必然は偶然、偶然は必然 第七話

・・・そんな風にルークが思っていると話を終えたヴァンがそろそろ出ると促し、別段反対する理由もなかったルークは二人でさっさとファブレ邸を出た。

尚、ファブレ邸を出る前に入口で頭を下げていたメイドにナタリアの来訪があったかどうかをルークは誰かの来訪がヴァンの他にあったかと言って間接的に確かめたが、特になかったと返されルークは安心してファブレ邸を出た。これで大した弱味を見せることもなく、ナタリアを無理矢理に同行させずに済むと。









「おう、待たせたな・・・また世話になるぜ、よろしくな」
「はっ、よろしくお願いいたします」
そこから城の前で待機していた面々に声をかけクラトスに視線を向けると、言葉少なくしながらも丁寧な一礼をするクラトス。
「ではいつ出発だ?」
「そのことでジェイドから提案があるらしいですよ」
そんなやり取りを尻目にさっさと話をしていくヴァンとガイ。だが別にここから先の展開を知っているルークは話半分に適当に合わせようと考える。









・・・そこからやはりというか、神託の盾が海上を封鎖したためにヴァンが囮になって船に乗りルーク達が陸路で内密にケセドニアに向かうことになった。
(つーか別に俺らが船に乗っても構わないんだけどな。それで攻撃されたらされたであの樽豚を失脚させれる上に、神託の盾を世界的な犯罪者に出来るんだけど・・・それに大前提として言うなら向こうは絶対にこっちを攻撃するはずもないんだし、俺を失うのもだけど自分達の頭を自分達で殺すわけないんだから)
そんなヴァン達神託の盾が仕掛けた茶番をルークは冷静な思考回路をフルに回しつつ、いっそ自分達も乗り込んでも別に構わないだろうと考えていた。



・・・神託の盾が海上を封鎖した理由、それは和平を今ここで止めるという目的の為ではなくあくまでヴァンを先にアクゼリュスにルーク達と別れさせ向かわせる事にある。そこにルーク達、特にルークを殺すという目的はヴァンにはない。もしそうやって直接的にルークを殺すなら、とっくの昔に預言を外したと見せる為にさっさと殺していただろう。アクゼリュスをわざわざアッシュが滅ぼしたと見せる目眩ましにするような回りくどいやり方ではなく。

そんなヴァン率いる神託の盾の事だ、例えルークがヴァンの言うことなど聞かずにケセドニア行きの船に乗ったとしても迂闊にルークを殺すような行動などとれるはずがない。その上表向き大詠師とも六神将とも無関係だとルーク達に謳っているヴァンもいる、もし神託の盾が襲ってきても自身の関知しない反逆者だというなら始末してみせろとうまく口車に乗せれば同士討ちを誘発することも可能と言える。例えヴァンは乗り気でなかろうとも、神託の盾を撃退せざるを得ないのだ。身の潔白を表向きに見せる為に。

・・・今はルークは殺せない、実は元々から黒幕であったヴァンがいる。そういった今なら分かる視点で言えば別にケセドニア行きの船に乗っても全然安全と言えた。むしろ今のルークからすればヴァン率いる神託の盾の罪を糾弾する理由が増える分、襲ってきた方が都合がいいと言えた。



(まぁ一応今は神託の盾と繋がりあるって確信がないんだから、んなこと言えねぇんだけどな)
だがそれはあくまでも全てを知っているルークだから言える事で、そんな神託の盾の裏側を今言える訳もない。だからルークは特に何を言うでもなく、あくまで船に乗ると言ったヴァンを惜しむよう見送る体を取りながらこれから先の展開を考えていく・・・









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