聖闘士の暗躍に世界の流れは変わり出す

「・・・アッシュ、お前が何を思い今神託の盾にいるかは知らない。が、素直に何を思っているのか明かした方が身のためだと言わせていただこう。それとも神託の盾もだが、謡将に忠誠を立ててあえて口をつぐむか?」
「・・・フン、てめぇに言ってなんになる!」
「・・・固く意地を張ってまで拒否を示すか。いいだろうミロ、続けてくれ」
「分かった」
‘ピピッ!’
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「アッシュ・・・!」
そのまま話をするよう薦める訳だがすぐに否定を叫ぶ姿に、カノンはミロにスカーレットニードルを放つように言い了承を返すとすぐに二発更に打ち込む。すぐにアッシュは激痛に叫び声を上げ、公爵は痛ましげに顔を背ける。
「一発一発では話にならんだろうからあえて今回は二発放った・・・これが常人なら耐えれる限界の三発目だ。これ以上受けることは勧めんぞ・・・死ぬだけならまだ傷の具合で判断をくだせるだろうが、発狂は判断をすることも出来ん。そして更に数を重ねれば重ねる程、痛みは増していく・・・もう肉体も精神もいつ死ぬか分からん。無事に事を納めたいなら今のうちだ」
「・・・ぐおぉぉぉ・・・っ!」
「待て!やめてくれ!・・・もうこれ以上、アッシュを傷つけないでくれ・・・!」
「っ・・・父上・・・っ!?」
ミロは爪を伸ばしたままアッシュの顔面に突き付け最後通告を向けるが、アッシュは痛みに悶えながら弱々しく抗議の意志のこもった目を向けてくる・・・が、アッシュの前に身を滑り込ませ体を盾にした必死な公爵を見て戸惑いに目を揺らした。
「命令、いや頼むカノン・・・もうこれ以上はやめてくれ・・・」
「命令ではなく、でしょうか?」
「あぁ・・・ここまで来れば否応なしに私にも分かる。お前が引くつもりがないことが・・・それこそ私の命令でもだ。だからこそ頼む、カノン・・・これ以上はやめてくれ・・・」
「父上・・・」
・・・公爵のその顔と声には悲痛な想いがこもっていた。懇願を向けるその姿にカノンは確認を取り、更に頭を下げてまで制止を願うその姿にアッシュがなんとも言えない声を漏らす。
「・・・分かりました、と言いたい所ですがアッシュの本心を聞かねばこれから如何様な行動を取るかをはっきりさせる事は出来ません。そのことは公爵様も感じられていることでしょう」
「・・・それは確かにそうだが・・・」
「ただこのままではアッシュは素直に考えを明かさず、平行線を行くばかりの状況が続くでしょう・・・そこで代わりという訳ではありませんが、アッシュがキムラスカを離れるまでに至った訳・・・その心当たりについてお話いただけないでしょうか?」
「っ!?そ、それは・・・言わねばならないのか・・・!?」
しかし引く気はないと冷静に言葉を紡ぐカノンが出した交換条件に、公爵は動揺に揺れ確認を取ってくる。
「これは今までの話の流れにお二人の様子を私なりに総合して考えたことですが、謡将に連れられダアトに行きキムラスカに戻ってこなかった理由と公爵様が推測されていること・・・これはおそらく一致しているのではと思いました」
「「・・・!」」
「・・・その反応、片方だけなら勘違いの可能性もあったでしょうが二人揃ったとなれば同じことを考えていた可能性が高くなりましたね」
「っ・・・アッシュ・・・」
「・・・っ」
そんな問いかけにキムラスカをアッシュが出た理由が互いに思っていることが共通してると予想をつけるカノンに公爵もアッシュも同じタイミングでドキリとし、それを口にするカノンに公爵はアッシュに視線を向けるが焦って誤魔化すように視線を反らす。
「勿論我々も事実を知ったからと言って、おいそれと言い触らすような真似は致しません。ここでその理由を明かすこと、それが事態を解決に繋がると確信しているからこそ申し上げているのです・・・話していただけますね?」
「・・・分かった。もうここまで来てしまっては黙りようもないだろう。全てを話す」
すかさず丁寧に沈黙を約束しつつ最後の選択をカノンが迫れば、公爵もカノンに向き直り神妙に頷いた。









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