必然は偶然、偶然は必然 第七話

「・・・あれ?ちょっと見てみろよ、おい。あそこにタルタロスがあるぞ」
「・・・確かにありますね、神託の盾がいるからにはタルタロスもあるとは思いましたが・・・困りましたね」
「・・・いや、そうでもない」
「・・・どういうことですか?」
それで出口前に立ち遠くを天気雨が降るなかで遠くにあるタルタロスを自然に指差すルークにジェイドが困ったような声を上げるが、クラトスがそれを否定する。
「今神託の盾はバチカルの正面に意識を集中している、それは導師を見張る為にだ。しかし今の我々はこの廃工場という神託の盾が知らない場所から出ている、つまり奴らにとっては盲点と言える場所だ・・・ここで極端な話で我々自らが目立つようにタルタロスに突撃するような行動を取りさえせず、ゆっくりタルタロスを回り込むよう要心して行けばここに留まり奴らが撤退するのを待つ必要はない」
「・・・成程、こちらに視線を向ける余裕は神託の盾にないという事ですね」
「あぁ、そうだ・・・と思われますが、いかがしますか?」
「・・・うん、よし決まりだ!ゆっくりタルタロスに見つからないよう回り込んで進むぞ!こんなとこでチンタラしてたって先には進めねぇんだ、慎重に進んだ方がよっぽど早い!・・・いいな、イオン?」
「えぇ、その方がいいと思います。それにあまり時間をかけすぎると神託の盾が僕達のここまでの足取りを察知して追いかけて来かねませんし・・・事は一刻を争います、早く行きましょう」
「「「はい(あぁ)!」」」
そこから極論をまじえつつも大丈夫と語るクラトスにジェイドも納得の様子を見せ、クラトスはルークに丁寧な態度で伺いを立てる。その声に多少考えた素振りでそうすると答えイオンに話を振ると、イオンも自身の持論を交えつつ同意で返す。そのルーク達がタルタロスを警戒しながら進む事にイオンが賛成したことで、概ねティア達も首を縦に振る。
(これが俺とクラトスだけだったら、確実に渋ってたんだろうけどな・・・)
そうやって決まった事にさっさと先を急ぎつつも、ルークはクラトスと自分だけじゃあティア達の納得は得られなかっただろうなと考える。










・・・だがせそんなことはさておきとルークは今更だと思いながら廃工場の外に出て、ウッドロウ達と共にタルタロスの動きを注視しつつ回り込み無事に神託の盾が反応して動く事もなく危険領域を通り過ぎる事が出来た。



「・・・後はどれだけ神託の盾が俺らに気付かずにいるかだな」
「難しい所だね、彼らもそう無能という訳ではないから早い時間に来てもおかしくはない・・・早ければオアシスに着くか着かないかという所だろうね」
「だろうな・・・あー、あんま早く来てほしくはねーなー・・・」
そんななかで多少遠回りして時間と神経を使い疲れがあったというのもあり、ザオ砂漠に入る前に平野部で少し休養を取ることになったルーク達。そこでルークはウッドロウと二人ティア達と距離を取り、話をしていた。
「・・・つーかちょっと気になった事を聞いていいか?」
「なんだい?」
神託の盾が早く来る事に気だるさを見せていた様子からルークは改めた表情で切り出し、ウッドロウは何かと首を傾げる。










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