必然は偶然、偶然は必然 第六話

・・・そして一方クラトス達は・・・



‘ガチャ’
「おや、話は終わったのかい?」
「あぁ」
宿に入り取ってあった部屋に入室したクラトスはウッドロウの声に答えつつ、静かに後ろ手でドアを締める。
「大方の予想通りの展開にはなった、後は明日になって正式にルーク達と共にアクゼリュスに出発するだけだ。イオンも適当に折りを見て合流すると言っている、心配はいらんだろう」
「んー・・・ならいいか、って言いたい所だけど・・・確か明日になったら王女であるはずのナタリアも勝手にアクゼリュスに自分も行くって言って、合流してくるんだよな?そのナタリアに対してはどうするんだ?まさか力づくで俺達がナタリアを城に戻す訳にもいかないし・・・」
『そのことについては心配はいらんそうだぞ、セネル』
「うわっ!ローレライ!?」
そこから早速と報告をしたクラトスにセネルがナタリアの行動についてを思い返し頭を悩ませるが、いきなりイクティノスから聞こえてきたローレライの声にたまらずのけ反る。
『自分の部屋に戻ったルークと隙を見て通信をしたのだが、ナタリアについては自分の弱味を見せる気もないし無理矢理にでも城に戻すつもりでいるそうだ・・・とは言え確実にまた抜け出してくるのは目に見えているから、その時はもう王女として活動することは諦めてもらうように手を尽くすそうだ。だからとりあえず心配はいらんとのことだ』
「・・・行動パターンも織り込み済みって訳か」
『そういうことだ・・・まぁナタリアが王家の血を引いていなくてもまともに王女の務めを果たしていたなら、ルークもあえて王女の地位から引きずり下ろしはせずにいただろうが・・・』
「氏より育ちという言葉はあくまで時と場合によりけり、ということだな。全て終わった後でもしルークがナタリアと婚姻を結んだとしても、まず両者の衝突は避けられんだろう。とは言えその時にはルークの優位は動かんだろうが、王家内に火種が燻っていると見られれば良からぬ輩に付け入る隙を与えかねん・・・理想的な展開は王女がその地位から退位しても十分大丈夫と思えるような状況を作れる事だな、でなければナタリアを担ぎ出そうとする輩は確実に沸いて出る」
「まぁそういった政治的な視点で語る以前の問題で、ルークはナタリアの事を女としては見れないんでしょ?だったら無理よ、結婚は元より仲良くすること自体今となっちゃね」
ナタリアの事はわかっている、そうルークの弁を代弁するローレライに淡々とするクラトスと呆れ顔のハロルドも加わる。
「・・・その話は後に置いておこう、いずれは解決せねばならない問題だがあえて今すぐやらなければならない問題という訳でもあるまい・・・今は休もう、明日になれば砂漠を越える事になるのだからな」
「そうだね、あまり不毛な会話をしていても疲れが取れる訳ではない」
そんなところにディムロスがあえて今話を広げる必要はない、今は休息をしようと言うとウッドロウも同意で返す。
『そういうことならばゆっくり休んでくれ、我もゆっくりそなた達が来るのを待っていよう・・・では、アクゼリュスでな』
「あぁ、ローレライ」
『・・・ローレライからの通信は切れたぞ』
その会話に乗るよう別れを告げるローレライにウッドロウが答えると、イクティノスがもういないと告げる。
「では明日までゆっくり休もう、来るべき時の為にね」
しんと静かになった場、そこにウッドロウの穏やかながらも確かな力がこもった声に皆が頷く・・・











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