必然は偶然、偶然は必然 第五話

「それは貴方の側にいれないからですよ、大変想われてますね。ルーク」
「いや、いらねぇいらねぇそんな感情。第一育ての親だからとか思ってる癖してるのに、自立認めねぇってどんなモンスターペアレントだよ。つーか過保護も行き過ぎりゃ毒にしかなんねぇってのも理解しろって思うぞ、俺。下手すっとモンスターペアレントよりたちわるいとも感じるけど」
「フフフ・・・確かにそうですね」
そんな視線にイオンが小声で話しかけながら意地悪く笑みを浮かべるが当の本人のルークはおどけるような軽いノリで愚痴り、それにまた小声で笑むイオン。



・・・言われた当の本人ガイ達三人を除き、ルーク達はその行動がどれだけ自分本意の考えに基づいた物かと共用で思っている。故にこの会話はガイ達に聞かれなければちょうどいい暇潰しであり、娯楽だった。



「でもティアはどうやって入れられた牢から出たんでしょうね」
「大方ジェイドが牢に入れられた後、脱出の為に協力しろとでも言ったんだろ。打算的な考えが得意な頭と、人を丸め込む十八番の口八丁でな」
「でしょうね。ただセントビナーの宿で全くその辺りの経緯を説明もせずに部屋に入ってきた時はダメな意味で流石としか思えませんでしたよ、どれだけ自分本意なんだってね」
「だな」
そこから話はティアが全く自身の立場を理解していない厚顔さに転換し、ジェイドにまで飛び火させる。



・・・都合の悪いことには目をつぶるどころか、目をどこかに無くしたように行動するティア達。その場の流れと自身の思考だけを優先して他の物を無視した二人の行動は今の二人にとって軽蔑すべきものであり、信頼の置けるものではなくなっていた。とは言えルークは不満をうまく言葉に乗せることが出来ずにいて、イオンは不満に気付けずにいたので本来の姿になっただけである。












・・・そう二人がウッドロウ達に囲まれながら小声でティア達に対する不満を口にしつつも先に進むと、フーブラス河にルーク達はたどり着いた。



「んー、どう思う?アリエッタ来ると思うか、ここで?」
「どうですかね・・・多分時間的に難しいと思いますけど・・・」
位置づけを変えないまま歩く二人の会話の内容は、以前この場に来たアリエッタのことになる。ルークからアリエッタがこの場に来るのかと予想を聞かれ、イオンは眉を寄せる。
「僕の考えでは今はクイーン達の住み処をどうにかしようとして苦労していると思うんですが、住み処が見つかる速度が早い可能性があると同時に他の六神将が彼女に戻ってこいと急かす可能性があります。話をした時にはディストが場にいましたし、リグレット辺りがすぐに戻れと言いそうですからね」
「あぁ、有り得るな・・・」
そこからイオンがここに来るならと言う可能性を提示し、ルークも納得する。
「ただリグレット達もアリエッタの機嫌は損ねたくないはずですから、ここでアリエッタが来なければ多分クイーン達を移動させるようにしてるとは思いますけど」
「うーん・・・久しぶりに顔は見たいけど、それ聞くと出来れば会わない方がいいな・・・」
しかし逆にリグレット達もそこらへんは理解しているはずだという可能性もあると言い、ルークも複雑そうにうなる。



・・・嫌いではないので出来れば会いたいが、それでは無理に呼び出された可能性がありクイーン達がチーグルの森に未だいることに繋がるやもしれない。そう考えルークは期待半分、不安半分で先を歩いていく・・・







9/16ページ
スキ