必然は偶然、偶然は必然 第七話

(アニスが来た、か。さて、後は・・・)
ミヤギ道場の前でわざとらしく自身の健気さをアピールするアニスの姿はさておき、ルークは廃工場に向かう天空客車を注意深く目を細め見る。
(・・・あっ、うん。確かにここであの兵士がなんか連絡を受け取ったからなのか持ち場を離れたな)
・・・今回はミヤギ道場に入る気はない。何故ならここでルークは厄介者を帰そうと思っているから。そんな思惑があるからこそ誰かから連絡を受け兵士が去ったその天空客車の前に無言で辺りを見渡しながら歩み寄り、立ち止まる。
(・・・おー、いたいた。パッと見て嬉しそうな様子で近付いて来てる・・・うわ、うぜぇ・・・)
そこから更に周りを見渡していると、上から下に降りてきた天空客車に乗ってこちらに来ただろう・・・ルークと合流出来る事で有無を言わさずアクゼリュスに行ける喜びを浮かべているナタリアをルークは見つけ、内心だけでなく表情までゲンナリした。
「どうしたんだ、ルーク?そんなイヤそうな顔をして」
「・・・ガイ、ちょっと急いで誰か兵士を呼んでこい。ナタリアが付いてくる気満々の顔でこっち来てる、ここで止めねーとめんどくせー事になるぞ」
「えっ・・・うわっ、ナタリア様!?・・・わかった、すぐ行ってくる!」
そんなルークに近づいたガイの疑問の声にすぐさまルークはナタリアに視線だけ向けながら兵士を呼びに行くよう小声で言うと、ガイもナタリアが来てる事に驚きすぐさま頷くとナタリアとは逆方向に走り出す。まぁ女性恐怖症としては正しい逃走ルートと言えよう。ナタリアと接触しない上で兵士を呼ぶには。
「・・・ルーク!」
「・・・なんだよ、ナタリア。見送りにでも来たのか?」
そうこうしている内に近くに来たナタリアが嬉しそうに名を呼んでくるが、ルークはそらとぼけた様子で見送りかと問う。
「そうではありません!私もアクゼリュスに向かう為にあなた達に付いていこうと、こちらに来たのです!」
「・・・はぁ?」
一応予想してはいたが間違った自信に満ちた返答に、ルークは本心からイヤだという声を上げる。
「あのなぁ、聞いてたかお前?叔父上はお前は行くなっつってたんだぞ、なのになんで堂々と付いていこうとしてんだよ?」
「何を言いますか!宿敵との和平に王女である私が行かなくてどうします!お父様も、私が行けば考えを変えてくださります!」
「・・・ふぅ」
そんなナタリアに行く理由はないと言うと、すぐさま自身が行くのは間違っていないと自信満々に返されルークは下を向きタメ息を吐きながら改めて決意する・・・ただでさえ気に食わないティア達にナタリアを加えない為、まずは弁論と演技を持って叩き伏せようと。
「・・・残念だ、ナタリア。お前は全く俺を信用しないんだな・・・」
「え・・・?」
そこから顔を上げ悲しそうな顔になったルークに、自信満々のナタリアの顔が驚きに曇る。
「叔父上、いや陛下は俺に全てを任せた上でこの任を命じたんだ。その命に俺は不惜身命の気持ちで取り組もうとしていた、なのにお前は自分が行かなくてどうするんだって言った。あくまでも俺じゃ役不足みたいな言い方でな・・・」
「!い、いえ・・・けして私はそのように言った訳では・・・!」
そこから更に押し込むようナタリアの発言が自身の矜持を傷付けたとルークが寂しそうに言うと、案の定ナタリアは慌てきってそうじゃないと言う。



・・・ナタリアは泣き落としに弱い。だからこそまずは勢いを削いでからペースを持っていく。そんな目論見が成功したのを見て、ルークは攻めの手を強める。












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