必然は偶然、偶然は必然 第六話

「・・・あんな風に行けるのって、自分はルークの育て親だからってのと自分はガルディオスの遺児だからって考えがあるからなのかな・・・そんな肩書き自分の心の中に持ってたって、なんの意味もないのに・・・」
「様式美を好む貴族にとって誇りを持つのは確かに大事であると言えるが、それに伴わない位置でそれを押し出せば簡単にやっかみを受ける・・・おそらく使用人にそぐわない態度を取っていたからガイはアクゼリュスに送り出されたのだろうね・・・」
セネルとウッドロウは尚ガイに対し疲れたような声を上げ、その行動を非難する。
「だからこそ彼はマルクトの事をキムラスカ・ダアトと同列に考え、きちんと考える事なくただ2国に同意をしたんだろう」
「ディムロス・・・」
「・・・彼の行動は自分の価値観に基づいた考えのみで行われている」
その二人の会話にディムロスが加わり、ディムロスもガイの行動に疲れた声を上げる。
「自分の価値観、それがかつての仲間と重なった・・・その為にガイは同調しようとしたのだろうが、それがどれだけ世界に取ってのためにならないのかも考えないまま自分の国だけでも守ろうとしたマルクトの皇帝を半ば責めるかのように推し進めた・・・そこまで来ればもう過ちだと気付いてもいいと思うのだが・・・」
「過ちを過ちだと気付けない、他人の自身を否定する考えを過ちと思うから過ち・・・常識って一般人の暮らす中で多数派がいるからこそ出来る物だけど、そういった考えがあるから少数派になるのよね~。そして大抵そういった自分の考えを改めようともせずにごり押ししようとした政治をすれば反発は確実に起きるわ、データを取るまでもなくね。ディムロスー、あんたも知らない訳じゃないでしょ?そういったやつのこと」
「・・・あぁ、そうだったな。そう言えば」
ガイの行動を嘆くディムロスにハロルドは自身の考えを交えつつも実例を出し、ディムロスはその実例・・・ミクトランを思い出し、否応なしに納得した。あれとベクトルは違えどガイ達は同類なのだと、不思議とディムロスの心にスーッと染み渡っていた。
「・・・お待たせ致しました。話を公爵に通しました所、すぐに報酬を用意するとのことです」
・・・と、声を抑えて会話をしていた所に白光騎士団と会話を終え振り返った兵士がその流れを報告してくる。
「つきましては代表の方にまた頼みたい事もあるため、一人で中に入って来てもらいたいとの事です」
「・・・わかった」
そしてその兵士から意味深な声も交えてファブレ邸へ入るように言われ、クラトスはその内容に触れるでもなく了承を返すとウッドロウ達へと振り向く。
「という訳だ。お前達は宿にいてくれ、話が済めば私もそちらに向かう」
「あぁ、わかった」
そこからクラトスから宿に行くよう言われウッドロウはすんなりと頷くと、クラトスを残し一同は下へと向かう・・・
「では中へ・・・」
「あぁ・・・」
(おそらくと言うより、確実に私達にアクゼリュスへの護衛を頼む為に公爵は私と会うことを決めたのだろうな)
それを見届け兵士の案内を受ける中で、クラトスは話の内容がアクゼリュス行きの事だろうと推測する。
(身分不確かな傭兵なら失ってもなんら痛くない、その上エンゲーブからこのバチカルまでルークを誘拐などせずまともに護衛してきた。だから金を用意さえすれば食いついてくる、そう思ったのだろうな・・・まぁそれならそれで好都合だな、元より付いていくつもりの上に金までもらえるのだからな)
その裏にあるファブレ公爵の打算を確かに感じつつも、クラトスはそれを利用して出来る限り依頼金をはねあげておこうと考えていた。これからの旅路の為、先立つ物を皆の為にもと現実的に頭に浮かべつつ・・・









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