世界の奔流の一幕に聖闘士の影
「・・・しかし良く動きますね、彼は。執事として確かに優秀だとは思いますが、よくあれだけの人物が一執事という立場に甘んじている・・・」
「・・・俺に付いてる事が不思議だってのか?その言い方」
「いえいえ、そのようなことは」
「あからさまに俺やファブレに対しての批判にしか聞こえねーこと言っといて今更だろ・・・でもそれは前に俺も思ってたことなんだよ」
「ほう?」
そこでポツリとジェイドが呟きを漏らすが、その中身にルークが問いかけを向けるが空とぼけようとする。ルークはそんな態度を指摘しつつも昔を思い出すよう自分もそう思っていたと口にする。
「元々から俺付きだったカノンでよく気にかけてくれてたんだけど、その行動が他に比べてもすごいって俺も次第に気付いてったんだ。それこそファブレの執事としてだけじゃなくても優秀だってくらいに・・・それで俺はある時カノンに聞いたんだ。俺に付くのをやめて自由にやりたくないのか、俺の面倒ばっかり見るのは飽きたんじゃねーのかって。でも俺のそんな声にカノンは一切揺るぐことなく答えてくれた。貴方を見守りたいからこそ私はここにいるのですって・・・正直俺はカノンに自分が主なんだって偉そうな事を言える立場はあっても、資格なんてないと思ってる。でもカノンがそこまでの事を言ってくれたからせめて俺は信じるって決めたんだ。主としてじゃなく一人の人間としてカノンを信頼するって」
「・・・そうですか」
ルークの迷いのない清々しい言葉に関心を示していたジェイドだったが、気のない返事を返すその様子はうんざりしているように見えた。その中でアイオロス達はそっと微笑ましげに笑みを浮かべていた。
「・・・お待たせしました。話をつけてまいりましたが・・・何かありましたか?」
「あっ、いや・・・なんでもねーよ、ちょっと話し込んでただけだ」
そこにカノンが戻ってきたがその空気に首を傾げ、ルークはちょっと恥ずかしげに慌てて誤魔化す。
「そうですか・・・天空客車は使えるように致しましたが、追手を避けるためにも我々が乗った後は念を入れて誰も天空客車を使わせないようにと頼んでおきました。後はその事を悟られぬように天空客車を使ったことは報告しないようにとも」
「そうか・・・んじゃ行こうぜ」
カノンはそこには触れず話を進め後の対処も含め大丈夫なようにしたと言い、その仕事に納得したルークの声から一同はその天空客車へ乗らんとする・・・
・・・そして天空客車に乗って一同が辿り着いたのは、一面が暗くなった洞窟・・・いや、工場だった。
「なんだ、ここは・・・?」
「私も話を聞いただけですが、ここはかつて使われていた工場地だとの事です。しかしバチカルが今の形になっていくにつれて天空客車をわざわざ使わねば向かえぬこの工場を使う理由も次第に無くなっていき、人の立ち寄らぬ廃工場と化したとのことです」
「ふーん・・・で、なんでこの廃工場が外に出ることに繋がるんだ?」
「この廃工場はクレーターの外側に沿って造られています。そしてそのような造りであるならば物資の引き渡しや人の出入りを助けるために外側から出入り出来るようなポイントがあっても不思議ではない上、この工場の存在は今バチカルに住む者にとってもほとんど馴染みのないものですので神託の盾もまず気付く事はないかと」
「あぁ、そこを探してバチカルから出ようってお前は思ってるのか」
「その通りです」
辺りが薄暗く景色も見えない中、ルークが発した言葉を皮切りにこの場所の由来に外に出られると思ったわけをカノンが話していき、ルークはその推測に納得したように声を上げる。
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「・・・俺に付いてる事が不思議だってのか?その言い方」
「いえいえ、そのようなことは」
「あからさまに俺やファブレに対しての批判にしか聞こえねーこと言っといて今更だろ・・・でもそれは前に俺も思ってたことなんだよ」
「ほう?」
そこでポツリとジェイドが呟きを漏らすが、その中身にルークが問いかけを向けるが空とぼけようとする。ルークはそんな態度を指摘しつつも昔を思い出すよう自分もそう思っていたと口にする。
「元々から俺付きだったカノンでよく気にかけてくれてたんだけど、その行動が他に比べてもすごいって俺も次第に気付いてったんだ。それこそファブレの執事としてだけじゃなくても優秀だってくらいに・・・それで俺はある時カノンに聞いたんだ。俺に付くのをやめて自由にやりたくないのか、俺の面倒ばっかり見るのは飽きたんじゃねーのかって。でも俺のそんな声にカノンは一切揺るぐことなく答えてくれた。貴方を見守りたいからこそ私はここにいるのですって・・・正直俺はカノンに自分が主なんだって偉そうな事を言える立場はあっても、資格なんてないと思ってる。でもカノンがそこまでの事を言ってくれたからせめて俺は信じるって決めたんだ。主としてじゃなく一人の人間としてカノンを信頼するって」
「・・・そうですか」
ルークの迷いのない清々しい言葉に関心を示していたジェイドだったが、気のない返事を返すその様子はうんざりしているように見えた。その中でアイオロス達はそっと微笑ましげに笑みを浮かべていた。
「・・・お待たせしました。話をつけてまいりましたが・・・何かありましたか?」
「あっ、いや・・・なんでもねーよ、ちょっと話し込んでただけだ」
そこにカノンが戻ってきたがその空気に首を傾げ、ルークはちょっと恥ずかしげに慌てて誤魔化す。
「そうですか・・・天空客車は使えるように致しましたが、追手を避けるためにも我々が乗った後は念を入れて誰も天空客車を使わせないようにと頼んでおきました。後はその事を悟られぬように天空客車を使ったことは報告しないようにとも」
「そうか・・・んじゃ行こうぜ」
カノンはそこには触れず話を進め後の対処も含め大丈夫なようにしたと言い、その仕事に納得したルークの声から一同はその天空客車へ乗らんとする・・・
・・・そして天空客車に乗って一同が辿り着いたのは、一面が暗くなった洞窟・・・いや、工場だった。
「なんだ、ここは・・・?」
「私も話を聞いただけですが、ここはかつて使われていた工場地だとの事です。しかしバチカルが今の形になっていくにつれて天空客車をわざわざ使わねば向かえぬこの工場を使う理由も次第に無くなっていき、人の立ち寄らぬ廃工場と化したとのことです」
「ふーん・・・で、なんでこの廃工場が外に出ることに繋がるんだ?」
「この廃工場はクレーターの外側に沿って造られています。そしてそのような造りであるならば物資の引き渡しや人の出入りを助けるために外側から出入り出来るようなポイントがあっても不思議ではない上、この工場の存在は今バチカルに住む者にとってもほとんど馴染みのないものですので神託の盾もまず気付く事はないかと」
「あぁ、そこを探してバチカルから出ようってお前は思ってるのか」
「その通りです」
辺りが薄暗く景色も見えない中、ルークが発した言葉を皮切りにこの場所の由来に外に出られると思ったわけをカノンが話していき、ルークはその推測に納得したように声を上げる。
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