・・・ルーク達和平の一行。彼らはオアシスからザオ砂漠へと歩を進めた。









「・・・着いたな、ケセドニアに」
「えぇ、一先ず船に乗ってカイツールの港に着くまでは安全かと思われます」
それで辿り着いたケセドニアの入口にルークがホッとした様子を浮かべ、カノンもその様子に安全だと告げる。
「・・・皆様はカイツールに向かう船へとお向かいください。私は領事館に向かい手続きを済ませて参りますので」
「手続き？何かあんのか、やること？」
「えぇ、すみませんがアイオロス達と共にルーク様は船にお向かいください。少し時間がかかりますので私と共に領事館に付いていけば退屈されるかと思われますので」
「・・・仕方ねぇな。でも一人で行かせるのもなんだし、カミュも一緒に行けよ。船に乗ったってどうせすぐには出発しねぇんだろうし、戻ってくるまでアイオロス達がいりゃ俺は大丈夫だよ」
「・・・分かりました。では行くか、カノン」
「あぁ・・・では少々失礼します、ルーク様」
それでカノンが領事館でやることがあると先に船に行くようにと言い出した事に、ルークは残念そうにしながらもカミュにも一緒に行けと言い当人も納得し二人は頭を下げてから一同の元を一足先に立ち去っていく。
「・・・随分と多用に行動するのですね。一執事が領事館に向かい様々な手続きを担当するとは」
「・・・一々トゲのある言い方をすんなよ。前も言ったかもしれないけど、カノンには俺の考えを左右するような判断をする権限はあるんだ。そしてそれは屋敷の中でも外でも変わらない・・・だからカノンにはその許可証が与えられてるんだよ。俺の意志を代行してるって証を示す許可証をな」
「よくそのような許可証を与えたものですね。ただの一執事に・・・」
「だから一々トゲのある言い方してんじゃねぇよ・・・お前がどう思ってそんなことを言ってるのかは知らねぇし、知りたくもない。けどそんなこと一々言ってお前に何があるって言うんだよ？この旅で口だけしか出さないで皮肉にしか聞こえない事しか言わないお前に、カノンを疑うような事ばっかり言って・・・お前、俺らが混乱して和平が変な風にこんがらがってもいいって言うのか？それとも俺がここでヘソを曲げて帰ってもいいって言うのか？・・・どうなんだよ、おい」
「・・・そこまでは言ってませんよ。ただそこまでの権限を与えていいのかと私は聞いたまでの事です」
「貴方大佐の言っていることを理解出来なかったの？・・・だとしたら本当に何も出来ない貴族の子供ね貴方、自分の事を本当に何一つ判断すら出来ないなんて・・・だとしたらあの執事の人も哀れね。こんな人に仕えて意を汲まなければいけないなんて・・・」
「・・・へぇ？」
「「・・・っ！」」
その姿にジェイドがまた皮肉を盛大に効かせた言葉を放ちそこからカノンの権限の持ち方について話は発展していくが、ティアが放った侮辱の多大にこもった言葉にルークの表情に周りの空気が一気に冷めた物となり二人にたまらず息を呑ませた。
「・・・もうこの話はいいだろ？行こうぜ、船に」
「・・・はい、では行きましょう」
「・・・えっ？えっ・・・？」
だがそこで口にされたのはティア達も予想外だったのか、何もなかったかのよう先に行こうという平坦な言葉。ルークのその言葉にアイオロス達は頷きその後に付いていくが、ティア達は唖然とした様子でただ立ち尽くす以外に出来なかった。








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