必然は偶然、偶然は必然 第七話

「こちらは少人数の方が目立たなくてすみます。これ以上同行者を増やさないようにしましょう。話を通しておきますので、街の出口で待っていて下さい」
ヴァンを見送り言いたいことを言い終えるとジェイドはさっさと先を行く。
「んじゃ行くぜ、早く行動するに越したこたないんだし」
「はっ」
「・・・」
そんな様子にルークはあえてガイの方を見ずクラトスに声をかけ、その声に答えると先を行くルークにウッドロウ達とついでに何も反論すべき点のなかったティアが後を付くよう歩き出す・・・その様子にガイは何かを言いたそうだったが、何も言わずにただその後ろを付いていく・・・






・・・そして1つ下の階層に天空客車でルーク達が降りた時・・・
「あれ?イオンにアニス?」
搭乗口の前にいたのはルークがあたかも偶然見つけたかのような声で名を述べた二人。だが二人ともどこか表情が固い・・・まぁイオンは演技なのであるが。
「どうされたのですか、イオン様」
「ティア・・・いえ、少し厄介な事になりまして・・・すみません、ちょっとこちらに来ていただいていいですか?」
「・・・あぁ」
そんなイオンに自分基準で偉い者にはへりくだるティアが声をかけ、イオンはあえてティアには何も答えずこの階層の中央を指差しながら話すと言いルークはそれに素直に従い他の面々も同じように足を中央に運ぶ。
「・・・で、どうしたんだ?」
「・・・単刀直入に申し上げます。つい先程僕は神託の盾の手の者にさらわれかけました」
「何!?」
「それは本当なのですか、イオン様?」
移動し終わり改めて何があったのかを聞くと、イオンから神託の盾襲来の報せを聞かされガイが驚きシレッと合流したジェイドが再確認する。
「はい・・・たまたまいつもより早く起きた僕はゆっくりベッドに座っていたのですが、いきなり部屋に神託の盾の姿をしてはいませんでしたが不審者が入ってきて・・・その姿に僕がたまらず大きく声を上げなんとか捕まるまいと杖を振り回していたら人が来る気配がして、それでその不審者がすぐに逃げ出したんです」
「それでどうしようってことでインゴベルト陛下に保護を頼みに行こうってなったんですよぉ。そしたらルーク様達が来て・・・きゃわ~ん、これって運命~!?」
「(1万年と2千年前から探してもお前と愛し合う運命なんてねーよ。けどここで少し憂さ晴らしがてらきっかけ作るか)・・・つーかそれも正直危なくねーか?」
「・・・え?」
イオンが切迫した状況を語るその声をアニスが引き継ぐがすかさず媚売り声に変わった事で内心なんで1万年と2千年なんて言葉出たんだろうと思いつつもアニスの言葉をナチュラルにスルーし、ルークはきっかけ作りにそれはまずいんじゃと呟く。
「これまでもイオンはずっと狙われて来た訳だろ、神託の盾に。それも時と場合を考えず・・・もしかしてじゃあっけどさ、あいつら下手すっと城まで襲い掛かって来てまでイオン奪還するんじゃねーか?最悪の場合?」
「なっ・・・!?そ、そんなこと・・・!」
「絶対にないなんて言えるか?」
その為には神託の盾が取るであろう最悪を想定した行動を告げる。その想定したルークの声にティアがまた立場を忘れ反論しようとするが、すかさず反論の芽を更なる推論で潰す。
「実力行使をすりゃそりゃ勿論最悪だ。なんてったって城を直々にダアトの神託の盾が襲ったって事になんだからな・・・そうなりゃもういくらモースにイオンが神託の盾を弁護したって、首都を攻められりゃダアトの監督責任を問われるだろ。流石に叔父上もそこまでされたらウチをお前が襲った時と違って贖罪の機会さえ与えず戦争に踏み切るだろ」
「・・・っ!」
「それに叔父上に保護を頼んでもし万が一、まんまとイオンが静かにさらわれた場合はそれこそ目も当てられないぞ。キムラスカからすりゃさらったのはダアトの手の者だからダアトに責任があると言うのに対して、ダアトはもう離反した神託の盾が勝手にやったことなのだからこっちは関係無い、イオンを守っていたのはキムラスカなのだからと言うこと以外に責任逃れの反論は出来ない・・・実際どっちも責任はあんだけど、その責任が相手が重いのをどっちもなすりつけたいから泥沼な展開にしかならないってのが想像出来るぞ。それで最悪もしかするとまたその論争から戦争になることも有り得ると思うぞ、全然」
「「「・・・!」」」
・・・神託の盾がイオンを力づくでも静かにでもさらったらこういう弊害が出る。ルークの最悪を想定した声に最初は矢面に上げられたティアだけ、話が続くにつれガイもアニスも一気に表情が驚愕に固まった。







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