聖闘士の暗躍に世界の流れは変わり出す

「はっ!ここは屋敷の部屋・・・?」
・・・数秒後、ペールはハッとして目を覚ましベッドから身を起こす。そして入口の方を見ると、そこにはペールに背を向けるデスマスクの姿があった。
「んじゃこれからどうするかはしばらく考えてからカノンに伝えてくれ。ちなみに俺の事は誰も信じないだろうけど、言わないでくれよ」
「お待ちください・・・せめて最後に一つ、貴殿方は何者なのですか?」
「・・・あえて本当の事を言うなら聖闘士だが、あんたはこの言葉を聞いてもなんのことかはわかんねぇだろ。ま、大雑把に世界の平和を守るための存在と思ってくれりゃいい・・・んじゃな」
‘ガチャッ、バタン’
「聖闘士・・・」
デスマスクはそのまま頭上でヒラヒラ手を振り退出しようとするが切なる声をペールが上げたので、仕方なさそうに本当の事を漏らしてから部屋を出る。ペールは一人残った部屋でその言葉を呆然としながらも呟いていた・・・



『終わったぜ、カノン』
『済まんな、デスマスク』
・・・それで部屋を出てから庭に戻る傍ら、小宇宙の通信をカノンに向けるデスマスク。
『どうだ、首尾は?』
『まぁ見た所素直ってか分別はあったからファブレで事に及ぶ事はないだろ。一応どうするか決めたら後でお前に言うように言っといたからその時は聞いてやれ』
『あぁ』
『しかしまぁ、あのじいさんももうちょい先代の事に気をやってりゃガイも道を踏み外しはしなかったろうにな』
『・・・そこは復讐に身を投じたいと本人も思っていたのもあったからだろう。事実俺も何度かペールが殺気を滲ませている時を見掛けたことはあった。ガイ程頻繁ではなかったし露骨な殺気ではなかったがな』
『そんな存在をお前は放っといてたってのか?』
『役割がある故に単体なら問題はないと見たからだ。普段ペールはルークに話しかけられても恭しく振る舞うに留まり、ガイと違い積極的に接触しようとすることは避けていた。そして観察するにつれてペールはガイのサポートが主な役割ではと俺は見た。ガイの事をマークしていればそれほど驚異ではないと』
『成程ねぇ・・・そこまで警戒してこそ見えたものもあったってことか』
それで報告と共に会話を交わす二人だが、ペールの様子から事細かに分析をしたと語るカノンにデスマスクは納得しつつ庭に繋がる扉の前に立つ。
『んじゃ俺はそこに戻るが、このまま話は続けるぞ。そろそろムウ達も来るんだ、ルークに付き合わなきゃならねぇのは分かるがいい加減駄弁るだけの時間はちょっと遠慮してぇしな。今後の為にも』
『そうだな、そろそろ真面目な話もしたかったところだ』
『カミュ・・・わかった、このまま話すぞ』
そのまま扉を開けつつ真剣な話をしたいと切り出すデスマスクにカミュも同意した所で、デスマスクが戻った事に表面上では対応しつつカノンは通信で頷きの返事を返す。
『・・・ただ何を話していいものかと思ったがこれから先に話しておく。おそらくまず近い内にヴァンとティアのグランツ兄妹は解放されることになる』
『何・・・それはどう言うことだ?』
『前から話に出ていた大詠師、モースが口を出してきたからだ・・・公爵が当事者であった俺にだけと先に話してくれたが、何とか二人を解放しろと言葉は丁寧だったがごり押しで直談判してきたらしい。だから近い内に条件付きで解放するようになったようだが、正直俺はそれもなんらかの企みがあってのことと見ている。おそらく妹ではなく兄の方が絡んだ、な』
『兄、ねぇ・・・実物を見た訳じゃねぇからまだなんとも言えねぇが、お前が言うんだからそれだけの胡散臭さに何かがあるんだろうな』
それで少し悩みつつもグランツ兄妹の解放についてを話すカノンにカミュは意外そうに声を上げ、デスマスクはその推測に興味深げに声を上げる。










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