聖闘士の暗躍に世界の流れは変わり出す
『うまくいったな、カノン』
『あぁ・・・少し心苦しくはあったが、ここまで来れば後はこちらの思うように動いてくれるだろう』
その姿にミロから小宇宙によるテレパシーが向けられ、カノンも多少苦そうにしながらも肯定を返す。
・・・そう、ここまでの流れというものはカノン達にとって予定通りの物であった。とはいえこれは元々予定していた流れとは大分違う流れになるのだが、今の流れはそれはそれで予定していた物より順調な物と言えた。
元々アイオロス達三人が予定していた流れは単に否応なしにアッシュを引き連れ、ミロのスカーレットニードルで公爵の前で拷問紛いに本音を引き出す事であった。しかし一輝の得た情報を聞いたことで状況は変わった・・・公爵の気持ちをこちらに引き入れる事に考えが行くことで。
それでアッシュを攻めるというよりはむしろ公爵の良心に訴えかけるようなやり方でミロがスカーレットニードルを放ち会話の流れを攻め手を緩めないように持っていった訳だが、これが効果は絶大であった。おそらくアッシュは単なる痛みだけであったら自分で話をするのはギリギリまで拒否をしていただろうし、公爵もすんなりと事を明かすと決断は出来なかっただろう・・・これも一輝のおかげと言えた。
・・・だが今のこの流れはまだ終わりとは言えない、むしろ重要な流れの始まりと言えた・・・
・・・それから公爵より話を受けたカノン達だが、この話はモースよりの話と大体同じ話であった。違う点と言えば公爵の視点から見てる話であったこと、それと前からその預言について知っていたという事であった。
「・・・という事だ」
「成程・・・そういう事でしたか」
そして話をし終わった公爵にカノンは一応の納得をするのだが、真剣な面持ちでアッシュに視線を向ける。
「・・・その話の中身を考えれば謡将は十中八九預言の事を知っていたと見ておかしくはないでしょう。いくら大詠師とは言えその考えを実行するのに自分だけで行動をと言うのは手が足りない可能性がありますから、大詠師の意志を代行する手足の役目を担っていた可能性が高いかと」
「っ・・・そうなるとやはり、アッシュは自分の意志でヴァンについたということか・・・？」
「少なくともこの様子から謡将より事実を聞いていた事は確定しているかと」
「・・・っ・・・」
そのままヴァンが事情を知っていた可能性の高さを指摘するカノンに公爵から恐る恐る確認を向けられるが、視線を反らさず知っていただろう事を反応から断言されアッシュは気まずい空気を滲ませ何も言えず目を反らし閉口する。
「・・・アッシュ・・・お前は本当に事実を知った、のか・・・だからお前はファブレに戻ろうとすることなく、ダアトにヴァンに連れられ逃げたと言うのか・・・？」
「・・・っ・・・」
「・・・いや、私にはそれを言う資格はなかったか・・・結局私はお前にその預言を実行させることを選んだのだからな・・・」
「っ、父上・・・」
公爵はその姿に今までで一番弱々しく自身の本音をうなだれて漏らし、アッシュも頑ななその態度を揺らす・・・厳格な父のその姿は見ていて動揺するものがあったのだろう。
「・・・公爵様、空気を読まずあえて口を挟みますがどうされますか？アッシュの事も、ですが・・・ルーク様に関しても」
「・・・ルークも、か」
カノンはあえてその中に切り込むよう質問をぶつける、二人の『ルーク』に関して。公爵は複雑そうに声を漏らすが、その瞬間アッシュが目を大きく敵意に染めて剥いた。
「ルーク、だと？ハッ、あんな野郎劣化レプリカで十分だ！」
「・・・何？」
それで盛大にルークに対しての悪意ある言葉を放つアッシュにカノンはピクッと反応するのだが、その瞬間黄金聖闘士のアイオロス達だけが気付いた。瞬く間の一瞬、怒りと共に燃え上がりかけた小宇宙がカノンの体から出ていた事を・・・
．
『あぁ・・・少し心苦しくはあったが、ここまで来れば後はこちらの思うように動いてくれるだろう』
その姿にミロから小宇宙によるテレパシーが向けられ、カノンも多少苦そうにしながらも肯定を返す。
・・・そう、ここまでの流れというものはカノン達にとって予定通りの物であった。とはいえこれは元々予定していた流れとは大分違う流れになるのだが、今の流れはそれはそれで予定していた物より順調な物と言えた。
元々アイオロス達三人が予定していた流れは単に否応なしにアッシュを引き連れ、ミロのスカーレットニードルで公爵の前で拷問紛いに本音を引き出す事であった。しかし一輝の得た情報を聞いたことで状況は変わった・・・公爵の気持ちをこちらに引き入れる事に考えが行くことで。
それでアッシュを攻めるというよりはむしろ公爵の良心に訴えかけるようなやり方でミロがスカーレットニードルを放ち会話の流れを攻め手を緩めないように持っていった訳だが、これが効果は絶大であった。おそらくアッシュは単なる痛みだけであったら自分で話をするのはギリギリまで拒否をしていただろうし、公爵もすんなりと事を明かすと決断は出来なかっただろう・・・これも一輝のおかげと言えた。
・・・だが今のこの流れはまだ終わりとは言えない、むしろ重要な流れの始まりと言えた・・・
・・・それから公爵より話を受けたカノン達だが、この話はモースよりの話と大体同じ話であった。違う点と言えば公爵の視点から見てる話であったこと、それと前からその預言について知っていたという事であった。
「・・・という事だ」
「成程・・・そういう事でしたか」
そして話をし終わった公爵にカノンは一応の納得をするのだが、真剣な面持ちでアッシュに視線を向ける。
「・・・その話の中身を考えれば謡将は十中八九預言の事を知っていたと見ておかしくはないでしょう。いくら大詠師とは言えその考えを実行するのに自分だけで行動をと言うのは手が足りない可能性がありますから、大詠師の意志を代行する手足の役目を担っていた可能性が高いかと」
「っ・・・そうなるとやはり、アッシュは自分の意志でヴァンについたということか・・・？」
「少なくともこの様子から謡将より事実を聞いていた事は確定しているかと」
「・・・っ・・・」
そのままヴァンが事情を知っていた可能性の高さを指摘するカノンに公爵から恐る恐る確認を向けられるが、視線を反らさず知っていただろう事を反応から断言されアッシュは気まずい空気を滲ませ何も言えず目を反らし閉口する。
「・・・アッシュ・・・お前は本当に事実を知った、のか・・・だからお前はファブレに戻ろうとすることなく、ダアトにヴァンに連れられ逃げたと言うのか・・・？」
「・・・っ・・・」
「・・・いや、私にはそれを言う資格はなかったか・・・結局私はお前にその預言を実行させることを選んだのだからな・・・」
「っ、父上・・・」
公爵はその姿に今までで一番弱々しく自身の本音をうなだれて漏らし、アッシュも頑ななその態度を揺らす・・・厳格な父のその姿は見ていて動揺するものがあったのだろう。
「・・・公爵様、空気を読まずあえて口を挟みますがどうされますか？アッシュの事も、ですが・・・ルーク様に関しても」
「・・・ルークも、か」
カノンはあえてその中に切り込むよう質問をぶつける、二人の『ルーク』に関して。公爵は複雑そうに声を漏らすが、その瞬間アッシュが目を大きく敵意に染めて剥いた。
「ルーク、だと？ハッ、あんな野郎劣化レプリカで十分だ！」
「・・・何？」
それで盛大にルークに対しての悪意ある言葉を放つアッシュにカノンはピクッと反応するのだが、その瞬間黄金聖闘士のアイオロス達だけが気付いた。瞬く間の一瞬、怒りと共に燃え上がりかけた小宇宙がカノンの体から出ていた事を・・・
．
