必然は偶然、偶然は必然 第六話

・・・セシル少将の先導を受け、バチカルの上部へと順調に向かうルーク達。その際漆黒の翼の姿が無かったが、その理由についてはルーク達は検討がついていた。それは六神将率いる神託の盾がケセドニアに着くより先にルーク達がバチカルに出港し、漆黒の翼の面々に導師奪還の依頼を出来なかったことにあるということにあったとルーク達は見ている。

先回りせねば出来ない事を後に来た者達が出来る訳がないのは自明の理、故に導師奪還をしようものなら神託の盾がやるだろうて見ていた・・・そうなった場合はむざむざ捕まる気などイオンにはないが。



・・・そしてファブレ邸の前に辿り着くと、先頭を歩いていたセシル少将が振り向き立ち止まる。
「こちらがファブレ邸になります。では傭兵団の方々はこちらの入口にてお待ちを、この兵士が話を通しますので・・・」
「あぁ、わかった」
セシル少将が丁寧ながらもどこか警戒した様子で待つよう命じると、クラトスは大して気にせず了承を返す。セシル少将の反応は得体の知れない傭兵をすぐさま信頼出来ないからだとわかる故に、クラトスもウッドロウ達も当然だと思っているからだ。
「では皆様はこちらに、城の中までご案内致しますので」
「あぁ、じゃあ行こう・・・」
クラトス達への案内も終えた所で素早く対応を切り替え案内を続けると言い出すセシル少将に、ルークは反論せずにさっさと行こうとする中で1つ視線をクラトス達に向けて残してから行く。その後にイオンも視線を残し、ジェイド達を引き連れ後ろに続いていく・・・
「では少しお待ちを・・・」
その姿を見届け兵士が一言残し、ファブレ邸の前にいた白光騎士団と会話を始める。
「・・・なぁ、ウッドロウ。お前が王として在位してた時、従者を堂々と引き連れて来る貴族っていたか?」
「・・・君の言いたい事はわかるよ、セネル君。私の統治していたファンダリアでは民の意見を反映させる為にアポさえ取れば民でも城に入って私と謁見出来るよう取り計らっていたが、それでも大抵貴族という位置にいる者が私と会う時は従者を下げていたよ」
「・・・だよなぁ」
そんな中でセネルがウッドロウに耳打ちするよう小さな声で話しかけ、ウッドロウも聞きたいことを察知したのか正確に求めた答えを返しセネルに疲れた声を上げさせる。
「ルークはめんどくさいから言わなかったんだろうけど、あれで以前もおんなじように堂々と城の中に入ったんだろうな・・・ガイは。あれでも元っていうか何て言うか、まぁとにかく貴族なんだよな?主が城なり他の貴族の屋敷なり行くときは使用人は行かないか、せめて別の場所で待つのが普通だと思うんだけど・・・」
「私はそういった物には結構砕けた方だと自認しているが、大抵の貴族はちょっとした隙を見つけ遠回しに口を出してくるからね。そういう人物と会う時はそれなりに私も王として気を使っていたが、やはりそういう人物は使用人を連れてきたりはしなかったな」
更に続けて使用人としての礼儀はこうなんかじゃないかというセネルの声に、ウッドロウは自らの実体験を元にセネルの考えは合っていると答える。








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