不死鳥よりもたらされる衝撃に双子の片割れは決断する

「・・・・・・わかりました。お話したいと思います」
「イオン様・・・いいんですか?」
「・・・本当はダメなことは僕も分かっています。ただそろそろバチカルに辿り着きますので、そうなれば和平に踏み切った訳というのも明らかになるでしょう。今この時点で明かしても大丈夫かと思いますが・・・何より僕はアイオロスさん達ならいたずらにそれを言い触らしなどしないと思ったから言おうと決めたんです」
「イオン様・・・うん、そうですよね。少なくとも大佐よりは良識はあると思いますしね」
少しして意を決したとイオンが話すと言い出したことにアニスが確認を向けると、言ってもいいだろう理由と共にアイオロス達にならと信頼を向ける返答を返した姿にそっと微笑んだ上でさりげにジェイドに対する毒も混ぜ同意する。
「・・・ではこれから和平を結ぼうとした理由をお話ししますが、今言った通りこれはまだ言ってはいけない物ですから黙っていてもらえますか?」
「えぇ、それは」
イオンは視線をアイオロスに向け話すと言いつつ他では言わないようにと念を押した事に、アイオロスを代表にして笑顔で返答し二人も頷く。






・・・そこからイオンにより、マルクトが和平に向かうことを決めた経緯をアイオロス達は聞いた。

なんでも話によればマルクト領にある鉱山の街アクゼリュスが障気という人にとって害になる物が出て街中に蔓延して、重病人が出てきているとのこと。そしてその街は僻地にありそこに行く為には道は限られているらしく、その道も事故で塞がっているらしく助けの手を出すにはキムラスカ側から救助をする以外には手段がないとのことだそうだ。それでマルクトは仲が悪いのを敢えて承知の上で和平を結び、アクゼリュスの救援の為にジェイド達を派遣したとのことだそうだ。






『・・・障気、ねぇ。アフロディーテのロイヤルデモンローズより威力はないようだが、人にとっちゃ相当な害みたいだな』
『それでも街から脱出しないのはその道が塞がれているのもあるのだろうが、街から一斉に出た所で受け入れ先がないことに加えそれだけのダメージを負っているからだろう。障気によりまともに街から出れない人間が大量にいることで、移動もままならないことからな』
『そうだろうな・・・行く宛もなくただ毒の舞う地で留まる以外に出来ない。そう考えればアクゼリュスに今も留まる人々が哀れだ・・・』
・・・イオンよりそれらの話を聞き終わり、通信で話をする三人だがアイオロスの声には少し悲しさがこもっていた。
「・・・成程、事情は分かりました。マルクト、特に問題の中心であるアクゼリュスの事情が切羽詰まっていることは・・・確かにこれは和平を結んででも解決せねばならない問題と言えます。それも早急に」
「・・・分かっていただけますか」
しかしイオンへの対応を忘れてはいけないと話への返答を重く返すと、同じく重く頷く。
「僕はこの件を一刻も早く解決したいと思っています。ですが先程の話をお聞きし、正直ジェイドに不安以外感じることが出来ないんです・・・もしジェイドがキムラスカから不興を買ったらに、和平が不意になると思うと・・・」
「・・・それは我々の口からはなんとも言いようがありませんが、彼も一応はキムラスカに身を投じることになるのでその辺りは考慮してくれると願う以外にないかと。もしくは不自然でない程度に導師が仲介の立場であることから話を主導する方がよろしいと思います。もしもの場合は」
「そうですか・・・ではそうしたいと思います」
それでジェイドに対しての不安を述べるイオンにアイオロスは気休めと同時にアドバイスを送り、一先ずその表情を笑顔にさせた。










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