必然は偶然、偶然は必然 第五話

・・・そんなアニスの先走りの行動を批難しつつも、ルーク達は少しの間セントビナーにてゆっくりとしていた。

・・・だがそれもあくまでも束の間の時間だとルーク達は理解していた。



・・・ルーク達が宿の中でゆっくりとしていると・・・
‘ガチャッ’
「イオン様!」
「・・・あぁ、ティアですか」
唐突に部屋の扉が開かれティアがいかにも心配しましたみたいな声を上げて入ってくるが、イオンは人には分かりにくい程度に冷めた声を上げる。
「心配しましたイオン様、ご無事で何よりです」
「えぇ、それはいいんですが・・・ジェイドは分かるんですが、貴方は誰ですか?」
そこから続々と勝手に室内に入っていくジェイド、そしてガイの姿を確認しイオンは一応その存在の名を問う。
「あぁ、失礼した。俺はガイ、ファブレ邸で使用人をやらせてもらっている・・・よかったルーク、お前も無事だったのか・・・」
「・・・いや別に平気だけどよ、なんでお前と二人はさも当然のように一緒にここに来てるんだよ?」
その声に非礼を詫びると言いながらも実質非礼なままの口調でルークとイオンに対し話しかけ、ルークはそんな使用人失格者に不機嫌さを隠しつつ二人と合流した経緯を問う。
「あぁ、ちょっと色々と探している内に止まっているタルタロスを見つけてな。そこから脱出してきた二人と偶然鉢合わせてその後ろから追ってきた神託の盾に俺まで何故か追いかけられる状況になってな、それで話を聞いていったらルークと導師が一緒にいるっていう事を聞いてな。なら一緒に行こうって事で、話が通ったんだよ」
「・・・あぁそういうこと」
その声にあらかたの経緯を簡単には話すガイだが、それを聞きルークは半ばコイツらが固まるのは預言以上に何か別の呪いみたいな繋がりがあるのではと微妙な表情でそうかと答える。
「話は聞きました、アニスはマクガヴァン元帥の指示により神託の盾のイオン様への追跡の撹乱の為に先に行っているそうですね」
「えぇ、そうです」
「幸いにして先程神託の盾がこのセントビナーより撤退したのを我々は見届けました。アニスに合流する為とバチカルに向かう為、我々もセントビナーを出立いたしましょう」
「はい・・・では行きましょうか、ルーク」
「おう・・・行くぞ」
「えぇ、行きましょう」
そんな会話をさておきとジェイドは早く行くぞと急かすような声を向けるが、至ってイオンは気にせずルークに話しかけルークもウッドロウ達に行くよう声をかける。その声にウッドロウは傭兵らしくないが丁重に物腰を柔らかく対応し、クラトス達も無言で立ち上がる。
「・・・」
・・・そんな光景を微妙そうに見つめるのが1人いた。だがそれを当の本人は誰に言えるでもなく、ルーク達は早々と宿を出ていく・・・









・・・そしてセントビナーを出て一路フーブラス河を抜けてカイツールに向かう道中・・・
「・・・ガイの視線に気付いていますか?」
「むしろ気付かねぇ方がおかしいだろ。現に今も背中に感じてんぞ、俺」
先を行くルーク達はウッドロウ達に周りを囲まれながら会話を重ねている、後ろからどこか恨めしそうな感情を込めた瞳をルークに向けているガイについて。









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