不死鳥よりもたらされる衝撃に双子の片割れは決断する

「・・・お知り合いですか?」
「・・・あぁ、ここにいるとは知らなかったから驚いたが・・・」
だが一人事情を知らぬジェイドが同じように一輝を見つけアイオロスに問いかけると、その声に冷静になって返事を返す。と、その声が聞こえたからなのか一輝は体を背け街中へと歩き出す。
「・・・すまないが、私達は彼に話を聞かねばならない。貴方は先に船に向かってくれ」
「ちょっと待っ・・・」
その姿を逃すまいと一言残しアイオロスはデスマスクとカミュの二人と共に歩を向け、ジェイドの声など知らぬとばかりにその場を立ち去っていく・・・









「・・・追い付いた、というよりはこちらに誘導したと言った方がいいのだろうな」
「下手に周りに気を遣うのも面倒・・・そう思いここまで来たまでよ」
・・・それで一輝を追いかけ、三人が立ち止まったのは人の気配のない街の一角。
そこでカミュは誘導されたのだと推測し、一輝も振り返りつつそれが当たりとらしく肯定する。
「その様子だと俺らを待っていたようだが、何の用だ?」
「・・・カノンからの伝言を預かってきた」
「なにっ、カノン?・・・ってことはお前、バチカルに行ってたってのか?」
「いかにも・・・」
「っておいおい、いきなり何小宇宙高めてんだよ・・・しかもその構え、幻魔拳か・・・?」
「どういうつもりだ、一輝・・・?」
デスマスクがその姿に用向きを問い掛けるが一輝は質問に答えつつも言葉通りに小宇宙を高め、人差し指を持ち上げていったためにカミュもその姿に警戒心を露にしながら戦闘体勢にそっと入る。
「案ずる事はない。確かに幻魔拳を放つつもりではいるが攻撃の為ではない。事情の説明の為に俺が見てきた物を見せるだけだ」
「・・・幻魔拳でそんなことが出来んのか?」
「威力の調節に見せる光景を選ぶことくらい容易いことだ。最も、俺の事を信用出来んと言うなら口で説明するが・・・」
「いや、信用しよう。一輝は余計な事はしないし出来ない事も言わないだろう。俺は受けよう」
「・・・アイオロスがそう言うなら、私もそうしましょう」
「・・・ま、今は敵でもねぇんだし加減出来るってんなら構わねぇか」
そんな三人にすぐに一輝は幻魔拳は映像を見せるだけと言いつつも嫌ならしないと言うが、アイオロスが切り出したこともあってカミュにデスマスクも仕方ないと警戒を解いて了承を返す。
「・・・なら幻魔拳を放とう。だがある意味では悪夢と言える光景が待っている・・・その事は覚悟しておけ」
「は?それはどういう・・・」



「鳳凰幻魔拳!」



「っ・・・あの野郎、問答無用で幻魔拳をかけやがった・・・!」
その返事に再度指を上げながら注意を促す一輝にデスマスクが質問をしようとするが、額にポンと当たった軽い衝撃と目の前で切り替わった景色に苛立ちを浮かべる。
「そこまでにしておけ、デスマスク・・・して、ここは見た所城の中のようだが・・・」
「・・・む?一輝が現れたが、この部屋に何の用だ?やけに険しい顔になっているが・・・」
「ん?・・・つーか何をしてたんだよ、一輝は・・・?」
その傍らにいたカミュがなだめの言葉をかけつつ辺りを見渡せば、空を舞っているような形の中で見たのは城の中らしき豪華な調度品に整えられた通路。そこでカミュの言葉を継ぐようアイオロスが下に見える光景に声を上げれば、デスマスクも幻魔拳の中の一輝を睨むように同行に注目する。










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