その光景の正体はティアが呆然としながら呟いたよう、住民がいっぱいいる中でそこだけ周りに余分な人を排除したようキムラスカの兵士に見張りをされてる状態でヴァンが膝立ちになって縄で体を縛られていた。
「兄さっ・・・!?」
「何をしようとしている、謡将を助けるつもりか?」
「っ・・・貴方、一体何なの・・・!?」
たまらずティアがそこまで駆け寄ろうとするが、横からいきなり目の前に現れた大男に面食らって立ち止まったがすぐさま睨み付けながら何なのかと問う。
「済まないな、アルデバラン。私が制止をかける前に動いてもらって」
「気にするな、出迎えに来たらこの娘の不穏な動きをする姿が見えたから動いただけだ」
「ちょっと、何を勝手に話を進めてるのよ・・・!」
そんな中で平然とアフロディーテは大男・・・アルデバランと会話を交わすが、自身を無視どころか邪魔扱いする様子にティアは更にキッと睨み付ける。










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