聖闘士の暗躍に世界の流れは変わり出す

「どうされたのですか、導師?」
「いえ、バチカルに着いたら皆さんとお別れになるかと思うと少し寂しくなってしまいましたのでお話に来ました」
「そうですか・・・ではこちらにお座りください」
そのイオンにアイオロスは用向きを問うと忌憚のない笑顔を浮かべ話をと返ってきたので、笑顔を浮かべ返し丁寧に席を勧める。












・・・それからアイオロス達とイオン達は穏やかに雑談を交わした。そして時間が来て、バチカルへ着くとの汽笛が鳴り船を出ようと場にいた皆が動き出すがそんな中でイオンの隙を見てアニスにカミュが近付いた。
「・・・公爵との話が済み次第君の所に行く」
「っ、分かりました」
簡潔に声量を抑え一言、アニスも一瞬驚きを浮かべるがすぐに了承を返す・・・そう、ここがアニスにとっての分岐点なのだ。カミュ達にとってもアニスにとってもそこを見逃す気はなく、再度意志を確認しあったのだ。このバチカルでモースの糸を断ち切る為の意志があることを・・・












・・・そんなやり取りがあった後、程無くして船はバチカルの港へと位置をつけ一同はその地に降り立った。



「・・・お待ちしていました、私はセシル少将であります。皆様のご案内の役目を仰せつかまりました、よろしくお願いいたします」
イオンを先頭に一同がその地に降り立つと出迎えてくれたのは兵士を背後につけたセシル少将で、その型にはまったような綺麗な挨拶を一同は受ける。
『・・・はぁ、何やってんだかこの眼鏡は・・・さて、カノン達がいるとこは上層って話らしいが俺達は案内はあんのかね?』
『・・・む、セシル少将がこちらに視線を向けたな・・・』
国の使者同士の固い挨拶が飛び交うがジェイドの早速のセシル少将にとっての苦い思い出を思い出させる言葉にデスマスクが呆れる中、その声にカミュが反応して目の前の光景の事を呟く。
「さて・・・貴殿方三人のお話は伺っております。ルーク様の護衛に道中協力していただいたと。つきましてはルーク様が貴殿方をもてなしたいとのことですので、ファブレ邸にまでご同行していただけるでしょうか?」
「はい、ありがたく承らせていただきます」
セシル少将は先程の形式染みた挨拶から幾分か柔らかく同行を切り出し、アイオロス達は知っていた事ではあるが慎んで受けると頭を三人ともに下げる。
「受けていただいたことを感謝します・・・では皆様、付いてきてください。今から案内致します」
了承を得られたことに満足しつつもセシル少将はそのまま案内をすると空気を切り替え切り出し、一同はその後を付いていく・・・









・・・そして一同はセシル少将先導の元、城のある上層部へと辿り着く。
『なんとまぁ、近くで見るとすげぇ城だよな・・・確かクレーターの跡地に作られた土地なんだよな、バチカルは?』
『あぁ、国の土地としては守りやすく攻めにくい土地とは言えるが、その分縦に長い土地にする以外に人が多く住める土地にしようがなかったのだろう・・・だからこそこの壮大な城の形なのだろうが、地球にはまずない形の城と言えるなこの城は。この城の形は土地上仕方ない部分もあって細くはあるがそれを補う為、壮大に見えるような見映えを優先しているのだろう』
デスマスクが近くで見るその城の壮大さに感心しつつカミュに話を振れば、自身の推測を入れつつも肯定を返す。
「・・・む、あれは・・・」
「・・・お三方、執事カノンがいるあちらがファブレ邸になります。あちらにまで行きましたら執事カノンにお任せ致しますので、お三方はごゆるりと楽しまれてください」
そんな時遠目に見えたカノンの姿にアイオロスが反応すれば、セシル少将も気を遣ってファブレ邸だと説明した上で柔らかく楽しむようにと添える。







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