必然は偶然、偶然は必然 第四話

「止めても無駄だよ。今の状態を見ればわかるだろう、君にアッシュはおろかルーク君を止めることは出来ない」
「くっ・・・!」
‘ダァン!’
だがその声はアッシュが応えるまで続けられることなく、ウッドロウの弓から放たれた矢を撃ち落とすリグレットの顔は苦々しく変わる。
「・・・それほどの腕を持ちながら、何故貴様はあの出来損ないに荷担する!?」
その自分の現状にやり場のない感情をリグレットは意味がないと知りつつ、激昂してぶつける。
「・・・心外だな、彼は出来損ないなどではないよ。むしろそうやって何も知らず全てを否定するその心こそ、君が彼に劣っている要因となっていることに君は気付かないのか?」
「何!?」
その声にウッドロウは若干だが声を落としつつ、リグレットの考え方の是非を問う。
「今こうやって彼はアッシュを圧倒している、その事実に君はアッシュを落ち着かせようとしているのだろう。なのに何故君はその事から目をつぶり、出来損ないなどと言う?」
「それは・・・っ・・・」
ルークがアッシュのレプリカ、その事実はアクゼリュスをルークが消滅させるまで言えない。それからならいくらレプリカだと罵っても構わないが・・・そんな考えまでを読んでちゃんとした理由を問うウッドロウに、リグレットはまともな理由を思い浮かべられず言葉を詰まらせる。
「思い込みや見た目のみで人を判断し、人を罵るのはそれこそ愚かな事だ・・・最も、君は信頼出来る者以外に対してそうでもしなければ心が耐えられなかったから神託の盾に入ったのだろうがね」
「何っ・・・!?それはどういう・・・!」
更にウッドロウは暗に過去の経緯を知っているとほのめかすように続け、リグレットはたまらず揺れた表情を見せる。
「・・・隙ありだ!」
「はっ、し、しまっ・・・!」



「断空剣!」



「うぁっ!」
‘ダンッ!・・・カラカラカラ’
その動揺にウッドロウはすかさず間を詰めると断空剣を放ち、リグレットを吹き飛ばす。その際にその両手から譜銃が飛び、武器が離れる。
「く、くそっ・・・」
「勝負あり、だね」
「リグレット!」
「おら、よそ見してんじゃねぇよ!」
「ぐっ!」
そこから身を起こそうとするリグレットにイクティノスをウッドロウは突き付け、勝ち名乗りを上げる。その様子にアッシュがようやくリグレットの異変に気付くが、ルークから斬撃をお見舞いされ反応はして剣をぶつけたものの押されるような体勢で耐える。
「・・・とどめを刺せ、勝負は決まったのだろう」
「おや、諦めるのかい?」
その光景を傍目で見ていたリグレットは助けはない事を理解し、忌々しそうに歯噛みしつつとどめを刺すよう言う。だがウッドロウは柔和な笑みを浮かべ首を傾げるばかり。
「貴様・・・私をなぶりものにでもする気か!?」
「いや、そのつもりはないよ。ただ君には少しお願いがあってね」
「お願い・・・?」
ウッドロウの表情を見て猫が鼠をいたぶるような真似をするのかと睨み付けるリグレットだったが、お願いと言われいぶかしんだ表情になる。



「少しの間、私達に付いては来てくれないかい?」









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