不死鳥よりもたらされる衝撃に双子の片割れは決断する

(やはり相性は最悪だな、この二人は・・・だがそれだけなら前も思っていたことだが、この大佐はデスマスクと比べて明らかに打たれ弱い。これも人を攻撃ばかりしてきた弊害なのだろうな、劣勢の立場に立ったことがないことが原因で・・・)
そんなやり取りを端で見ていたカミュはやられっぱなしのジェイドとデスマスクの違いを攻撃を受けてないからと考える。
(だが大佐はやめないだろうな。こちらに突っ掛かるのを・・・それも自尊心が高いが故にだが、だからこそ気付かないだろう。その打たれ弱さを自覚しないと言うよりは、目を背けているからこそデスマスクにいいようにやられるのだということを・・・)
そしてまだこんなことが続くだろうと感じて内心でカミュは呆れていた、プライドが高いが故に敗けを認めないジェイドに。



「・・・ま、あんまいじめても可哀想だしな。もう用がないなら部屋にでも戻れ・・・っ・・・」
「・・・どうされたのですか?」
そんな事を考えているカミュはさておき、デスマスクはさっさとどこかに行けと追い払おうとするが突然海の方へと視線を向ける。いきなりの行動にジェイドは先程までの微妙な表情ではなく、疑問を表情と共にデスマスクに向ける。
「・・・なんか潮風とは違う音が聞こえたから何かと思ったら、なんか来たみたいだな・・・」
「何か・・・っ、あれは・・・!」
顔を向けずそのままデスマスクは何か聞こえたと適当に誤魔化しつつ目を細め何か来たと言えば、ジェイドもその視線の先からやってくる物に目を見開いた。そして・・・



‘ブルルルルルルッ!’
「ハーッハッハッハッ!久しぶりですね、ジェイド!」
「「「・・・」」」
・・・少しして目の前に機械特有の低い機動音と共に現れた何やら巨大な機械、そしてその中から空飛ぶ椅子に座り高笑いをする白髪の男が目の前に現れた。その登場の仕方にデスマスク達は何と言ったものかと、沈黙するしかなかった。
『・・・なぁ、乗ってきた奴は馬鹿っぽいけどこの機械って相当すげぇものじゃねーか?』
『あぁ・・・タルタロスの時にも思ったが、この世界の技術力は相当の物だな。空を飛ぶにはあまりにも不合理でいて重いと分かるフォルムであるというのに、それを関係無いと言わんばかりに宙を飛ばせるとは・・・』
『ただその技術が戦うための物に発展するというのは、俺としてはあまりいい気持ちがしないな・・・』
・・・いや、正確には小宇宙での会話を三人でしていた。
目の前でジェイドが今来た男(名前はディストと言うらしく、ジェイドと知り合いのようだと三人の耳に入ってきた)とじゃれあうように話し合う中、地球には明らかにない発達した技術力からの兵器と見られるその機械に対して話をするがその声には緊迫感など一切なく、アイオロスに至っては技術の使われ方を嘆くまでだ。
『・・・なぁ、どうせならこいつを地球に持って帰らねぇか?ある程度ボコボコにしてもどうせ機械だから死にはしねーし、アテナの治めるグラード財団に引き渡しゃ技術解明出来るだろ』
『・・・個人的には興味はあるが、それは無理だろう。大体どうやって大佐達の目を欺きこの巨体を運ぶというのだ?』
『それにカミュの言うこともだが、この機械は明らかに戦闘用にあつらえたものだ。これをいい意味で技術発展させるならともかく、武器開発などに流用されてしまえば地球で戦争が激化しかねん』
『・・・んなことになったら面倒か。わかったよ、諦めるか。これは』
デスマスクはそんな中で目の前の機械を持ち帰ることを提案するが、二人から反対の言葉が返ってきた事に納得して返す・・・地球において神話の時代からの災厄であったり、人類の存亡の危機に陰ながら戦ってきたアテナの聖闘士。その聖闘士から見て目の前の機械が量産でもされれば、その驚異は普通の人々にとっては計り知れない上に事態の収集に自身らが動かねばならない。そんな本末転倒な結果が見えたが為に。
「・・・一体なんですか、これは・・・!?」
『・・・導師が来たか。小宇宙での会話はここまでにして、そろそろ行動するか』
『あぁ』
『そうですね』
するとその場にアニスを伴いイオンが驚いた様子で駆け付けてきた。おそらく音で何事かと思い来たのだろうが、それを皮切りに三人は通信を切り改めてディストの方へと意識を向ける。











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