不死鳥よりもたらされる衝撃に双子の片割れは決断する

「・・・マルクトの件についてはもう置いておこう。それよりケセドニアに行き、そこから更に船に乗ればバチカルなのだからこれよりは向こうから接触しない限りはこちらからは最低限にしか話しかけないようにしよう。目的地が近い今、下手に和を乱しても得はないだろうからな」
「ま、それが妥当か」
二人のその会話に歯止めをかけつつ、バチカルに着くまでの行動を少し疲れたように提案するアイオロスにデスマスクも軽い同意を示す。やはりここまでのやり取りでアイオロスもジェイドの厄介さを相当な物と感じていたようだ。









・・・そのように話をした後はゆっくりと部屋の中で過ごしていた三人。
「・・・ん?」
そんな時に三人は入口の方へ共に視線を向ける。
‘ガチャッ’
「・・・皆さん、こちらにいらっしゃったんですね?」
「・・・どうされたのですか、導師?」
そして開けられたドアから現れたのはイオンとアニスの二人で、どこか申し訳無さげな様子にアイオロスは用向きを慎重に問う。
「・・・すみませんでした、アイオロスさん」
「・・・何故、貴方が謝られるのですか導師?貴方は先程何も言われていませんでしたが・・・」
「いえ、さっきアイオロスさんにジェイドが突っ掛かってるのを見てて止めなかった物ですからそれで・・・」
「・・・成程、そういうことでしたらそのお心遣いはありがたくお受けしましょう」
イオンはそのままに先程の事を謝りに入りアイオロスは謝る必要はないのではと首を傾げるが、間に入らなかったことを悔やむその表情にそっと笑顔を返す。
「・・・すみませんイオン様、それにアイオロスさん達も・・・この場だけの話として、あたしの話を聞いてもらってもいいですか・・・?」
「ん?・・・僕はいいですが・・・」
「私も大丈夫ですが、どうしたんだ?」
と、そこにアニスが思い詰めたような表情で発言を求めてきた事に名前が出てきた二人は話を促す。
「・・・あの、大佐は和平の使者としては不適格なんじゃないんですか?」
「っ、アニス・・・いきなり何を・・・!?」
「・・・イオン様。私達は先に行ったルーク様達も含めてこの人達に色々助けられてきたのはわかってるはずです。でも大佐から出てきた言葉ってルーク様の事を利用しようとしたり、さっきみたいに助けてもらったのに全くそんなことを考えないで嫌なことばっかり言いました。正直、あたしは大佐の行動は誉められたものじゃないと思うんです・・・和平の使者としてだけでなく、人として見ても」
「・・・それは・・・」
少しして意を決して出した言葉はジェイドに対する批難の言葉。イオンはそのいきなりの言葉に驚きを隠せない様子だったが、アニスが人道的な事を切り出したことに反論出来ずに視線を反らす。
「・・・そこまでにしといてやれ、嬢ちゃん。導師本人の口から言い辛い事言わせんな。それに分かったろ、今の態度でどう思っているかぐらいは」
「デ、デスマスクさん!それは・・・!」
「気になされないでください、導師。デスマスクも分かって言っているのです。それに今のこの場での発言はあくまでもこの場だけの物、それをイチイチ吹聴する気は我々にはございません」
「カミュさん・・・」
デスマスクがその姿を見かねてアニスにフォローを入れるとイオンは焦って否定しようとするが、カミュがあくまでこの場だけで他で話すつもりはないとフォローに入ってきた事にそっと目を伏せる。
「・・・・・・正直それは、僕も思いました」
「・・・導師?」
「・・・いいんです、アイオロスさん。アニスがこうやって言い出したという事は、相当な事だと思ったんです。だから僕も態度に出してしまいましたし、この場だけと言うことで言おうと思ったんです。僕の本音を」
少し間が空きイオンから出てきたのは、まさかの同意の言葉。その返答にアイオロスが耳を疑うように声をかけるが、顔を上げたイオンが弱々しいながらも本音を言いたいと切り出す。











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