必然は偶然、偶然は必然 第六話

・・・そしてまたバチカルに向かう船の中でも見舞いにすらヴァンどころかティア達も来ないまま、船はバチカルへと到着した。



・・・そして船から降りて、キムラスカ兵士達の出迎えを受けたルーク達だが、その空気が緊迫して張りつめていると感じていた。
「・・・お初にお目にかかります。キムラスカ・ランバルディア王国第一師団師団長のゴールドバーグです。この度は無事のご帰国おめでとうございます」
「・・・あぁごくろう、と言いたい所だが・・・どうしたんだ、出迎えにしては物々しく感じるが?」
そんな空気の中でゴールドバーグが丁寧ながらも緊迫した空気で挨拶をしてきて、ルークはその空気はなんなのかを貴族らしい威厳を持って問い掛ける。
「は・・・我々はルーク様をお迎えに上がったのもですが、同時に陛下から別の命を賜っておりまして・・・その命を果たす為に兵士を伴いこの場に参りました」
「それで、その命はなんなんだ?俺に遠慮せず、答えろ」
「は・・・では率直に申し上げます、我々はヴァン謡将の捕縛に参りました」
「「「「!?」」」」
ルークの声に懇切丁寧に答えていくゴールドバーグだが、軍人らしい率直な声で答えた捕縛に来たという声にティア達の顔が驚きに満ちる。
「・・・それはもしや、先日のファブレ邸での事件の件でしょうか?」
「貴方は、導師イオンですね・・・これは後々そちらにもお伝えしようと思いましたので隠し立てせずに伝えさせていただきます、その通りです」
「「「「!?」」」」
そこに導師としての顔を覗かせイオンがその訳を述べてゴールドバーグが丁寧に質問に肯定すると、ティア達の顔が更に驚愕に染まる。
「キムラスカとしましてもあのファブレ邸襲撃の件でルーク様を捜索に行かれた時はやむ無く人手が足りない事でヴァン謡将を送り出しましたが、ルーク様を誘拐するための手だという疑いが晴れた訳ではございません。ですのでルーク様と共にバチカルに戻るという情報を聞き、ヴァン謡将を我々は捕縛に参ったのですが・・・」
「・・・成程、導師である私の許可が欲しいのですね」
「はい、いくら疑いがあるとは言え導師の許可なしに目の前で捕縛をするのは外交問題に発展しますので・・・」
更に続けたゴールドバーグだったが不意に何か言い淀む様子を見てイオンは言いたいであろう中身を察し、ゴールドバーグは申し訳なさそうに肯定する。
「・・・わかりました。ヴァン、大人しくゴールドバーグ将軍に付いていきなさい。こちらとしても貴方を引き渡さない事でキムラスカ・ダアト間で軋轢を生みたくはありません、貴方が無実だと自身で言うなら尚更の事です」
「・・・はい、導師がそうおっしゃるなら・・・」



「ティア、貴女もです。ゴールドバーグ将軍に付いていきなさい」



「・・・は?」
その顔を見て決心したようイオンは自ら捕縛されろと組織のトップとしての命令をし、ヴァンはやむを得ずと言ったように了承するが続いたティアも捕縛されろという命を出すと当の本人は呆けた声を出していた・・・元々イオンにそう言われていた事を忘れているという証拠を自身で明かしているとも分からず。







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