必然は偶然、偶然は必然 第七話

「まぁ予想通りって言ったら予想通りだけど・・・ここで仕掛けて来る気か、あいつら?」
「いや、それはない。あくまでも奴らの目的は導師だ。隙を見てさらえないものかと機を見計らっているのだろう」
「まぁそう易々と捕まる気は僕にはありませんが、このまま無策でオアシスを出れば砂漠の真ん中でタルタロスに追いかけられかねませんね。そうなれば気候的に僕らが不利になるのは容易に目に見えます。砂漠で考えも無しに逃げ回ればすぐに干からびるでしょうし・・・」
「そうならないようにするにはどうするか、か・・・難しいな・・・」
そんな視線を感じつつルークからクラトス、クラトスからイオン、イオンからセネルと繋がれた会話でセネルが流れを総集した上で悩ましげにどうするべきかを苦しむ声を上げる。
「・・・・・・よし、いい考えを思い付いた」
「ホントですか、ルーク?」
そこから四人とも少し沈黙していた後、ルークが自信を覗かせた声で対策を述べる。
「何、特に難しい事じゃない。この後ウッドロウ達と合流して神託の盾の事を話して夜にここを出るんだ。俺とイオンを主軸に二組に分けて別々にケセドニアを目指すようにここを出立する形でな」
「え・・・?それってまずくないか?神託の盾の目的はイオンなんだろ?そうしたらイオンのいる組が危なくなるだろ、まず間違いなく」
「普通ならな・・・でもこの考えは確実にうまくいくぜ、アッシュのおかげでな」
「アッシュの?」
そのルークが発表した案は二組に別れるという物だが、すぐさまセネルの不安要素に対しての疑問の声が入る。だがその問題は大したことではないとアッシュを引き合いに出すルーク。
「まぁ当然俺らを見張ってる神託の盾は俺らが出立したら六神将に報告するだろ。二組に分かれた事を。それでリグレットにシンク辺りは俺じゃなくイオンを追おうと指示を出そうとするだろうけど、まず間違いなくアッシュは俺を追うって言い出すぜ。日頃から大層俺を嫌ってる上に前で言えば何を持って俺がアッシュを信じると思ったのか知らないけど、あのブラウンパイナップルの企みを止める為に俺に接触を図らせようとしてた頃だ。まず間違いなく他の六神将の意見をぶっちぎってでも俺のとこに来る、それは間違いない・・・でだ、アッシュ以外の六神将はアリエッタを除いたら俺に死んでもらっちゃ困るわけだ。だから俺を殺すために向かうと思う他の六神将は人員を割かざるを得なくなるんだよ。アッシュのストッパー役を同じ六神将からな」
「・・・成程な。アッシュが暴走するのは確実だから、それを見越して兵力を分散させようという腹積もりか」
「そうそう、そう言うこと。それに1つのグループだけで行ったらタルタロスに一目散に追いかけられたら逃げようがないけど、2つのグループってなったらどっちかだけにタルタロスを向けたらもう片方を追いづらくなる。それに下手に砂漠でなんの目的物も無しにさ迷えばそれこそ自殺行為になるし探すのに時間も食うから、余計にタルタロスは動かせない。だから向こうは迂闊にはタルタロスは使えないからどこか適当に目立つとこで待機させて、六神将を主軸にして何人か神託の盾引き連れて組分けして歩いて来る・・・っていうのが俺の見方だ」
「・・・確かにアッシュという存在がある以上、向こうはやむを得ず2つに兵力を裂いて僕らに向かってくる可能性は十分に有り得ますね。それで六神将達を各々撃破すれば無事にザオ砂漠を抜けられる可能性が高いと僕は思いますが、二人はどう思われますか?」
「・・・私は悪くない判断だと思う。兵力を分散して誘き出せばその分叩きやすくなるからな」
「俺もそう思う、アッシュは絶対止まろうとしないだろうしな」
・・・アッシュの自身に対する行動パターンは他者の迷惑を省みない上での自身に対する逆恨みからの敵対行動。それをよく熟知した上で六神将が取るだろう行動を先読みしたルークの立案。これには他の三人も納得の声を上げた、自分達の力ならやれることだと。










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