必然は偶然、偶然は必然 第一話

『政治を行える者・・・か。出来ればマルクトの皇帝のように賢帝と言われるような人物をルーク達の所に連れていきたいところだが、一方的にオールドラントに連れて来てもまともに協力してくれるとも思えん上にその世界の住民に迷惑をかけかねんからな。慎重に世界を巡って探さねば、協力してくれる逸材と呼べる人物を・・・』
異次元空間に飛んだローレライは一人呟きながらも、ルーク達の為の協力者を連れて来る為に新たな世界への扉を開き、そこに飛び込む。



・・・いくらオールドラントの危機とは言え、誘拐紛いのやり方で人材を確保しようとはローレライは思っていない。あくまでも政治のやり方をルーク達に教えてくれる人物を見つけ、そうしてほしいと下手に出て頼み込まなければならない立場にいるのだとローレライは思っている。

それが故に向こうの都合も考えた上でオールドラントに来る事を納得してくれる人物をいかに時間がかかっても、見つける決意だった。ローレライは・・・












・・・そしていくつかの世界をローレライは回ったのだが、そこでローレライはある世界にある、ある国の元王に目を付けた。

そのある国とはファンダリアと呼ばれる国、そしてその国の元王とはウッドロウという名だ。



「「「「・・・うっ、うっ・・・」」」」
元王の部屋にしては少し簡素だが、それでも豪華な調度品により飾り立てられた物品が目立つ部屋の中・・・ベッドで安らかに微笑みながら目を閉じている元王を囲む医者や臣下の者達は、涙を押さえられずに泣いていた。



・・・ファンダリアという国において多大な功績をもたらした偉大な賢王、ウッドロウ・ケルヴィン。歳を取り後継者も出来た事から数年前に玉座から退いたが、今なお民からの親任厚い人物・・・その人物が崩御した。その事実はウッドロウを愛していた臣下達を悲嘆に暮れさせるには十分だった。

・・・本来ならその御霊は涅槃に旅立つ物だと思われるだろう。事実、周りは悲しみつつもそう思っていた。だがその魂は涅槃になど旅立ってはいなかった。



『・・・ここが、あの世という物なのか?』
異次元空間に入った、いや正確には連れて来られたウッドロウの魂はあの世なのかと呟く。
『いや、そうではない』
『・・・何者だ?』
そこにローレライがウッドロウの前に現れる。
『申し遅れた、我はローレライという者だ。折り入って頼みがあってそなたにここに来てもらった。天命を全うしたばかりで済まないが、話だけでも聞いてはもらえないか?その後断ってくれても構わない』
『・・・わかった、聞こう』
そして丁寧だがどうしても聞いて欲しいという強い気持ちを込めた言葉をローレライが送ると、ウッドロウは別段何か不満を言うでもなく話を聞くという。
『では話そう・・・』
そしてローレライは話し出す、オールドラントの過去から今に至る現状とそれを変える為の手助けをしてほしいという話を・・・








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