必然は偶然、偶然は必然 第五話

・・・気絶したままのアッシュの捕縛、そしてマルクト側の軍駐屯地への連行がなされてからようやくイオンはヴァンに声をかける・・・極めて冷めた声で。
「で・・・何故貴方はここにいるんですか?ヴァン?」
「・・・は・・・少々言いにくいのですが、ファブレ邸をルークとティアの間で起こった疑似超振動で飛んだ二人を探しに・・・」
「そうですか、ならばその役目はもう果たしたでしょう。ならば導師として貴方に命じます、先に港に行きなさい」
「は・・・?何故、でしょうか・・・?」
有無を言わさない声色で命じられ、ヴァンはたまらず戸惑った声で訳を問い質してくる。
「あまり大きな声で言えませんが、僕はマルクトよりキムラスカとの和平の仲介を頼まれました。それで今よりキムラスカの領土に入ろうとしているわけですが、貴方にはその旨を軍港に先に行ってキムラスカの代表者の方々へと伝えていただきたいのです」
「は・・・そういう事でしたら、早速向かいます・・・ではな、ルーク」
「はい・・・・・・場所考えて師匠ヅラしろよ、ドアホ」
導師としての威厳を携えたイオンの言葉にヴァンも納得した様子で頷き、ルークに一言入れるとさっさと港へと向かっていく。ルークはそんなヴァンに寂しげに声を上げたかと思えば、蚊の飛ぶ音より小さな声でヴァンに罵倒の言葉を向ける。
「さて・・・どうする、イオン?俺らもさっさと先を急ぐか?」
「・・・いえ、少し休みましょう。フーブラス河を抜けてそこまで時間も経っていませんし、この辺りで一先ず宿を取って皆さんに休息を取ってもらった方がいいかと思いますがどうですか?ジェイド」
「そうですね、では今日はこちらで休息を取りましょう」
そこからルークは妙な間を空けつつイオンに話を振り今度はイオンがジェイドに話を振る。その話振りにジェイドも妥当だろうと頷くと、ガイとティアもそれでいいと頷く。















・・・その夜、カイツールの外にて・・・



「やっぱアニスはここに残っちゃいなかった、か」
「まぁ期待はしてなかったけど、やっぱり先に行ってたよな」
「・・・まぁだろうとは、思ってた、んですけど、ね・・・」
焚き火を囲むルークとセネルとイオンの3人だが、イオンは息を整えながら途切れ途切れに二人に話しかける。
「大丈夫か、イオン?体の調子がいいからって、いきなりセネルとの組み手ってキツいと思うんだけど」
「大丈夫、です・・・何だかんだで、セネルは手加減して、くれましたからね・・・」
・・・今この場に3人がいる理由、それはイオンが体術の指導をしてほしいとイオンがセネルに願い出たからだ。その自身も強くなりたいと願い出るイオンにセネルも快く了承を返しルークはその二人を見学するためにここに来たのだ。結果として言うなら、イオンはセネルに決定打をあげることが出来ず疲れて終わり今に至っている。
「まぁ筋はいいから、鍛えればどんどん強くなっていけると思うけど・・・ウッドロウ達の方はどうかな?」
「んー、流石に今日すぐに来るとは思えないけど念のため程度だからな。来たらもうけもんくらいで考えてるだろ、ウッドロウ達もさ」
「だよなぁ」
そこからウッドロウ達のいるカイツールの方を見るセネルの声にルークが軽く答えると、だろうなとセネルも軽い声で答える









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