聖闘士の暗躍に世界の流れは変わり出す

「まず先に申し上げるなら、この事を知ったのはあくまでも偶然の上での事とアイオロスがその場にいたからだということです」
「っ・・・そうなのか?アイオロスとやら・・・」
「はっ。おそらくカノンより報告はお受けでしょうが、マルクトの平野部においてタルタロスが神託の盾に襲われました。その時に導師の身を案じ私はカノン達を先に行かせてその場に残っていたのですが、そこで私は鮮血のアッシュとして魔弾のリグレットと共に現れ私とカーティス大佐を彼は襲いました」
「「・・・っ!」」
まずは状況説明からとタルタロス襲撃の事をアイオロスに話が行くようにカノンが誘導し、公爵が戸惑いながら聞けば正直に語られた経緯に公爵だけでなくアッシュも息を呑む。
「それよりは神託の盾より逃げ顔を合わせる事はありませんでしたが、その顔を見て何故ルーク様と瓜二つの容姿を持っているのか・・・その事を調べていました。その際の経緯は後にお話致しますが結果アッシュは『本物のルーク=フォン=ファブレ』である、と分かりました」
「・・・そう、なのか?アッシュ、いやルーク・・・?」
「ち、ちうえ・・・」
そのまま結論を再度語るアイオロスの声を受け公爵は弱々しい様子でアッシュに確認を取ると、複雑に父と漏らし視線をさ迷わせる。
「・・・公爵様。私がこの場で二人をお引き合わせしたのは、再会を用立てる為ではございません。私はこの場で明らかにするために来たのです、大詠師に謡将・・・特に謡将が何を企んでいるのかを」
「何・・・?」
そして公爵がアッシュの肩を触れようとした瞬間カノンの声が聞こえてきたことにたまらず振り返る、あまりにも真剣でいて剣呑な響きに表情と声が満ちていた為に。
「ただその事実を明らかにするには当人からの言葉が必要になりますが、あえて今はアッシュと呼び神託の盾の人間として接させていただきます・・・アッシュ、今の状況は分かるはずだ。ここにはおそらく不本意な形でいることは予想はついている。事実ムウとミロの二人にここに無理矢理連れてこられたのだからな・・・このようなことを言われたくないのは承知しているが、あえて言わせてもらう。これからこちらの言うことに全て素直に答えれば何もせずに解放するから、こちらに協力してほしい」
「・・・」
「ルー・・・アッシュ・・・」
カノンはそこからあえてアッシュに向けての言葉遣いで真剣に協力を願い出、公爵は心配そうな目でアッシュに視線を向ける。
「・・・フン、なんで俺がわざわざてめぇらなんかに協力しなきゃならねぇんだ!それにどこで事実を知ったか知らねぇが、こんな小細工までして俺を協力させたいのか!?いいからさっさと解放しやがれ!」
「!・・・アッシュ・・・」
そして少ししてアッシュが出した結論は拒否、それも威勢のいいものだった。おそらく二人が体を押さえていなければカノンに襲いかかっていただろうその姿に、公爵は苦しそうな顔になる。
「・・・やはりそうなるか。すまないミロ、出番だ」
「分かった」
「何・・・?」
「公爵様、少し辛い場面になるかと思われますが制止をかけるのはお止めになられてください。少々手荒い事を致します」
「っ・・・うむ、分かった」
しかしそんな返答を予期していたかのようカノンの言葉にミロがムウに片方の腕を渡してカノンの横に立つ姿に公爵は首を傾げたが、有無を言わさず手荒い事をすると宣言すると力を込めて言われ否定が出来ずに頷く。
「手荒い事だと?ハッ、俺を拷問でもしようってのか!?」
「・・・先に一つ言っておく。これから放つ技は降伏か死かのどちらかを選べる余地のある慈悲深い技と言える物だが、これは常人が受ければ精々三発が耐えれる限界になるものだ。発狂するか息絶えるか・・・そうなる前に素直に恭順しろ。そうすれば俺は技を止める」
「っ・・・人差し指の爪が・・・!?」
アッシュは話の中身に負ける気はないと見下す笑みを浮かべるがミロが注意を告げると共に、顔の前に掲げて見せた人差し指の爪が伸びる姿に目を丸くする。



「受けよ真紅の衝撃!スカーレットニードル!」










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