世界の奔流の一幕に聖闘士の影

(もう、伯父様ったら・・・あの場ではスムーズに場を進める為とは分かっていますが、もう少し空気を読んでくださってもよかったはずですわ・・・!)
・・・そして場は解散の流れとなり自分の部屋に急いで戻ったナタリアは動きやすい格好に着替えたが、その内心では公爵の行動に怒りを覚えていた。
(・・・まぁいいですわ。今からファブレ邸に向かえば出発する前のルークの元に行けるはずですから、すぐに向かわないと・・・!)
しかしナタリアはすぐに心を切り替えルークに会いに行こうと嬉々と足を運ぶ、自分もアクゼリュスに行くために・・・












(っ・・・あれは、カノン・・・)
それでファブレ邸の門が見える位置に来たナタリアだが、門の前にいたカノンにデスマスクにアイオロスにカミュの姿に苦い顔を浮かべる。
(・・・仕方ありませんわ、ルークに会うにはあそこを通らなければなりませんし・・・)
だがナタリアはそのまま門の方へ向かう。嫌々だという顔を浮かべながら。



・・・ナタリアがここまでになる理由。それはカノンが苦手というのが大きいからだ。ガイがルークの教育係であった頃は気軽にルークに記憶の事を聞きに来れたのだが、カノンがルークの執事になってからはそれが容易に出来なくなった。カノンがいればルークに強く出る前にシャットアウトされることが多々あり、カノンがいなくてもルークはすぐにカノンの元に行ってしまう為に。ただそれだけならナタリアは強い言葉でカノンを叱りつけてでも退かそうとしたろうが、カノンは退かないどころか時折丁寧な口調で道徳を説くようにナタリアに話をしたりもした。

その結果ナタリアは自分のやりたいことに言いたいことを出来ず、ファブレ邸を出ることはそれこそ何度もあった。そう言ったこともあってナタリアはカノンの事を立派な人間だと周りに言いはしても自分の意志が通じないことから苦手、もっと言うなら煩わしい存在と見ていた。



「・・・これは、ナタリア様。どうされたのでしょうか?」
「・・・ルークはどうしていますか?」
「ただいまルーク様は屋敷の中で出立の準備を整えられていますが、ナタリア様はルーク様に何かご用でしょうか?伝言でしたら私が承りますが」
「いえ、ルークに直接会って話がしたいのです。通していただけますか?」
「今申し上げましたが、ルーク様は出立の準備を整えられています。お着替えをされているやもしれませぬし、そろそろ出てこられるかもしれません。ですので申し上げたいことがありますなら私が代わりにお聞きしますが、直接話したいと申されるならこちらでお待ちください」
「っ・・・」
それで門の前に来てカノンに声をかけルークに会いたいとナタリアは切り出すが、丁寧な口調ながらも頑としてすぐにはルークには会わせないと返され苛立たしげに顔を歪めかける。言っていることが道理を得ているため、自分の道理だけを突き付ける訳にはいかないと分かるために。
「・・・あら?では何故貴方はこちらにいるのですか?ルークの専属執事であるはずの貴方がルークと離れてここに立っているとは・・・」
そこでふとナタリアは不自然さに気付き首を傾げた、カノンがルークと離れていることの不自然さに。
「その事ですが私、そしてこちらのデスマスク達も公爵様よりの命を受けアクゼリュスに向かうことになったためです」
「っ・・・貴方達も・・・?」
だがナタリアはその答えに愕然としかけた、カノンも行くとなったことに。










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