必然は偶然、偶然は必然 第七話

「さ、イオン達と別れて行くわけだけど・・・こっちに誰が来るかは検討はついてるの、アッシュ以外は?」
そんなルークに気楽そうな声でハロルドは誰が来るか予想がついてるのかと聞いてくる。
「んー、わかんねぇ・・・ただイオン側にアリエッタとディストが来ない確率が高いって、イオンは言ってたな」
「アリエッタは分かるけど、なんでディストが来ないって分かるのよ?」
「ん、前にタルタロスが襲われた時にイオンがアリエッタと会った時にディストも一緒にいたらしいんだけど、その時に軽く脅したらすっげぇビビってたらしくてな」
「ちなみに私もその場にいたが、あれで尚導師の方に来るとは思えない程取り乱していた。来るとしたらこちらだろうな、二人は」
「ただ絶対に六神将が三人三人で分かれてくるとは限らないし、アッシュが確定程度に思っておきゃいいと思うぜ」
「ふーん、まぁそんなもんなのね」
その声にルークが答えながらもディムロスもその会話に加わり、推測をしてはいても下手な推測は挟まない答えを返されハロルドはまた気楽そうに返す。
『・・・ウッドロウ、お前はリグレットが来ることを望んでいるか?』
「・・・どうした唐突に、イクティノス?」
そんなやり取りを少し離れた位置で聞いていたイクティノスはウッドロウにしか聞こえない程度の音量でウッドロウに真剣に話しかける。
『リグレットを助ける、そうルークに言ったお前の心は疑ってはいない・・・だがそうするにしても、時間があまりないのも事実だ。六神将が取り返しのつかない行動を取ってしまえば、リグレットはもうそれこそ表に堂々と姿を現せない犯罪者として名を残す事になる・・・だから自分の方に今の内にリグレットが来ることを望んでいるのではないか、そう思ったのだが・・・』
「お前の言いたい事はその通りだよ、イクティノス。彼女がまだ引き返せる位置にいる内に彼女を救いたいと思っているが、そう思うのはいけないことか?」
『いや、そう時間がないことわ認識しているかを確認をしたかっただけだ』
「そうか」
・・・六神将にヴァンがこれから起こすだろう事は間違いなく世界の敵になる、そうしないには今の内に止める以外に方法はない。そうイクティノスから問われたウッドロウの目と声に迷いが見えない様子に、イクティノスは会話を終わらせる。
(・・・ウッドロウは元来より人に優しい部分はあったが、それでも敵と断じた者には断固とした行動を取っていた・・・俺はウッドロウが王として在位していた時はそう長い時間はいなかったから分からんが、後の経過を聞けば王として意見を取り入れつつ断固とした行動を取って賢王と呼ばれていただろう。そのウッドロウがこうもリグレットにこだわるのは本当に救えると思ったからか・・・それとも愛、か・・・?)



・・・人が歳を取れば変化する生き物だとイクティノスも千年以上もソーディアンをやっていたことから理解はしている。だからスタン達と一緒にいた頃のウッドロウではないこともイクティノスは重々承知している。しかしウッドロウはウッドロウだと、この旅で変わっていないとも思っていた。



だが、だからこそイクティノスはどちらかを判断出来なかった。リグレットにこだわりがあるのは王としての経験からなのか、それともかつての仲間であるマリー以外に抱かなかった恋情の念からなのかを・・・












・・・そうもイクティノスがウッドロウに対し考えを張り巡らせつつも、ルーク達は直線的にケセドニアに向かうコースで夜の砂漠を歩いていく。ちなみにイオン達は人数が多い事から少し遠回りをするよう距離を空け砂漠を渡っている、イオン様に負担をかけるなと言ったティア達の意見はイオン自身が人数が多いからそれくらいしなければと言った事で事なきをえた。
「・・・おい、待ちやがれ!屑が!」
「・・・あぁ、来たか」
そうも歩いている内に罵倒がワンパターンの聞き慣れた罵声が後ろから聞こえてきた事に、ルーク達は予想ピタリだと仕方無しに振り向く。



・・・振り向いた先、そこにいたのは機嫌が悪そうなアッシュと何人かの神託の盾・・・それとウッドロウを見つけ、我慢を抑えきれていずに目を丸く剥いたリグレットだった。






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