必然は偶然、偶然は必然 第五話

・・・だがそうルーク達がどうなのかを考えつつも歩いていたが、フーブラス河を抜けるまでアリエッタが姿を現す事はなかった。



「・・・来ませんでしたね」
「アリエッタはクイーンの事でしばらくは動けないようだな、会えなかったのはちょっと残念だけど・・・ただそれだと、これからアッシュどうすんのかな・・・」
「あぁ、港でですか・・・」
ルーク達はフーブラス河を抜けてから結局来なかったアリエッタにホッとしつつも、今度は港でアッシュがどのようなアクションを取ってくるのかを話題に上げる。
「一応タルタロスじゃボコボコにしてやったけど、あの程度で尻尾巻いて逃げ出すような可愛いげのある性格してねーしなあいつ。だから是が非でも自分の思い通りにするために襲い掛かって来るとは思うけど」
「ただ、元はと言えば港をアリエッタに襲わせたのは国境で貴方を殺せなかったせいですからね。この際ですから国境でいっそ殺してしまった方がいいと思うんですけどねぇ・・・」
「うん、それがいいと思うんだけどそれやっちまうとなぁ・・・」
そこから会話がアッシュを殺した方がいいだろうと言う事を言いつつも、二人はその障害に頭を悩ませ溜め息を吐く。
「やってやれないことはないし、正当防衛でカタをつけることも出来るけどどうしても面倒になるんだよな。公開殺人を犯したってなるとな・・・」
「それにかこつけてブラウンパイナップルはどうしてもルークを適当な訳をつけて樽豚にアクゼリュスに行かせようとするでしょうからね。そうなれば状況にもよりますが下手をすれば抵抗することすら出来ない状態にされてもおかしくはありません、アッシュを殺したことで警戒されてね・・・」



・・・人の目の触れる場所で立場のある人間が同じく立場のある人間を殺したとなれば、当然罪を裁く為のブラウンパイナップル法が必要になる。ルークからすればアッシュから襲ってきたので正当防衛にすることは出来るが、それでもそのアッシュを殺した事実は残ってしまう。

それでアッシュを失ったヴァンがどう言った言葉でモースにアクゼリュスに行かせるのかが正直予想がつきにくい、最悪ルークの周りから誰もが引き剥がされがんじがらめに縄で縛られ抵抗すら出来ない状態で連れていかれる可能性すらある。アッシュを殺された怒りによるヴァンの進言で。



そう言った背景が目に浮かぶだけに、二人はアッシュを殺すことは得策ではないと考えていた。
「・・・まぁとりあえずは現状のまま進めばいいだろ。下手にアクション起こすと、変に目だっちまうしな」
「そうですね」
それらをまとめあげルーク達は目立たないよう動こうと結論し、先に歩き出す。
(目立った行動は起こしませんが、まぁ導師として当然の行動くらいは取りましょうか・・・以前のままの僕ではありませんよ、フフフ・・・)
だがイオンはその心中でルークにも言わずにサプライズを計画し、口元に軽い笑みを浮かべる・・・















・・・そこからルーク達はしばらくしてカイツールに辿り着いた。



「・・・ここが国境か。さて、さっさとここ越えんぞ。ここ越えたらキムラスカ領なんだろ?」
「えぇ、この旅券がありますしこれを出せばすぐ通れますよ」
「・・・旅券?」
国境という場に対して感動を覚えずルークは早く行くぞと言いつつもイオンは旅券を取り出しつつ、旅券の事を口にしジェイドの視線を引き付ける。
「失礼ですがイオン様、その旅券はどちらで?」
「マクガヴァン元帥にいただいたんですよ、旅券がないと言いましたら用意してくださいましてね。大丈夫ですよ、ジェイドが言っていた旅券を発行した時に出る履歴は残さないように旅券を作ってくださったようですから」
「・・・そうですか」
その旅券の出本をたまらず聞くジェイドに、イオンはジェイド顔負けの嫌らしくはないが鋭い切り口の皮肉を持って返して微妙な表情をさせる。






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