聖闘士の暗躍に世界の流れは変わり出す

「・・・ま、後悔すんのは勝手だがとりあえず俺から伝えるべき事は伝えた。後はあんたにこの選択肢を提示する」
「選択肢・・・?」
「あんたに残った選択肢・・・それは屋敷を出ていくか、復讐を諦めてって条件付きで屋敷に残るかどうかだ」
「っ・・・なんでその二つだけだと・・・?」
そんなペールにデスマスクは選択肢を上げると二つの行動を提示するが、そうなる理由が分からずペールは首を傾げる。
「見たところあんたは忠誠心を持った忠臣って所だろうが、だからこそあんたにはファブレに復讐をするって選択はもうないだろ。ガイって主はもういないし、何より先代方の意志を聞いたからこそ復讐をする気はなくなったはずだ・・・そうだろ?」
「っ・・・はい、先代方の意志を聞いてしまってはもう・・・それにガイラルディア様がいない今となって私だけが復讐を為しても、それこそ意味がないので・・・」
「そう、そう見たからだよ。あんたはそういう人間だ・・・だからこそ選択しなきゃならない」
デスマスクはその問いにすぐに答えず問いで返すと、忠誠心を滲ませ苦心する姿を露にするペールにだからだと指を突き付ける。
「ガルディオスの先代方からすればガイとやらの行動も問題ではあったが、更にまた問題として上げると出てくるのは件のヴァンの行動だ」
「・・・それは・・・ルーク様の誘拐と言うか入れ替えの件、ですね?」
「そう。そしてそれはあんたらにも言わなかった・・・つまりは復讐とはまた別にヴァンとやらにはあんたらにも内密にして進めたい思惑があるってことだ。でまぁ多分あんたがヴァンとやらにどうなのかって意志を確認したって、はぐらかされるかあんたを取り込もうとするなりあんたを消すなりしてそれを公にする可能性はまずないと見ていい。何しろあんたらに隠れて相当に後ろ暗い事をしてんだからな、ヴァンは」
「それは・・・いえ、おそらくそうでしょう。ヴァンの行動は我々にとっての裏切りに等しい行為です。そのヴァンがやることは我々に謝りつつなだめるかどうかと言った所が関の山でしょう」
「だろうな。そして俺らはそんなヴァン達と対峙する事は決定してるが、そんな状況であんたに下手に動かれても困るんだよ。最悪あんたの義侠心からの行動が引き金になってルーク様を始めとしたファブレの家どころか、それ以上の被害が及びかねないんでね」
「!・・・私の行動がそれほどの意味を持っている、と言うことですか・・・」
その理由の主な所をヴァンだと切り出した上で、いかにペールの行動が影響があるのか・・・そう語るデスマスクにペールはハッと表情が曇り、冷や汗を浮かべる。
「ガイがファブレに戻ってくる確率は相当に低いから、ファブレへの復讐も視野に入れてるかもしれないヴァンが頼るとしたらあんた以外にいない。それで今更復讐をする事の意味のなさに気付いたあんたがそれに付き合う理由はないが、かといっていきなり屋敷を出ればあんたに不審の目が向けられる・・・だから俺はカノンの意志もあるが選択肢を上げたんだ。庭師を辞めるか続けるかをな」
「・・・それは・・・」
「・・・まぁいきなり決めろって言ったってどうとも言えねぇよな。だから現世に戻してやっから後でゆっくりと考えな。そしてその結論はカノンに話してやれ、いいな?」
「・・・はい、わかりました」
「んじゃ戻るぜ」
そして最後だと選択するための時間をやるから戻ると言い神妙にペールが頷いた所で、デスマスクは指に小宇宙を込めてペールに向けた。









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