必然は偶然、偶然は必然 第五話

「さぁ、そんなことより早くここを抜けましょう。ここを抜ければ港までせんなに時間もかからないでしょうしね」
「んじゃ早く行こうぜ」
「んな必要ねぇよ、てめぇはここで死ぬんだからな!」
さりげなジェイドいじりはさておきとイオンがカイツールを抜けようと言いルークが同意すると、聞き覚えのある声が上から降ってくる。
「・・・ん」
‘キィンッ!’
「何っ!?」
・・・その声の正体と襲ってくるタイミングが分かっていたため、ルークは大して焦る事もなくウッドロウがイクティノスを抜きアッシュの剣を受け止める。その自然過ぎる動作にアッシュの顔に驚愕が浮かぶ中で、ルークは瞬時に左拳を握りこみ思い切り・・・
‘ゴスッ’
「ガッ!?」
その顔に叩き込み、なんとも言えない声を上げ壁の方へとアッシュは吹っ飛んでいく。
‘ガンッ・・・ズルズルズル’
「さ、行くぞ~」
「・・・え、えっと、あのルーク・・・」
そしてアッシュが壁にぶつかり地面に落ちきり気絶した様子を見てルークはガン無視の様子で出発を口にするが、唖然とした様子でガイが口を挟む。
「なんだよ」
「い、いや・・・なんで今襲い掛かって来たあいつを撃退したのはいいんだけど、ほったらかすのかな~、って思ったんだけど・・・」
「ん・・・あぁ、そういうこと。ならそこにいるマルクト兵士、見てただろ?いきなりこいつが襲ってきたってのはわかるだろ?」
「え、あ、はい・・・」
一応理由を聞くよう振り返るとガイはしどろもどろに放置の訳を問い質して来るが、ほぼ確信犯のルークは見ていたマルクト兵士を呼び寄せる。
「こいつが神託の盾なのは格好見てわかるだろ?それで今堂々と俺を殺そうとした、つまりは公開殺人を犯そうとしたわけだ。だからさ、気絶してる今のうちに拘束して適当に処分しといてくれねぇ?」
「ちょっとルーク!そんなこと許されるはずがないわ!アッシュはダアトの人間よ、ダアトの元でアッシュは裁くべき・・・!」
「ティア、貴方は黙りなさい」
「・・・っ!」
いきなりのことに唖然としながら対応する兵士にアッシュの拘束を被害者の立場から命じるがすぐさま身内を守るような発言でティアが声を荒げるが、イオンから威圧感を感じさせる静かな声で制止を命じられ息を呑んで止まってしまう。
「身内の事は身内で裁くべき?何を言っているんですか。それが通じるのはあくまでも自分達の統治する場所の中だけであり、そこから外れた場所で罪を犯したならその場所の法で裁くのが普通です・・・そう言った視点で言えばここはカイツール、キムラスカとマルクトの国境地点でありダアトの入る余地はない二国の有する土地です。ダアトの入る余地はありません、ここはマルクトにアッシュの処遇を委ねるのが筋という物なのですよ」
「そ、それは・・・」
「その上でまだ納得いかないというのなら、僕の権限を持って宣言しましょう。アッシュを神託の盾から解「お待ちください、導師!」・・・ヴァン?」
イオンの確かな言葉にこもった理論攻めにティアが声を詰まらせるが、納得のいってない様子に導師の権限を持ってはっきりアッシュの解雇を宣言しようとすると、その声を遮るよう大声でヴァンが横入りしてきて「なんだこいつうぜぇ」と言わんばかりの様子を見せるように眉をしかめてイオンは見る・・・見方によってはいきなりのヴァンの出現をいぶかしんでいるからこその表情だと思えると、考えたから。







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