聖闘士の暗躍に世界の流れは変わり出す

「・・・それを言うなら貴方はこの上層部にも似合うような姿をしているわねぇ」
「買いかぶりだ、あくまでこの格好は精一杯に取り繕っているに過ぎん。ただの一般人だ、私は」
「へぇ・・・」
(・・・成程、どうやら向こうも私を値踏みしているようだな。これはますますもってこの三人は怪しいと言える・・・)
しかし女の方も質問をしてきたので一先ずカミュも返答を返すが、感心するようでいて探るような視線をさりげなく向けてくるその姿に内心警戒を強める。
「・・・まぁいいわ。行くよ、あんた達」
だが女はそれ以上は何も言わず連れの男二人に切り上げを切り出し、三人は場から立ち去っていく・・・
「・・・おそらく導師をさらうのなら神託の盾は警戒を兼ねて変装するか、誰かに依頼をするなりの用心はするだろう。あの三人は要注意だ」
その後ろ姿を見ながらカミュは一人警戒心を滲ませ呟く、イオンの身柄の安全に三人も関わっている可能性があると・・・















・・・それから時は過ぎ、バチカルは一面闇に包まれ夜の様相を呈する時間帯になった。



「・・・よっ、カノン」
「・・・来たか」
・・・そんな中でファブレの屋敷の前で待っていたカノンの元にデスマスクとアイオロスの二人が姿を現す。
「カミュは導師の身を案じて来ない、とのことだが・・・そちらは準備は出来ているか?」
「あぁ、ムウから連絡を受けてどうにか公爵を連れていく算段もついた。後はミヤギ道場を貸し切って道場主であるミヤギを退出させムウ達を先に向かわせたから公爵を呼び共に行くだけだ」
「そうか・・・なら公爵を呼んできてくれカノン」
「あぁ分かっている」
アイオロスがすかさず今後の流れについて切り出し、カノンも淀みなく返していきファブレ邸の中へと入っていく。











・・・それで滅多にないカノンの願い出との事で特別に公爵は屋敷をカノンと共に出て、一行と共に夜の街中を公爵は歩いていく・・・それで着いた先にあったミヤギ道場を見て何をといぶかしんでいた公爵だったが、その疑念は道場に入り最奥部の扉の先の光景を見てそれ以上の驚愕に変わってしまった。
「っ!?・・・カ、カノン・・・こ、これは一体どういうことだ・・・!?」
そしてすぐさまカノンに混乱のまま視線を向ける公爵・・・そんな公爵が見たものとは・・・



「・・・ち、父上・・・!」



・・・両腕をムウとミロに両方づつ取られ、膝だちの状態でこちらを同じように驚愕の目で見てくるアッシュというまさかの光景であった。
「・・・公爵様、私もルーク様を探す旅に出るまではこのような事になるとは思ってもいませんでした。ですがあの旅で何が分かったのか、それを今この場でお話をしたいと思います。目の前にいる『鮮血のアッシュ』、いえ『本物のルーク=フォン=ファブレ』にも同席いただく形で」
「「!?」」
対するカノンは表情を変えず淡々と、だが聞き逃さずにいられない力を持った声で述べ上げた。アッシュにも『本物のルーク』として参加してもらうと。いきなりの宣言に二人は驚愕と絶句する以外に出来なかった。







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