世界の奔流の一幕に聖闘士の影
「・・・そ、そうですわ!私やらねばならないことがあったのですわ!私、これで失礼します!」
そんなナタリアが取った行動は、勢いに任せて逃げるというもの。焦りを隠すことも出来ず、言いたいことを言うだけ言い切るとナタリアはすぐにその場を後にしていった。
「・・・あからさまに誤魔化してはいたが、嘘だろうな。ナタリア様のあの言葉は」
「大方ルーク様に懇願をしてアクゼリュス行きを願うおつもりだったのでしょう。屋敷に戻られた時にナタリア様が行きたいと漏らしていたとルーク様はおっしゃっていましたので、直接話をしに来られたのだと思われます」
その姿を見送った後そっとヴァンもカノンもナタリアの態度が変であったことについて会話を交わす、吐いてこそいないがタメ息を吐くような様子で。
「それはそうと・・・ナタリア様はもう戻られたのだから、今からルークに会えないのか?」
「承服出来ません。先程も言いましたが、貴方の疑惑はまだ晴れた訳ではありませんので」
「っ・・・」
そこから話題転換だとルークに会うことを再度願い出てくるヴァンだが、すぐさま一蹴して返すカノンに言葉を詰まらせる。
「・・・おや?貴殿方が何故ここにいるのでしょうか?」
「・・・カーティス大佐、それとグランツ響長。お待ちしておりました」
「っ・・・!」
そんな場に今度はジェイドとティアの二人が現れたのでカノンは頭を下げて対応するが、ティアはカノン達を見てキッと表情に敵意を浮かべる。
「この度は我々も公爵様よりの命でルーク様の護衛を兼ねてアクゼリュスに向かうことになりました。ただ貴殿方が我々の事を快く思わないのは当然の事かと思われます・・・ですので我々の事はあまり気にされずに道中お過ごしください。我々も用がなければ貴殿方に極力話し掛けないように致しますので」
「・・・それはつまり、あえて我々と深く関わるおつもりはないと?」
「・・・そう望まれているのは貴方ではなく、そちらの方だとお見受けしますが?」
「・・・っ!」
カノンは気にせず同行についてと気を使い話しかけずにすると言うが、意味深に問いを向けるジェイドに仕方なさそうにカノンはティアの方に視線を向ける。そこには未だ敵意を向けるティアの姿があった。
「こちらも和平という事柄に関わる以上、力を尽くすことに異はございません。ですがそれが国と国であるならともかくとしても、個人と個人の間にまでもそうであるようにと強制することは出来ないかと思われます・・・現にティア=グランツは我々に対しよい感情を持っていないのは目に見えています」
「それは「当然でしょう、あんな風に扱われたのに・・・!」・・・っ」
それで視線をジェイドに向け直し嫌われているだろう事を口にするカノンにジェイドは何か言おうとするが、ティアが溜まった鬱憤を晴らすかのよう恨み言を口にした事に言葉を止められた。
「・・・とのことです。百歩譲って貴方はともかくとしても、ティア=グランツにこちらと仲良くなどという気はないでしょう。そしてこちらから頭を下げてまでなどというつもりは・・・毛頭ございません」
「・・・そこまで言うと?」
「当然です。こちらが謝るような道理はございません。それとも貴方はこちらが下手に出ねばならぬ理由があるとでも仰るのでしょうか?マルクトの人間である貴方がキムラスカとダアトの人間である我々の不仲に関して介在する理由が」
「・・・いえ、ありませんね」
「そう答えるのでしたら必要以上にこちらに介入するのは控えられてください。気持ちがこもらずただ仲良くするようになどと言われても、こちらには従う義理はございません」
「・・・くっ・・・!」
そのティアの言葉に自身の言葉も織り交ぜ話を進めていくカノン。その中で仲良くしなければならない理由はないだろうと言ったことにジェイドも頷くが、すかさず痛いところを突くように介入するなと言われたことに小さく口の中で悔しげに声を上げた。そう言われてしまえば答えようがなくなってしまうために。
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そんなナタリアが取った行動は、勢いに任せて逃げるというもの。焦りを隠すことも出来ず、言いたいことを言うだけ言い切るとナタリアはすぐにその場を後にしていった。
「・・・あからさまに誤魔化してはいたが、嘘だろうな。ナタリア様のあの言葉は」
「大方ルーク様に懇願をしてアクゼリュス行きを願うおつもりだったのでしょう。屋敷に戻られた時にナタリア様が行きたいと漏らしていたとルーク様はおっしゃっていましたので、直接話をしに来られたのだと思われます」
その姿を見送った後そっとヴァンもカノンもナタリアの態度が変であったことについて会話を交わす、吐いてこそいないがタメ息を吐くような様子で。
「それはそうと・・・ナタリア様はもう戻られたのだから、今からルークに会えないのか?」
「承服出来ません。先程も言いましたが、貴方の疑惑はまだ晴れた訳ではありませんので」
「っ・・・」
そこから話題転換だとルークに会うことを再度願い出てくるヴァンだが、すぐさま一蹴して返すカノンに言葉を詰まらせる。
「・・・おや?貴殿方が何故ここにいるのでしょうか?」
「・・・カーティス大佐、それとグランツ響長。お待ちしておりました」
「っ・・・!」
そんな場に今度はジェイドとティアの二人が現れたのでカノンは頭を下げて対応するが、ティアはカノン達を見てキッと表情に敵意を浮かべる。
「この度は我々も公爵様よりの命でルーク様の護衛を兼ねてアクゼリュスに向かうことになりました。ただ貴殿方が我々の事を快く思わないのは当然の事かと思われます・・・ですので我々の事はあまり気にされずに道中お過ごしください。我々も用がなければ貴殿方に極力話し掛けないように致しますので」
「・・・それはつまり、あえて我々と深く関わるおつもりはないと?」
「・・・そう望まれているのは貴方ではなく、そちらの方だとお見受けしますが?」
「・・・っ!」
カノンは気にせず同行についてと気を使い話しかけずにすると言うが、意味深に問いを向けるジェイドに仕方なさそうにカノンはティアの方に視線を向ける。そこには未だ敵意を向けるティアの姿があった。
「こちらも和平という事柄に関わる以上、力を尽くすことに異はございません。ですがそれが国と国であるならともかくとしても、個人と個人の間にまでもそうであるようにと強制することは出来ないかと思われます・・・現にティア=グランツは我々に対しよい感情を持っていないのは目に見えています」
「それは「当然でしょう、あんな風に扱われたのに・・・!」・・・っ」
それで視線をジェイドに向け直し嫌われているだろう事を口にするカノンにジェイドは何か言おうとするが、ティアが溜まった鬱憤を晴らすかのよう恨み言を口にした事に言葉を止められた。
「・・・とのことです。百歩譲って貴方はともかくとしても、ティア=グランツにこちらと仲良くなどという気はないでしょう。そしてこちらから頭を下げてまでなどというつもりは・・・毛頭ございません」
「・・・そこまで言うと?」
「当然です。こちらが謝るような道理はございません。それとも貴方はこちらが下手に出ねばならぬ理由があるとでも仰るのでしょうか?マルクトの人間である貴方がキムラスカとダアトの人間である我々の不仲に関して介在する理由が」
「・・・いえ、ありませんね」
「そう答えるのでしたら必要以上にこちらに介入するのは控えられてください。気持ちがこもらずただ仲良くするようになどと言われても、こちらには従う義理はございません」
「・・・くっ・・・!」
そのティアの言葉に自身の言葉も織り交ぜ話を進めていくカノン。その中で仲良くしなければならない理由はないだろうと言ったことにジェイドも頷くが、すかさず痛いところを突くように介入するなと言われたことに小さく口の中で悔しげに声を上げた。そう言われてしまえば答えようがなくなってしまうために。
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